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 : 『メタルラック』や『エレクター』といった金属製の網棚は水槽台として使えるでしょうか

 ホームセンターや家具店に行くと、銀メッキの支柱や網板を組み立てて作る『メタルラック』や『エレクター』といった棚が売られていますが、こういったものは水槽台として使えないのでしょうか。インターネット上では「使っている」という意見と「危険だ」という意見の両方があって迷っています。


 : その手の製品は、「水槽台として使える」と明記されていない限り、使わない方が無難だと思います。

 水槽は、中に底床材と水を入れると底の中央部がある程度たわんで凹んだ状態になるものです。したがって、どの水槽も底がたわんでも大丈夫なように作られています。しかし、メーカーの予想を超えるほどたわんだ状態にすれば話しは別です。設置してからずっと何もなかった水槽が、ある日突然、何の前触れもなく一気に崩壊するようなこともあり得ます。
 『メタルラック』や『エレクター』といった商品を見ると、“耐荷重”は水槽の重量に十分耐える値になっているものが少なくありません。しかし、一番の問題は“棚板のたわみ”です。もし、この手のラックを水槽台に使っているお宅へお邪魔する機会を作ることができるなら、ぜひお邪魔して棚板の裏側を手の平でなでてみて下さい。特別な仕様のものでない限り棚板の真ん中が大きくたわんで凹字型になっているはずです。ちなみに、このたわみは水槽をずっと載せていると悪化してくるものです。
 すなわち、この手の製品を水槽台として使うということは、中央がたわむ棚板に中央がたわむ水槽を載せるということです。それがどのくらい危険かは容易に想像できると思います。水槽は、底のたわみを棚板に支えてもらえないため、時間の経過とともにそのたわみが大きくなっていきます。そして、それがある日、許容範囲を超え、水槽が一気に崩壊することになります。実際、そういう事例がインターネット上でもときどき報告されていますよね。
 ただ一方で、この手の棚の中には棚板の中央に補強筋が入れられていて水槽台に使える製品もあるようですし、実際のところ、この手の棚に載せれば必ず水槽が割れる、というほど頻繁に起きる事故でもありません。何年も載せていて平気だという方もたくさんいらっしゃいます。つまり「たまに割れることがある」程度の認識が正しいはずです。
 したがって、一戸建ての一階の事務所に水槽を設置するような場合には、それほど神経質になる必要は無いように思います。もし水が漏れ始めてもそばにいる人が対応すれば大きな問題にならないはずです。誰かがいつも仕事をしている場所ならヒーターの空焚きによる火災も防止できますし、水はその人が拭けば済む話しです。よって人がいつでもすぐに対応できるような場所であれば『メタルラック』や『エレクター』を活用する余地は十分にあると思います。一方、マンションや団地の上階に水槽を置く場合には、使わない方が無難だと思います。99.9パーセント安全なもの=すなわち1000人のうち999人が「うちでは使っているけど大丈夫だよ」と言っているものでも、0.1パーセントの割れる可能性=すなわち1000人のうちの1人が「うちでは崩壊した」という経験をするようなものは避けるべきです。わずかな確率であっても、もし事故が起きてしまえば階下から何百万円もの損害賠償請求がやってきます。そうなれば、家族の生活の根幹がが脅かされてしまうでしょう。また、それで火災になれば家族を焼き殺してしまう可能性もあるわけです。そんな危険を冒してまで専用台に使うお金を惜しむのは、危機管理のバランスが悪いですよね。よって、そのような場合にはお金を惜しまず専用の水槽台を購入すべきだと思います。


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