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 : 大磯砂など海産砂のカルシウムを食用の酢で取り除く場合の手順を教えてください。

 こちらのサイトでカルシウム分の除去に食酢
を薦められたのですが、食酢で処理する場合、何か特に気をつけることってありますか?処理するときの手順を教えていただけないでしょうか。


 : 食酢で処理する場合は、予めサンゴや貝殻の大きな欠片は取り除いておいた方が良いと思います。具体的な手順は以下の通りです。

1.準備をする
○大磯砂など海産の砂 :60センチ水槽に2mmぐらいの粒のものを5cmほどの厚みに敷くのに15Kg程度必要。
○食用の酢 :穀物酢が安くて入手しやすいはず。1520Kgの砂に対して貝殻の少ない砂利なら2000cc(ml)程度、多い砂利なら4000ccぐらい用意。900ml入りで100〜160円のものでOK(150円のものを4本買えば600円ほど。高いものを買えば1200円程度)。
○容器 :15Kgだと9リットルぐらいになるので、できれば容量10リットルのバケツを2つ(攪拌しやすい)。無ければ1つ。
○容器のフタ :匂いがきついので。食品用ラップを被せてもOK。
○ゴム手袋 :手に匂いがつくので手袋をつけて混ぜる。
○pH測定器 :酢の量(酸の量)が足りているか確認するのに必要。

2.場所を確保する
 食用の酢なので、家の中で作業しても毒ガスが出たりはしませんが、浸け置き中は匂いがきついです。家人からの「臭いやんか!」の文句攻撃は必至です。したがって、家の外で作業しましょう。しかしそれでも、隣のお宅に迷惑をかけてしまう可能性が高いので、容器には必ず蓋をすることが重要です。外でも中でも作業できない場合は、匂いの心配のないクエン酸を注文し、クエン酸で除去しましょう。

3.大きな欠片(カケラ)を取り除く
 砂にサンゴや貝殻の大きな欠片が入っているのなら、それらを予め取り除いておくのが安心です。砂粒よりも大きいものが目につくような砂なら、酸処理にかかる前にピンセットで丁寧に除去しましょう。めんどうな作業ですが、できあがる砂の質を大きく左右する大事な工程ですから手を抜いてはダメです。「食酢ではうまく処理できない」と言っている人の多くはこの工程を飛ばしています。もし時間が無いのならば、大きな欠片が入っていない砂を買い直した方が早いでしょう。砂粒と同じ大きさの欠片しか混じっていない砂ならばこの工程は不要です。

※塩酸を使うか食酢を使うかは、この面倒臭さと塩酸の危険性との天秤になると思います。もちろん私は食酢の方をお薦めします。それ以前に、塩酸の使用自体、使用の目的と手段の危険性のバランスがとれていないと考えるからです。

4.容器に入れる
 貝殻などの欠片が少ない砂利ならば、食酢は上記ほど必要ではなく、水で薄めて使っても十分に処理できます。ただ、安全シロを見るならば原液のまま、砂利が浸かるまで注ぎ入れましょう。
 目安としては、欠片がちらほらと見える程度の砂で小粒のものならば、15Kgの砂(前もって洗っておいても洗っておかなくてもOK)に、酢を2リットルほど入れ、砂がひたひたになるぐらいまで水を足せばOKです。
 欠片が目立つ砂ならば、洗わずに、酢だけをひたひたになるまで注ぎます。
※食酢で処理する場合、強酸とは違い、容器に入れる順番は水が先でも酢が先でも構いません。

5.攪拌しながら浸けておく
 最初は反応が勢いよく進むので10分ごとに混ぜるのが良いと思います。混ぜる際は、手袋をした手で、米を強く研ぐ感じでガシガシとこすり合わせるようにします。この作業によって、一部が溶けてもろくなった欠片がさらに溶けやすくなります。また、見逃してしまった大きな欠片も小さくなって溶けやすくなります。
  反応が緩やかになって泡の発生が少なくなってきたら1〜2時間ごとに攪拌します。また同時に、液のpHを測り、液が中性に近づいていたら酢を足します。場合によっては、液をある程度捨て、新しい酢を足した方が良いかもしれません。
  途中、汚れがいひどい砂ならば茶色い泡が浮いてきたりしますが、気にする必要はありません。目立つ木片などを掬って除くぐらいで良いでしょう。
 酢を足さなくても液のpHがあまり上がらなくなったら、蓋をして最低24時間、できれば数日置いておきます。その間も、1日に1回程度は攪拌するようにしましょう。

6.砂をよくすすいで完成
 使い終わった液はあまり大量でなければそのまま流してしまって大丈夫です。貝殻などとの反応したためそれほど酸性に傾いてもいないはずです。
  砂の方は、水でよくすすぎます。ただし、もし砂に少し酢が残ってしまっても魚や水草は平気ですからあまり神経質になる必要はありません。
 砂の汚れは、酸処理の途中でよくかき混ぜたために大部分がすでに落ちているはずです。しかし、病原菌や寄生虫の侵入を絶対に防ぎたいのならば、酸処理のあとに台所用漂白剤で消毒する処理を行った方が良いでしょう。ただし、漂白剤を使うとすすぎを徹底的に行わないといけなくなり面倒です。私は、食酢で処理したら、すすいでそのまま使っています。また、それで今までに何か問題が起きたことはありません。


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