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 : ソイルや赤玉土の寿命の判断は何を基準にすればよいのか教えてください

  ソイル(「アマゾニア」)を使い始めてだいたい半年経つのですが、そろそろ交換した方が良さそうでしょうか。ネットや本で調べてみると、みなさん半年から1年ぐらいで交換されているようです。でも、3年ぐらい使っている人もいるようです。今のところ問題は起きてないのですが、念のために交換した方が良いと思われますか。


 : “そのソイル類(土)に求めている効果が無くなってきたとき”が交換の時期です。すなわち、それは、水槽のキーパーが、何を目的に使っているかが大きく関わってくる事柄ですから、第三者には判断できません。問題が起きていないのならば無理にいじる必要は無いのではないでしょうか。

  もし、最近主流の南米アマゾン産水草を育てるならば、pH6.5〜4.5の間(できれば6.0以下)の水で水槽を満たしてやる必要があります。例外はありますが、そうでなければたいてい綺麗に育ってくれません。しかし、日本では水道水はだいたい中性よりややアルカリ側に傾いた水質に調整されています。そこで手当ての1つとして登場するのが“ソイルの使用”です。ソイルの団粒には硬度物質を吸着して水のpHを下げる効果があります。つまりその効果を期待してソイルを使用するわけです。裏返せば、この場合、ソイルの寿命はpHを下げる効果が無くなったとき、となります。
  また、ソイルには、水槽内へ有機物を供給する効果やそれに伴う微生物の繁殖などの効果、さらに繁殖した微生物によって水中の懸濁物が捕集される効果などもあります。こういった効果を期待して使用しているキーパーにとっても、ソイルの寿命は、その効果が無くなってきたとき、となります。
 すなわち、どの時点を寿命と考えるかは、水槽のキーパーがソイルに何を求めているか次第です。
 ところで、水槽で育てる水草の種類は、何も南米産のものに限られるわけではありませんよね。弱酸性でも弱アルカリでも育つ草も水槽に入れるはずです。そういう水草を育てている水槽では、ソイルに備わっているpHを下げる効果が少々無くなってきたからといって大した問題になりません。つまり、南米産の適応範囲が狭い水草を育てている水槽とは、ソイルの状態が同じでも“寿命”は違う分けです。したがってこの点でも、ソイルの寿命は変わってきます。
 以上の2点は、水槽のキーパーの主観に依るものですが、客観的・外的な要因もソイルの寿命の長短に絡んできます。
  たとえば、使っている水道水に含まれている硬度物質の量です。たくさん含まれていればソイルはそれだけたくさん硬度物質を吸収しますから満杯になるのも早く寿命も短くなります。水槽に添加される肥料や添加剤の種類や量についても同じことが言えます。もちろん換水の頻度や量も重要な要素として影響を与えます。
  さらに、水草を頻繁に植え替えたりすればソイルの団粒構造が早く壊れますし、底床クリーナーを使ったりすれば人為的に団粒構造を崩すことになります。そうなればイオン交換の作用が初期に多く働き、その分寿命が短くなります。そして崩れてしまったソイルでは当初の効果が得られないだけでなく、水を濁らせたり微生物が繁殖しにくい環境になったりしますから、物理的に使用が不可能になることで「寿命がきた」と判断され得るでしょう。
  以上のように、“ソイルの寿命”は、水槽のキーパーの主観とソイルの状態という客観的な事柄との両面によって決まってくるものであるため、第三者がその基準を一概に示せるものではありません。ご本人が「問題がある」と感じた時点がその寿命と考えるべきでしょう。それは、キーパーの考え方やその維持方法、使用環境の違いによって半年だったり数年だったりする、けっこう幅広いものです。


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