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 : pHを下げるために今の底床の上にソイルを敷くのは効果があるでしょうか

 セットしてからもう2ヶ月ほど経つ水槽なのですが、まだネオンテトラやビーシュリンプがポツポツ死んでしまうので悩んでいます。いろいろ調べてみたところ、pHが7.8もあるのが原因じゃないかと思っているのですが、大磯砂を敷いているのが悪いのかもしれません(酸処理をせずに敷いてしまいました)。そこで大磯砂の上にアクアソイルを敷いてpHを下げようと思っているのですが効果は
あるでしょうか。経験から教えていただけると助かります。


 : 効果はありますが、それは止めておくべきです。

 大磯砂など海産の砂を、酸処理でカルシウム分を抜かずにそのまま使うと確かに水のpHを上げます。ですから、ご質問の水槽でもそれがpH上昇の原因の1つでしょう(石などを入れていればそれも原因になりえます)。また、その水槽にソイルを足せば、ソイルのイオン交換作用によって水のpHを下げることができるでしょう。
 しかし、その手当ての方法はお勧めできません。理由は主なところだけで5つあります。
 1.まず、魚やエビが現在死んでいる原因は他にあるかもしれません。生体はpHが急激に変動すれば死ぬことも珍しくありませんが、緩やかに変化する分には相当の変動幅に対応できます。最適なpH値から大きく外れていてもそれが緩やかな変化の結果であれば、すぐに死ぬようなことはないものです。それよりも、設置後2ヶ月しか経っていないことを考えれば、まだバクテリアなどの微生物のバランスができておらずそれによって水質が不安定になっていることが原因かもしれません。よって、ソイルを敷いても解決しない可能性があります。
 2.底床の表面には今までの2ヶ月間でバクテリアなど有益な微生物が大量に棲みついて活動しているはずです。それにもかかわらず、ソイルを被せてしまうとせっかくの微生物が大量に失われてしまいます。すると水槽が振り出しに戻ってしまうだけでなく、死んだ微生物によって水質が急に悪化するおそれもあります。
 3.底床に広くソイルを敷くと、pHを下げる効果が強く一気に働きだすためpHが急変する危険もあります。そうするとエビも魚も大きなダメージを受けてしまいます。
 4.また、ソイルは敷いた後にその中の有機物が分解され、亜硝酸など生体にとって有毒な物質を放出することがよくあります。するとビーシュリンプなどはひとたまりもなく死んでしまいます。
 5.さらに、pHを上昇させている原因をそのままにしておいてpHを下げるものを加えるのは水質を不安定にしてしまう可能性があります。車にたとえれば、タイヤを右に曲がったまま着けてしまったのに、ハンドルを左にきって真っ直ぐ走らせようとしているようなものです。自由にコントロールすることができなくなります。
 以上のような危険性を考えれば、今の底床の上にソイルを敷くのは止めておいた方が良いと思います。
  手当てとしては、まずは基本に忠実な維持の仕方=適度な換水・適度な光量・適切な給餌などを心がけ、しばらく様子をみることをお勧めします。生体の追加もしばらく我慢しましょう。そして、水槽が落ち着いて死ぬ個体が出なくなったら、その時点でpHの対策を考えれば良いと思います。時間の経過によってフィルターの中にバクテリアが十分に定着すれば、底床を交換しても大丈夫になります。それまではあまりいじらない方が良いと思います。


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