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 : 水草水槽にとってスネールは有害な生物でしょうか

  最近、水槽の中に平巻貝だと思われるスネールが増えてきました。私自身は別にスネールが嫌いというわけではないのですが「スネールはすぐに駆除した方が良い」という話しも聞きます。実際のところはどうなのでしょうか。すぐに取り除いた方が良いのでしょうか。


 : 水槽の水質や維持の考え方次第だと思います。

  インターネット上で情報を拾ってみても、本を読んでみても、スネールについては“駆除の方法”ばかりが載っていますよね。この現状では、みなが「スネール=有害」と思い込んでしまっても仕方が無いと思います。「スネールは有益」と言い続けているのは私ぐらいでしょうから、有害なのかどうかで迷われてしまうのも仕方がないかもしれませんね。
 少々乱暴な言い方になりますが、スネールが水槽の中で有益な存在になるか有害な存在になるかは、水槽のキーパーの考え方次第だと思います。
 水槽をスネールが急激に増加するような水質で維持しているならば、「出始めたらすぐに駆除」が鉄則でしょう。放っておけばガラス面を覆い尽くすほど殖えることがあります。そうなってしまっては鑑賞どころではないですから、間違いなく有害だと言えます。
 一方、たとえば弱酸性の低硬度の水質で保たれている水槽でならば、スネールはコケ取りをしてくれる有益な生物です。水槽の中を有機物を多く含んだ状態で生物の循環とバランスを重視して維持しているならば、スネールはさらに有益な存在になるでしょう。
 したがって、有害か有益かを判断するのに最も重要な点は、「水質」です。水質が「高硬度・高pH」ならばスネールが爆発的に殖える危険があります。スネールの類いは殻の形成のために十分な量のカルシウムが必要ですし、体(=貝殻)自体カルシウムの塊みたいなものですからそのカルシウムが溶け出さないような水質が必須です。
 具体的には、スネールの種類によって変わりますが、大雑把に言って、KHが5dH以上、あるいはpHが7.8以上ある水槽でスネールを見つけたならば要注意です。大増殖して水槽の鑑賞の妨げになったり水草を食い散らかしたりし始める危険があります。殖えないうちに即刻駆除すべきです。殖えるに従って駆除は難しくなっていきますから。
 一方、現在主流になっている水槽は、南米アマゾン産の魚と水草を収容する水槽です。そして南米産の生体を育てる水槽では水質が弱酸性&低硬度(低カルシウム量)に保たれているはずです。たとえば硬度(KH)は2dH以下、pHは6.5以下といった水質です。こういった水槽の場合、スネールは、殖えないわけではないですが爆発的に殖えることがまずありません。カルシウムを十分に摂取できない上に、せっかく作り上げた殻からカルシウム分が水中に溶け出してしまうからです。水槽に二酸化炭素が添加されているならなおさらです。
 よって、南米産水草水槽を立ち上げられたのであれば、あまりスネールに神経質になる必要はありません。鑑賞に支障がでるほど殖えて有害な存在になることはあまり考えられません。逆に、スネールがいることによって水槽の中の多様性が増し、生物バランスがより強固になる有益な側面があります。また、水槽内のカルシウム量のバッファーにもなってくれます。「気になるほど殖えないのなら水槽にいてくれてた方がありがたい有益な存在」というわけです。
 まずは判断の前提としてご自分の水槽の水質をチェックし、そして水槽の中をどのような状態で維持していくのかといったことも考えて有害かどうかを判断してみて下さい。


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