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 : 本格的に水草の育成をするならケルビン数の大きい蛍光ランプが必要なのでしょうか

 水草水槽を始めたのですが、水草がうまく育たないので調べたら、どうも光量が足りない(60cm水槽に20w*2)ようなので、ショップに行って相談したら、「水草を育てるならケルビン数が高い8000Kとか12000Kの蛍光管が必要」とアドバイスされました。でも、予定していたより値段が高かったので買わずに帰ってきました。
  ネット上では「そんなものはいらない」というカキコもよく見かけます。本当のところはどうなんでしょうか。経験からアドバイスいただけるとうれしいです。
水草水槽を始めたばかりで分からないことだらけです。


 : 必須ではありません。育成で重要なのはケルビン数(K)ではなくて、水草に「明るい」と感じさせることです。

 ショップに行くと、水草用として「12000K」とか「8000K」といった表示のついた値段が高めの蛍光管(ランプ)が売られていますね。これらは、水槽内を爽やかな白い色に見せるのに優れています。すなわち、ケルビン(K)は、明るさを示す指標ではなく、色を表す指標です(色温度)。Kの数字が小さいランプは黄色がかって見えます。一方、数字が大きいランプは青みがかって見えます。「Kの数字が大きい=明るい」ではありません。明るさは、ランプが放射する光の量=全光束(単位=ルーメン《lm》)や、光があたっている場所での光の量=照度(単位=ルクス《lx》)といった別の指標で表されます。
  したがって、 「水草を育てるならケルビン数が高い蛍光管が必要」ということはありません。ケルビン数は自分の好みのものを選べばOKです。暖かい印象の水景を楽しみたいならたとえば5000K前後のものを、涼しげな水景を楽しみたいならたとえば7000K前後のものを選べば、極端に偏った見え方にはならないはずです。もちろん、もっと青みがかった白い水景を楽しみたいのであれば、8000Kや12000Kのランプも選択肢に入れて良いでしょう。
  水草水槽の「明るさ」を考える場合、一番大切なこと=“目的”は、“水草に「明るい」と感じさせること”です。そのための手段としては、照明器具を明るいものに取り替えることが最も直接的で手っ取り早いですが、他にも手段はあります。たとえば、反射効率を上げるために照明器具の内側にアルミ箔を貼るとか、底床を明るい色合いのものにして光のはね返りの量を増やすとか、水の透明度を上げる工夫をする、水温を少し下げてみる、葉の上で邪魔をしているコケをエビやサイアミーズフラインフォックスなどにとってもらう、など、水草に「明るい」と感じさせる工夫はたくさんあります。そういったことも選択肢に入れて検討してみて下さい。
  ちなみに、60cm水槽に蛍光灯の20W管を4本載せるのであれば、ホームセンターなどで2本1000円程度で売られている家庭用の蛍光ランプ、たとえば『パルック』などの“3波長域集中発光形”のランプで十分間に合います。『パルック』の場合は、『パルックcool』が7200K、『パルックnatural』が5200Kです。好みの色を選んでも良いですし、混ぜて使っても良いと思います(私は2本&2本で混ぜて使っています)。

※以下、 大雑把にいつかの指標を私の備忘録を兼ねて書いておきますね。

● ケルビン(K)=色温度 : 光の色を表す(大きいと青白っぽく、小さいと赤っぽい光)
● ルーメン(lm)=全光束 : ランプから放出される全方向の光の量
● カンデラ(cd)=光度  : 光の強さ(ある方向の単位立体角内に放射される光の量)
● ルクス(lx)=照度   : 照らされた場所の明るさ
● アールエー(Ra)=平均演色評価数 : 光源での色彩の再現性(Ra100に近いほど実物の色に見える)


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