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 : 「1〜2週に1度給餌」で餓死させずに魚を飼えるのでしょうか

  こちらのサイトの『Gallery』のコーナーにある60X30X36水槽の説明に、「1〜2週に1度給餌」と書いてあるのがありますが、1〜2週間に1度程度の給餌でカージナルテトラは餓死したりしないんでしょうか?素人考えなんですが、餌を1〜2週間で1度程度で飼育できるなら水の豊栄養化対策(コケ対策)に有効かな?と考えてしまったんですが、どうなんでしょうか。


 : 肉食魚などは無理ですが、適切な魚種選択と、初めからそういう水槽を目指しそれに合った設置と維持があれば、十分に実現可能です。水の富栄養化対策としても有効です。

 餌を毎日与えることを前提に立ち上げた水槽でいきなり「週に1回」という餌やりに変えたりすれば、もちろんおっしゃるように魚は弱ってしまいます。だんだん弱って死んでしまってもおかしくないでしょう。「1〜2週間で1度程度」というような餌やりで維持するならば、水槽の立ち上げの計画段階からそれを考慮に入れておかねばなりません。 考慮のポイントとしては、まず、泳がせる魚の種類です。肉食性のものや雑食性でも肉食の傾向が強い魚では餌を減らせません。餓死したり同居の魚を襲い始めたりするからです。逆に草食性が強すぎる魚もダメです。餌を減らした分、水草を食べ始めてしまいます。よって、雑食性ながらやや草食性が強い種類を選ぶ必要があります。・・とは言っても、一般に水草水槽で飼われている魚はたいていこのような性質をもつ魚ですから、選択できる魚はけっこう多いものです。具体的には、ネオンテトラやカーディナルテトラ、ペンシルフィッシュの仲間やラスボラの仲間などが挙げられます。こういった魚は、与えられる餌が少なくなると、水槽の中で発生する藻(コケ)や動物プランクトン、浮泥に含まれる植物プランクトンを食べて不足分を補うようになります。したがって餓死する危険があまり無いのです。コケを積極的についばむ魚種なら、餌を減らすことによる水の富栄養化の回避の効果に加えてコケ除去の効果も期待できるので「一石二鳥」でしょう。
  次のポイントとしては、こういった魚の餌になるものが常に水槽の中にふんだんに存在するように維持するためのハード面での工夫です。まず、絶対に必要なのが、植物プランクトンや動物プランクトンを潤沢に育む底床の存在です。水槽をセットする段階で底床の中に十分な有機物を敷き込んでおかねばなりません。ただし、それが水中に大量に染み出てしまうようだと水槽がコケだらけになってしまうので色々配慮は必要です。また、濾過器をできるだけ小さなものにしておく必要もあります。プランクトン=浮遊する生物は、水槽の水の循環量が多いと濾過器で濾されてしまうからです。また、植物プランクトンを十分に湧かせるだけの照明の強度などにも配慮が必要です。
  さらに、ふだんの手入れの仕方にも注意が要ります。底床の表面には栄養豊富な浮泥が常に存在しなければなりません。餌を与えていない間、魚は浮泥を重要な栄養源としているからです。したがって底床をクリーナーで掃除するようなことはできるだけ避けねばなりません。換水も同様です。ただし、換水をできるだけ避けるということは水槽の中の余分なものを外に出す機会がそれだけ減るということですから、そもそも水槽へ何かを投入するようなことは避けなければいけない、というところへ必然的につながってきます。
  以上のように、「1〜2週に1度の給餌」ですむ水槽を作るためには、水槽の設置段階から日常の手入れの仕方までが1つの環になっている“そのための維持方法”を理解している必要があります。逆に、理解できていれば「1〜2週に1度の給餌」で十分な上に換水などもあまり要らない水槽が作れます。
  このあたりのことについては、私が「ボックス(箱)理論」と名づけている方法論がありますので、機会があればサイトで公開したいと思っていますが、ちゃんと書くとなると相当の分量の説明が必要ですのでここではこれぐらいで勘弁して下さい。 (02.10.20) 

 浮泥が少ない底床

 浮泥が多い底床
 浮泥が多い底床の表面
 浮泥をついばんで育つ魚
 底床表面付近のミジンコ

※ 念のためですが、以上は、質問の範囲内で「このような方法でも維持が可能です」と言っているだけであって、「こういう維持が良い維持方法だ」と言っているのではありません。そういう気は私にはまったくありません。誤解無きようお願い致します。また、水槽のセッティングの説明にこのような水槽の「画像」を使用していることがありますが、つけてある「説明」はこのような水槽を作るための説明ではなく、一般的なセッティングの仕方の説明にしてあります。


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