HPを別窓で開く
 

 : 『割箸式拡散器』から出る気泡数を発酵式で安定させる方法を教えてください。

 1リットルのペットボトルの発酵式で、水槽にCO2を添加しています。拡散器はこちらのサイトで紹介されている『割箸式』を自作してつけました。しかし、気泡の出方が最初からずっと安定しません。まったく出て来ない状態が続いたあと、いきなりブシュブシュッっと大量に出てきます。そしてそれが止まるとまた気泡がまったく出て来ない状態になります。少しずつ安定して出てくるようにするにはどうすれば良いのでしょうか。作り方も点検しましたが間違っていないと思います。水槽は30センチ水槽です。よろしくお願いします。


 : 別の材質の割箸を使ってみる、切り込みを入れてみる、もっと硬いボトルにしてみる、などの工夫ができます。しかし、そもそも『割箸式』は高圧で添加するときに使うためのものです。

  ご相談のような症状は、ほとんどの場合次のような過程で発生しているはずです。
1.チューブの先端(=この場合は割箸)に、発生したガスがスムーズに出て行くだけの通り道が無い
2.ガスが内部に徐々に溜まり始める
3.ペットボトルやチューブにある程度の柔らかさがあるためそれらが膨らむことでその圧力を吸収している
4.ボトルやチューブの膨らみの限界が近づいてくると内部の圧力がさらに高まる
5.ガスの圧力が先端の抵抗力を上回った時点で一気に放出される
ご相談の水槽でもこの過程が繰り返されているのだと想像されます。したがって、改善は以上の過程それぞれに対して行えば良いわけです。


細い溝を一筋つけた割箸

 まずは先端の抵抗力を下げてみましょう。具体的には、中詰める木材をバルサ板や竹(薬品処理されていない竹箸など)のような通気性の良い材料に変えてみる、あるいは、詰めるものに細い溝を一筋欠いておく(右図)、切断をできるだけ鋭利な刃物で行い断面が潰れないようにする、などの工夫です。
 また、ボトルの膨張量を抑えることでも“膨らんでガスを溜め込む → 一気に放出”という動きを小さくできますね。ですから、ボトルを内圧により強い構造のものに変えたり、ペットボトル以外の堅牢なものに交換したりすることでも改善が図れます。ボトルと拡散器の間を結ぶチューブについても同様です。

 ただ『割箸拡散器』は、そもそも高圧でガスを送り出すことを念頭に考案したものです。発酵式のように低圧のガスで利用することを前提にしていません。
 発酵式に用いると、その割箸や竹箸をチューブに押し込む構造ゆえ、必ずチューブとボトルの内部の圧力が増します。すると、ご質問のような症状に加え、内部の発酵物が一気に水槽の中に入り込むといったトラブルが起きえます。ボトル内部の発酵物には糖類の他にアルコールも含まれますから、それが水槽の中に多量に入ると水槽内のバランスを大きく崩してしまいます。さらに、内部の圧力によってチューブの接続部が外れたり、場合によってはペットボトルが破裂したり、といった人身事故につながる可能性もあります。
 したがって、「基本的に、割箸式は発酵式には向かない」と理解しておきましょう。趣味のもの・・それも雑草や小魚を育てるために、あえて家族を危険に晒す必要はないはずです。 また、そもそも発酵式は、手軽に安価にCO2添加が実現できるのが利点の添加方法です。拡散器に手間をかけ、トラブルに頭を悩ませていたのでは本末転倒でしょう。きっちりと安定して供給させる必要があるのならば、お金を惜しまず高圧ボンベとタイマーを使うべきです。両方法ともそれぞれに短所と長所があり、どちらの短所も簡単には補えないからこそ、どちらの方法も廃れずに残っているのです。

 私としては、発酵式に使う拡散器は、エアストーンを素直に使うのがお奨めです。 エアストーンならば内部の圧力が危険なほどに高まることはありませんし、ご質問のようなトラブルで調整に悩まされることもありません。また『いぶきエアストーン』のように微細な泡が出ることに定評のあるものを選べば、無駄になる泡が出ていても水草の生長には著しい添加効果が見られます。したがって、実際上、無駄無く安定的に溶解させることで悩む必要性は低いはずです。安定的かつ、高効率の添加を目指すのならば、繰り返しになりますが、高圧ボンベとタイマーでなければいけません。逆に言えば、安価で手軽な発酵式でそれが実現できるのならば、誰も高価な高圧ボンベとタイマーを買いませんよね。両者は別のものなのです。
  もし、「そういう添加効率や水草の生長の問題ではなく、自分で作ることを楽しんでいるんです」ということであれば、様々な危険性があることを踏まえた上、上述のような工夫を参考に、更なる工夫を凝らしてみてください。


BACK