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 : ハイグロフィラやルドウィジアの葉が白っぽくなってしまいます。

  水槽を設置してから4ヶ月ぐらい順調にきました。しかし最近になってハイグロフィラ(ポリスペルマ)やルドウィジア(たぶんレペンスだと思います)の葉が色が抜けたような状態になってきました。葉脈の周りが白っぽくなっています。ネットや本で調べてみたら、「白化」と呼ばれる状態のようなのですが、手当ての仕方がよく分かりません。「カリウムを補給すれば治る」と書かれている場合があれば「『メネデール』などで鉄分を補給するのが良い」と書かれている場合もあります。ほんとうのところはどうなんでしょうか。アドバイスをお願いします。


 : 最適な手当てはそれぞれの場合で異なります。一概には言えません。

  水草の葉に「白化」と呼ばれる症状が現れるのは、端的に言えばその部分に葉緑素などが少ないためです。つまり十分な光合成が行われていないのでしょう。光合成が盛んな状態でそのような症状が現れることはまずありません。
  では水草が葉緑素を十分に作れない原因としてはどのようなものがあるでしょうか。光が足りていない、水温が適応範囲外になっている、pHや硬度が合っていない、栄養が足りていない、など様々考えることができるはずです。ですから、ご質問の水槽についても、まずは育成に関わるすべての項目をチェックする必要があるでしょう。そのチェックの結果、「栄養分の不足以外にあやしい点はない」ということであれば、その段階で初めて検討の対象を栄養分の不足に絞るのが良いと思います。
  また、栄養分の不足が原因だとしても、どの栄養分が不足しているのかを見極めるのは簡単ではありません。主要な栄養分=窒素・リン・カリのどれかが不足しているのかもしれませんし、微量栄養分である鉄やマグネシウム・カルシウムなどが不足しているのかもしれません。さらに、どれかが不足しているのはなく、どれかが過剰になっているためにそれと拮抗関係にある別の栄養分が吸収されにくくなっている可能性もあります。
  したがって、栄養分に問題があると考えられる場合の現実的な手当てとしては、まずは換水や底床掃除によって今存在している栄養分全体を減らし、そのあとでバランスの良い肥料などを与える、という方法になるでしょう。ベテランになれば、それまでに自分が行ってきた施肥と水草の挙動、今の状態などを総合してどの栄養分が不足しているのかある程度は判断できるようになりますが、最初から簡単にできることではありません。よって、まずは栄養分全体を減らして→再補充という方法が簡単だと思います。

 ちなみに、「白化が見られたら〜〜が不足している」という単純な図式の説明は、あくまでも参考程度にすべきだと思います。鉄剤を売りたいメーカーは「白化が見られたら鉄分不足です」と言うでしょうし、カリウム剤を売りたいメーカーは「白化はカリウム不足が原因です」と言うでしょう。窒素剤を売りたければ「白化の本当の原因は窒素不足です」と宣伝し始めます。この趣味の世界では、残念ながらそれが現実です。
  また、浅い経験しか持たない個人の方が導き出された結論も同様です。たとえば、たまたまカルシウム不足で白化が起きている水槽に、たまたまカルシウム剤を入れたため、それで白化が改善されれば、「本当の白化の原因はカルシウム不足だ」と、単純に結論づけてしまっている可能性があります。また、たまたま鉄分不足になっている水槽に、たまたま鉄剤を入れて、それで症状が改善されて、「白化は鉄分不足が原因だ」と決め込んでいる可能性もあります。逆に、窒素不足で白化が起きている水槽に、メーカーの「白化はカリウムで治る」という宣伝を信じてカリウム剤を入れた場合は、白化が治まらないので「白化の原因は本当はカリウム不足ではない」と結論づけている可能性があります。ご質問にあるように、ネットや本に載っている情報がバラバラなのは、このようなところに原因があるのだと思います。

  白化に対する手当ての実際を考えると、葉の白化は肥料を控えめにしている水槽ではよく起きる現象で、長く水槽を維持していればその手当ての必要によく迫られるものです。珍しいことではありません。そして、私の水槽でもその手当てがよく必要になりますが、その手当ては水槽ごと、場面ごとで異なっています。蛍光管の交換で治ることもあれば、窒素肥料の底床への注入で治ることもあります。もちろん、鉄分の補給やカリ分の補給が必要な場合もあります。とても「白化=〜〜の不足」と単純に図式化できるものではない、というのが私の意見です。
  原因の検討にあたっては、最初はできるだけ対象を広くして、丁寧にチェックしていくのがかえって早道ではないでしょうか。


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