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 : 本などに「CO2添加必須」と書かれている水草は、水を弱酸性に保っていればCO2の添加が不要になるでしょうか

 最近疑問に思ってる事があるのですが、ネットや本・雑誌などに「弱酸&CO2添加必須」と記述されてるような草は、たとえ低pHの水槽で育てているのでも、CO2の添加が必須なのですか?
 これは近所の熱帯魚屋のおっちゃんの話しなのですが、「弱酸性の水をキープしていればCO2添加なしでも育つ。実際は魚や微生物がだすCO2で十分で、CO2の添加はpHを下げる為だ」と言っていました。確かに雑誌なんかでは低pHの草は高CO2で高pHの草は添加の必要なしと書かれてるのがほとんどだと記憶していますが、考えてみるとアルカリ系の草がCO2をあまり必要としない理由もわからないので、ある程度納得したのですが、実際はどうなんでしょうか?経験からどうでしょうか? 


 : 一概に言うのは難しいでしょう。しかし、pHを下げればCO2の添加の必要性が低くなるのは事実だと思います。水槽を維持していて実感できます。
 
 CO2の添加の必要性は、水槽の様々な要素によって決まってきます。水草の種類ごと遊離炭酸ガスをどのくらい必要とするか、や、水槽水のpHの高低、水温、水草の総量、光量、底床にいる微生物が生産するCO2の量、魚や貝や水草が生産するCO2の量、水に溶けている他のガスの量、水面から逃げるガスの量、炭酸水素イオンの量など、関わる要素はたくさんあります。したがって、「この水草には添加が必須」あるいは「この水草には添加が不要」などと一概に言えるものではありません。同じ水草でも、ある水槽ではCO2を添加しないと枯れてしまうのに別の水槽では添加しなくてもどんどん育つ、というようなことはよく起きます。
  こういったことは、実際に水草水槽を維持して経験を積んでいけば学べることですので、本当に水草水槽の維持について経験をもっている人ならば、「この水草は添加が必須」とか「この水草は添加が必要」と言い方や書き方はしません。うっかり、あるいは乱暴にそう言ってしまうことはあると思いますが、本や雑誌に書くのにそういうことはしないでしょう。もっと慎重になります。逆に言えば、そういう言い回しや書き方がなされている場合は「眉に唾をつけよ」という合図になるでしょう。
  ご質問の事例の場合、
・弱酸性の水をキープしていればCO2添加なしでも育つか
  →そういう場合や種類もある。よって「添加が必須」ではない
・実際は魚や微生物がだすCO2で十分か
  →そういう場合もある。よって「必須」とは言えない
・CO2の添加はpHを下げる為か
  →pHが高くないから添加の意味がある場合もあるし、添加で下がるから添加する意味がある場合もある。逆に捉えれば低ければ添加の必要性が小さくなるとも言える。炭酸水素イオンの量も含め、3つの要素が関係する点なので、どれを中心に考えるかで「原因-結果」「目的-手段」がクルクル変わる。よって、一面から捉えればそうも言える、ということになろうかと思います。
  また、ボンベなどによる添加が一般的になる前は、多くの愛好家が微生物や魚の活動で生産されるCO2などを有効に利用していろいろな水草を育てていた事実を考えれば、CO2の添加が必須である場合はごく限られていることも容易に理解できると思います。そういった昔の工夫の中ではpHを低く保つことが重要な要素となっていました。ですから、大きく捉えて言えば、「弱酸性の水をキープしていればCO2添加なしでも育つ」という意見に私も賛成です。
 いずれにしても、雑誌や本で読み齧っただけの似非(エセ)プロとは違う“本物のプロ”の方に出会えていると思います。幸せなことだと思います。生で直接得られる情報は本やネットの情報とはやはり違いますから、大事におつきあいしていきたいですよね。


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