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 : 「コケ」と「苔」などの違いと「区別がよくわかりません

  初心者アクアリストで「コケ」に悩まされています。ところでコケの情報を集めていると、人によって「苔」と書いていたり「本当は『藻』」と書いてあったりするのですが、これらはどう違うのでしょうか。またどういう区別があるのでしょうか。 


 : 「コケ」=「水槽の中で育つ、水草以外の植物」というのが、この趣味の世界の共通の理解だと思います。

 現状、アクアリウムの趣味の世界では、「コケ」や「苔」・「藻」という語がけっこう適当に使われています。ですから、それぞれの語が指す対象を生物学的な分類に沿って特定することはできないと思います。“あくまでも趣味の世界の便宜上のことばだ”と捉えておくのが良いと思います。
 あえてそれぞれの語を検討すると、「苔(こけ)」 は、正確に言うと「蘚苔類」のことで、ウィローモスやジャワモスなどがこの仲間ですね。胞子を作りながら世代交代を繰り返していく植物の一群です。「藻類(そうるい)」は、大雑把に言えば「種子植物・羊歯類・苔類以外の植物」のことです。また、「藻(も)」は、藻類の一部と水中の種子植物を合わせて指すことが多いことばでしょう。「金魚藻」とか「大房藻」とかいった語を思い出せば分かるように、一般的には「水草」全体を指していることも少なくありません。
  これらをアクアリストの言う「コケ」と照らし合わせてみると、まず、ウィローモスなどが嫌われるどころか逆に積極的に水槽に導入される事実を考えれば、「苔(こけ)」は使いにくい単語ですよね。また、「藻(も)」という単語は水草も含んでいますから、アクアリストの言う「コケ」とは完全に意味がズレています。一方、「藻類(そうるい)」ならば、比較的、アクアリストの言う「コケ」に近いはずです。まず、種子植物である水草の有茎草や根生草が対象から外れますし、ミクロソルムなどの羊歯類もウィローモスなどの苔類も外れます。逆に、原生生物である藍藻は対象に含まれます。
  このように検討すると、「藻類」という語がアクアリストの言う「コケ」とほぼ同じであることが分かります。しかし、このような検討がなされているのを、本でもネット上でも私は今まで見たことがありません('05.07現在)。すなわち、アクアリストの共通の認識があるとはとても思えません。また、所詮は趣味の世界の言葉ですから、あまり厳密に定義する必要があるとも思えません。さらに、「藻類」という語自体、実は厳密に定義されたものではなかったりします。加えて、「藻類」だと水槽で有益なミドリムシなどが含まれてしまうという不都合な面もあります。
  したがって、アクアリウムの趣味の世界の用語として「苔」などと区別するため、あえてカタカナの「コケ」と表記し、「コケ」=「水槽の中で育つ、水草以外の植物」と考えるのがもっとも現実的だと私は考えます。


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