■GOOD AQUA■
水草水槽のセッティング・・・ダイジェスト編3

最低限必要な道具
  


 

 「調和水槽」をセットするのに最低限必要な道具は、実はほとんどありません。極端に絞れば、水槽と土だけでできてしまいます。その水槽と土でさえも、水槽はウィスキーグラスで代用し、土はそのへんから取ってくれば、新たな出費はまったくなしでセットすることも可能です。
 しかし、このような水槽を立ち上げたり維持したりするのは、そう簡単ではありません。知識と経験が十分になければ、なかなか難しいものです。

 そこで、その「知識と経験」が足りない分は器具で補ってしまいましょう。

 もともと、アクアリウムという趣味は、器具のほとんどないところから出発したのです。そして、立ち上げや維持をより簡単に、誰にでもできるようにするために、今のような器具が発達してきたのです。
 ですから、初心者のうちは、器具をどんどん使うべきです。
 そして、技術が上がってくれば、自分の技術の不足を補ってくれていた器具を減らしていけばよいのです。

 ただし、いくら器具で補うと言っても、限度があります。すべて器械仕掛けにしてしまって、この趣味がおもしろいわけありません。

 ある程度は器具がないと難しい、でも、何でもかんでも揃えてしまうと面白味がない!
 そこで、以下では、この両方のバランスを考えて、必要最小限の器具を挙げてみました。


 

<セットの概観>

 

1.水槽

 一番最初に購入するものとして手頃なのは、幅60・奥行き30・高さ36センチの水槽です。
 材質は、透明度の高いアクリル製も良いですが、傷のつきにくいガラス製の方が初心者にはお勧めです。60センチのガラス製だと、安いものでは980円で売られていることもあります。
 外観は、ADA社が発売している「ウィルドグラス」シリーズのように水槽の上下左右のフチに黒い帯がないものが綺麗です。ただし、これは蓋が載せにくいという難点はあります。(参考:ADAウィルドグラス-P[60センチ]実勢約7200円)
 フチに白いシリコン接着剤が目立つものや黒い帯がついているものには、安価なものが多く、蓋なども載せ易くなっています。この辺りは好みで決めて下さい。

  私のお勧めは「NISSOスティングレー106」(60×30×36)です。前面の両サイドが曲げガラスになっていて、上下に黒いフチがついています。底値は2580円、実勢3800円程度です。
 (写真では、上に蛍光灯を1つ載せてあります)

 

2、照明

 水草が光合成をするには、太陽に代わる光が必要です。そしてその代わりをするのが、照明です。家庭用の照明で強過ぎるということはほとんど起こらないので、できるだけ光量を多く確保するように心掛けるのが良いでしょう。
 お金に余裕があり、明暗のはっきりした水景が好きな人は、メタルハライドランプがお勧めです。水槽の上の離れたところから照らすことになるので、水槽の上面がオープンになり、浮草や水面上に水草が花を咲かせる場面なども楽しめます。ボズシ工房で安く入手することが可能です。
 初期投資額を抑えたい、湿気の問題もあるので蓋を閉めたい、やわらかい光りが好き、ということであれば蛍光灯がお勧めです。

  蛍光灯なら、「ニッソー カラーライト600・2灯付」を2基用意すれば良いと思います。
製品としては、大きいし電力のロスは多いし、あまり良いものとは思えませんが、入手のし易さ、値段のこなれ具合などから、これが無難です。底値で、2980円、実勢で4800円ぐらいだと思います。
ガラス蓋(600円ぐらい)も買っておきましょう。

 

 

3.フィルター

 水槽内の汚れは、水槽内に自然に定着したバクテリアたちが分解してくれます。ですから、本来なら調和水槽ではフィルターは要りません。昔はフィルターなんか売られていなかったので、使わずに維持していました。「フィルターが無いと維持できない」と誤解している人も多いですが、そんなことはありません。
 しかし、水槽内のバクテリアの数が足りないときや、バクテリアにダメージを与えてしまったとき、ゴミを漉し取りたいときなどには、フィルターがあると心強いです。
 また、フィルターを使うことで水槽内に水流ができるので、ヒーターを使ったときの水槽内に部分的な温度差が無くなる・クリプトコリネのように水流を好む水草に良い・水と大気との間でガス交換が行われ易くなる、などのメリットも生まれます。

  お勧めは、60センチサイズの水槽なら「エーハイム2213NEW」です。底値5980円、実勢7980円ぐらいです。
濾過を強化したいなら、中に入れる濾材として、別に「エーハイサブストラット」(1400円程度)と化繊ウール(200円程度)の2種を買えば良いです。但し、付属のスポンジマットでも十分足ります。

 

 

4.底床材

 水草が根を伸ばすところ、というだけでなく、水槽内の水質を左右するもの、バクテリアが定着する場所、という意味でも重要なのが底床です。
 底床材は、水質への影響という面から大きく3つに分かれます。(1)水をアルカリ性に傾かせるもの、(2)影響を与えないもの、(3)酸性に傾かせるもの、の3つです。
 このうち、初心者の方にお勧めなのは、(3)の「酸性に傾かせるもの」です。“ソイル系”と呼ばれる土がその代表です。
 “ソイル系”の製品を使えば、自分で水質を調整しなくても、ある程度、自動的に水を弱酸性にしてくれ、今人気の南米アマゾン産を中心とした多くの水草が苦労なく育てられます。
 ソイル系の中で、総合的にお勧めなのは、ADAの「アクアソイル アマゾニア」です。9リットル入りのもので、底値が1480円、実勢2280円程度、3リットル入りのものが680円〜というところでしょう。60センチ水槽だと、9リットルでギリギリ足りますが、3リットル足して、合計12リットル敷くのがお勧めです。

  ADA「アクアソイル アマゾニア」9リットル入りと3リットル入り。
・ ADA社は、ソイルを敷く前に「パワーサンド(底床肥料)」や「クリアスーパー(木炭粉)」などを敷くように勧めていますが、無くてもOKです。
・ 初心者のうちは、レイアウトが最初の植栽一回きりで「バッチリ」決まるなどということは滅多に無く、後で何度か植え替えたりしながら整えていくことになります。このとき、ソイルの下に「パワーサンド」や他の種類の底床材を敷いていると、植え替えでソイルの表面に出てきてしまい、見た目がとても汚くなります。

 

 

5.肥料

 水草専用として、固形状や液体状のものが様々売られています。
 安く、かつ、効果的な組み合わせとしてお勧めなのは、カリ分補給用に「テトラ イニシャルスティック」、チッソ・リン・カリ補給用に園芸用の「ハイポネックス 洋ラン液120ml」や同じく「原液」と、鉄分などの補給用に「ハイポネックス 活力液480ml」です。これらを適宜添加します。「イニシャルスティック」は990〜1280円、「ハイポネックス」の120ml入りは560〜680円、「活力液480ml」が630〜1080円というところです。

  テトラ「イニシャルスティック」には、「テトラクリプト」(即効性のカリ分)と、計量用のミニカップが同梱されています。

 

6.サーモスタット&ヒーター

 水温の低下を感知するサーモスタットと、水を温めるヒーターは必ずセットで使います。一体型もありますが、1つ目は、別々に買うのが良いと思います。
 また、サーモとヒーターは、どちらか、あるいは両方とも、地震(水漏れ)対策品を選びましょう。過加熱で、通電がストップする機能がついているのが一般的です。ここで数百円をケチって家を燃やすのはバカげています。絶対に、対策品を買うべきです!

  お勧めは、ニッソーの「パワーセーフセット150W」で、サーモと対策品のヒーターのセット売りです。実勢、3920円程度です。

 

7.タイマー

 共生水槽では、毎日決まった時間に照明を点灯し消灯しなければなりません。また、二酸化炭素の添加もその時間に合わせなければなりません。これを手動で毎日規則正しくできれば良いのですが、実際はなかなか難しいです。そこで多くの人がタイマーを使っています。

  お勧めは、松下電工の「TE331」です。実勢価格は2800円程度です。これを照明用と電磁弁用に2つ用意します。

 

8.二酸化炭素の大型ボンベ

 水草の生長を活発にするとともに水を酸性に傾けるために、二酸化炭素を強制的に水に溶かし込む方法が採られます。
 二酸化炭素は、水草育成用に小型のボンベ(例えば74グラム入り)がショップで売られていますが、量の割りに高価なので、5キロまたは10キロ入りの大型ボンベを使っている人が多いです。
 この大型ボンベは、法律で緑色に塗ることが義務付けられているため、アクアの世界では、緑色のボンベ=「みどボン」と呼ばれています。
 みどボンは、残念ながら、一般的な流通にのっていません。入手するには、(1)酒屋さんでレンタルしてもらう、(2)扱っているショップでレンタルしてもらう、(3)酸素屋さんでレンタルしてもらう、(4)酸素屋さんなどでボンベを買う、ぐらいしか方法がありません。
 もちろん酒屋さんでは断られるかもしれませんし、扱っているショップが見つからないかもしれません。ここは自分の努力次第です。めんどうなら、少々割高でも水草育成用を使いましょう。
 また、ボンベを使わず、砂糖と酵母の発酵から生ずる二酸化炭素を利用するという方法もあります。これなら、手間はかかりますが、たいへん安価に二酸化炭素の添加が実現できます。

  ショップ経由で酒屋さんからレンタルしているみどボン(5キロタイプ)です。ショップの店頭に置いていなくても、一度店員さんに相談してみましょう。酸素屋さんや酒屋さんに口利きしてもらえることもあります。

 

 

9.減圧弁(減圧器、レギュレイター)

 大型ボンベも小型ボンベも、二酸化炭素はたいへん高い圧力で封入されています。そこで、二酸化炭素をボンベから導き出すには、圧力を下げる機器が必要になります。それがレギュレイターです。
 レギュレイターは、メーカーによって径が異なり、ものによっては一定のボンベにしか合わないものもあります。買うときには、必ずボンベに合うか合わないかを確かめます。
 大型ボンベ用のものとしてお勧めなのは、ADAの「アタッシュレギュ」です。

  ADAの「アタッシュレギュ」。実勢で8800円程度です。
入手のし易さと値段の手頃さからお勧めします。

 

 

10.電磁弁

 二酸化炭素は、毎日、定時に定量を添加した方が良いです。そこで便利なのが電磁弁です。ふつう、電流が流れると弁が開きガスが流れ、電流が止まると弁が閉じてガスの流れを止める構造になっています。これをタイマーにつないでおけば、たいへん楽に添加ができます。

  画像は私が普段使っているものです。レギュはデュプラの製品で、非常に良いものなのですが、残念ながらおいてあるお店が少ないです。
そのレギュからつながっているのが電磁弁です。画像のものは電気部品屋さんで買ってきました。
入手し易いのは、ADAの「EL-バルブ」で、6600〜7600円と、値段も手頃です。

 

 

11.スピードコントローラー

 略して「スピコン」と呼ばれます。二酸化炭素の流量を微調整するための蛇口です。様々なタイプが売られていますが、能力的にはそう大差ありません。

  PISCO社(注:アクアメーカーではない)の製品で、1100円で買いました。ADAから同じものが出ていますが、そちらは2200円ぐらいします。

 

 

12.耐圧チューブ

 二酸化炭素を供給するチューブ(細いホース)には、専用の耐圧型のものを用います。エアー用のものでは圧力に耐えられません。

  PISCO社のもので、100円/mでした。
ADAから様々な色のものが出ています。220円/mぐらいです。

 

 

13.バブルカウンター

 二酸化炭素の添加量を目で見て確認するためのもので、中に水を入れ、そこを通る気泡の数で確認できます。
 テトラ、ジャレコ、デナリーなどから発売されていたのですが、今は、どれも相次いで発売されなくなってしまいました。現在、簡単に入手できるのは、ADAの「CO2グラスカウンター」ですが、これは2700ぐらいします。安く上げるには、自作するしかないのが現状です。

  発売中止となったテトラのバブルカウンター。1000円で買いました。
ネットオークションで、デナリーやテトラのものがたまに出品されていることもあります。

 

 

14.逆流防止弁(逆止弁)

 夜間、二酸化炭素の供給を止めた時に、水槽内の水が電磁弁まで逆流してくるのを防ぐために取り付けます。製品によって、二酸化炭素には使えないものや、使えても頻繁に交換しないといけないものがあります。

  お勧めはテトラの「逆流防止バルブ」(画像一番上)です。
実勢280円ぐらいです。

 

 

15.二酸化炭素の拡散器(溶解器)

 二酸化炭素を水に溶け込ませるための機器です。各メーカーから様々なタイプが出ていますが、手入れのし易さや、見た目、しくみ、泡沫の細かさなどにそれぞれ特徴があります。

  価格、入手のし易さ、効果、などの総合点からお勧めなのが、興和システムの「CO2 Stone」です。実勢価格1200円といったところです。

 

16.その他

 以上の他に必要な道具としては、

・バケツやホース(水換え用)
・ピンセットやハサミ(水草を植えたり、刈ったり)
・底砂掃除具(お勧めは水作の「プロホース」。あれば便利。)
・塩素中和剤(水道水の中の塩素を無害化してから水槽に入れる)
・粘膜保護剤(魚を投入するときに持っているとベター)
・水温計
・バックスクリーン(水槽の裏に貼ると綺麗。画用紙でもOK。)
・魚掬いネット
・餌
・pH測定器や試薬類
・注射器(これで液肥を土の中に入れて水草の栄養を補給する)
・アクリル製三角定規(ガラス面のコケを落とすときに使う)

などが挙げられます。

01.10.10



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