■GOOD AQUA■

ミナミヌマエビ
 


01.08.09 02.04.18構成変更 03.01.14デザイン変更 10.01.15改訂


 

ミナミヌマエビ

 

<概観> 

 水草水槽の生物相を豊かにしてくれるエビの仲間としては、一番有益で飼いやすいたいへん魅力的なエビです。

  色彩のバリエーションが豊かで、コレクションして楽しむことができます。また同じ個体でも時期によって色や模様に変化が見られるので、これを観察するだけでも面白いでしょう。

  実用面でも優れていて、ヤマトヌマエビでは無理な細かい葉の隙間にまで入り込み、一生懸命にコケ取りに励んでくれるたいへん可愛い小型のエビです。
 

 日本産のものなら厳寒地で無いかぎり加温しないで一年中飼えます。ですからプラケースのような簡単なものに入れて机の上で楽しんだりできるのも手軽で嬉しいところです。

 加えて、ミナミヌマエビは淡水中で簡単に殖やせます。汽水を用意したりする必要がありません。家庭で繁殖させる喜びが味わえるのも魅力の一つでしょう。

 

ミナミヌマエビ ミナミヌマエビ

 

<入手について>
 
 このような紹介ページを作る以前は、熱帯魚ショップで売られていることがほとんどなく、売られていても“単なる観賞用の小エビ”という扱いでした。ですから、水草水槽の生態系を支える一員としてミナミミナミヌマエビの導入を勧めるには、釣り餌として販売しているお店を紹介するなどの別途の手当てが必要なほどでした。
  しかし、みなさんのご理解とご協力のもと、最近は水草水槽での有用性が広く認知されてきました。またその飼育の楽しみも広く知られてきたように思います。ネット上を見ると、以前はまったく存在しなかったミナミヌマエビの通信販売が、今では簡単にいくつも見つけられるようになりました。ヤマトヌマエビ一辺倒の流れから、むしろミナミヌマエビが主流になるぐらいの勢いを感じます(←だいぶん言いすぎ・・)。
  したがって、近所のショップで見つけられず、ショップでの取り寄せも難しいようならば、ネット上の通販ショップを利用するのも一法です。ぜひミナミヌマエビを水槽の一員として迎えてやってください。

 コスト的に一番安上がりなのは、自分で採ってくることです。西日本には結構あちこちにいます。
 次に安上がりなのは、釣り餌として売られているものを買う方法です。ただし、釣り餌として売られているものは、お店ごとに名前が違っていたり(たとえば「ブツエビ」などの名前)、スジエビなどが混じっていたり、水槽で飼うには弱り過ぎていたり、といった短所があります。加えて、そもそも生きた餌エビを扱っているお店が自体が少ないはずです。
  なので、車であちこち探し回ることを考えれば、値札として少々高く見えても熱帯魚ショップやネットで購入した方が結局安くつくかもしれません。


 ところで、ミナミヌマエビを入手する際には、ちょっと気にかけておいて欲しいことがあります。それは、ミナミヌマエビとその近縁種がごちゃまぜに売られている可能性がある、という事実です。朝鮮半島や中国、台湾などから近縁種がたくさん輸入されてきていて、それらがあまり区別されずに、また流通段階で無頓着に混合されて売られているようです。
  それらが水槽の中で果たす役割や能力についてはみな同様ですし、飼育方法も同じなので、水草水槽に導入するにあたって種類を区別することはさして重要ではありません。しかし、それらが屋外に流出していまうと、日本固有の種と交雑してしまう可能性があります。そして現在、実際に自然下で交雑が起き、それが一部、社会的な問題として取り上げられています。
  用い方から考えて、そのほとんどは釣り餌として買われて行ったものが原因であって、水槽からが原因である可能性は低いと思われます。しかし我々アクアリストも、水を換える時などは絶対に屋外に流出させないよう特別の注意を払うべきだと考えます。

  ※日本産のミナミヌマエビと、外国産のミナミヌマエビやシナヌマエビなどとの区別の仕方は、多くの方がネット上に情報を提供しておられます。ぜひ一度検索して調べてみてください。

  また、釣り餌として売られているものの中には、ミナミと同じ働きをしてくれる近縁種ばかりでなく、“入れてはいけないエビ”が混じっていることもあります。代表的なものは、スジエビと、ザリガニの稚エビです。
  両者とも肉食性が強く、夜間の消灯中に底に沈んで眠っている魚を襲って食ってしまうことがあります。またミナミヌマエビぐらいなら捕まえてしまいます。ですから、ミナミヌマエビとして売られているものを買って来たのであっても、水槽に導入する前には必ず丁寧に点検する習慣をつけましょう。

 

 

<水草水槽でのはたらき>

 一匹一匹のコケ取り能力は、はっきり言って大したことありません。ヤマトヌマエビなどに比べると非力です。しかし、ミナミも数が揃えば十分過ぎるコケ取り能力を発揮してくれます。コケのついてしまった水草を、コケの少ない水槽に放り込んでおくと、あっという間に綺麗にしてくれます。
  またたとえばヤマトヌマエビの場合、導入したヤマトヌマエビの数が発生しているコケの量よりも多ければ、ヤマトヌマエビはコケだけでなく水草の葉まで食べやがり・・失礼、お食べになられます。逆に、コケの量に追いつかなければ、新たに買い足さなければならなくなります。しかし、ミナミヌマエビの場合、ライフサイクルが短く、また汽水などを用意しないでも水槽内だけで繁殖してくれます。したがって、コケの量と個体数が合っていない時期があっても、少しの間我慢して観察していれば、自然とコケの量に見合う個体数に調整されます。さらに、一時的にコケが増減するようなことをしてしまっても、ミナミヌマエビならそれに合わせて増減してくれる柔軟さを持ち合わせています。

 また、ミナミヌマエビに限ったことではありませんが、エビには、コケ取りの他に水草の枯葉や魚の糞の分解を促進するという重要な役割があります。もちろんバクテリアやミジンコ、その各種酵素などが分解の主役ではありますが、彼らだけでは大きな葉っぱなどを分解するのに時間がかかり過ぎてしまいます。それでは鑑賞上良くありません。エビや貝を入れていない水槽だと、枯葉が長い間そのままの形で底砂の上に残っているので、そのことは分かりやすいと思います。たとえ水槽がうまく回り始めてからも、大き過ぎる物体はなかなか形が崩れません。
  この点、エビを水槽に入れると、エビたちが集まっては四六時中ツマツマとハサミを動かし、少々硬い葉っぱでも短時間で崩してしまいます。崩れた葉は、同時に活動する微生物たちによってされに小さく分解されていく仕組みです。 

 

ミナミヌマエビ ミナミヌマエビ

 

 水槽内で殖やせるミナミヌマエビですが、水草が少ないと稚エビを全部魚に食べられてしまい、「気がついたら1匹も残ってなかった」なんてことも起こります(これを逆に利用して、繁殖難易度の高い魚の稚魚育成を成功させる、ということも可能ですが)。
 また、寿命が短いエビ(1年程度)なので、いつも魚に食べられている状況だと、毎年新たに買い足さなくてはなりません。

 そこで、できれば意識的に、毎年自分で殖やして別容器に予備要員をストックしておくと足りなくなったときに安心です。

 

 ミナミヌマエビは、水草水槽・・とりわけ調和水槽を実現するのに、値段・はたらき・鑑賞性・自家繁殖性・飼育の容易度、どれをとっても高い点数がつけられる優れたタンクメイトだと言えるでしょう。 

 



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