■GOOD AQUA■

すいらく式「CRS繁殖法」
 


01.03.29 02.0418構成変更 03.01.14タイトル・デザイン変更


 

 前回にも書きましたが、初期の頃は勢い込んで赤ビー飼育を始めたものの「特別な扱いをしないといけない」と意識し過ぎたせいか、失敗の連続で、たくさんの赤ビーを死なせてしまいました。
 そこで、「赤ビーだから、」という特別な意識をスッパリ捨て、黒ビーやミナミヌマエビで何度もやってきたのと同じ繁殖方法に切り替えました。
 そのおかげかどうかはわかりませんが、現在に到るまで、産卵ペースが落ちることもなく長期に渡って繁殖し続けてくれています。「赤エビさまさま」です。
 以下は、この「すいらく式 赤ビー繁殖水槽」の紹介です。ご参考までにご覧ください。

 

<繁殖のための飼育の方針>

 
1.水質をどうするか

 水質は6.8〜7.4の範囲に保ちます。
 淡水域のエビは、ヤマトのように繁殖に海水を必要とするものも多く、ミナミやヌカの一部に見られるような完全陸封型のものの方が、進化の後ろに位置付けられるからです。すなわち、進化の大もとのところでは、海水の水質に適合していたはずなので、CRSといえども、海水に近づけた水質の方が調子が良いのではないか、と考えてのことです。
 しかし、多くの方が「弱酸性に保たないとダメだ」とおっしゃっていることも無視できません。そこで、間をとって、中性付近に保つことにします。
 ただし!セットしてから初期の頃はバクテリアがまだ十分に定着しておらず、アンモニアの分解がスムーズにいきません。したがって、アンモニアイオンが増えないように7.0未満を保たないといけません。

2.設備をどうするか

 できるだけシンプルにして、メンテナンスし易くなるようにします。これはいつも私が心がけていることなんですが、「部品の少ない機械は、部品の多い機械より壊れにくい」のと同じです。複雑にすればするほど見落としも起き易いし、問題が発生したときも原因を見つけにくくなるからです。

3.維持方法をどうするか

 短期的に維持するだけであれば、濾過さえしっかり回っているだけで足ります。これまでに何度も黒ビーを飼育した経験があるので、これはすでに分かっています。問題は、長期に渡って繁殖させる方法です。黒ビーでも、いつもここでつまずいています。
 他の方のHPでも「CRSが殖えていたけれど、1年半ぐらいたったら、気付かないうちに減っていて、殖えなくなった」と書いておられるのを見たことがあります。1年を過ぎてしばらく経つと全部居なくなってしまってHPがそのまま放置されている、というようなこともあるようです。やはり、私だけでなく、他にもこの長期維持の問題でてこずっておられる方はいらっしゃるようです。

 そこで、「長期維持」が難しい原因を、時間をかけて自分なりに推測してみました。
 そして導き出したのは、

・ ビーの数が増えるにしたがって、底床に加速度的に餌→糞の汚れが溜まっていく
・ しかし、稚エビがいるせいで掃除も滅多にできない
・ また、ビー繁殖用の水槽では、水草の根が底床中に張っているという状況はあまりなく、汚れが分解されにくい。
・ したがって、1年半ぐらい経つと水質がダメになるのではないか
という結論です。

 したがって、対策として、
・ 底床に糞(硝酸塩)が溜まらないようにする
・ 稚エビがいても掃除できるような設備にする
但し、
・ 水質が急変しない掃除方法でないとダメ
・ 稚エビの生育のために、ある程度の有機物は常に溜めておく
・ 濾過、有機物・微生物の発生、ビーの活動のし易さを考えれば、底床は敷くべきである
と思います。

 しかし、この対策の方針は、それぞれ正反対の要請がぶつかり合うものだけに、具体的な設備を決めるのにたいへん悩みました。

 そして悩んだ末、以下のような設備が一番良いという結論になりました。

 

 

<具体的なセッティング>

 
1.水槽

 60センチ水槽を用意します。赤ビーの繁殖のためだけにしては、ちょっともったいないような気もしますが、長期維持のことを考えれば、水槽は大きいに越したことはありません。ただ、広過ぎて餌を見つけられないやつがでてくるといけないので、餌は毎回正確に同じ場所へ投入するようにします。

60*30*36(NISSOスティングレー106)

 

2.濾過器

ホースを短く切ったものでP-1を接続
NISSOの上部式フィルター

 濾過器は上部フィルター1基だけにし、その吸い込み口にテトラのP-1スポンジをつけます。
 脱皮したての個体は、ちょっとした水質変化でも死んでしまうようです。稚エビは、特に脱皮を頻繁に繰り返すので、稚エビが居る水槽の水質を大きく変化させるようなことは厳禁です。
 この点、上部フィルターなら、濾材をちょっとずつまめに掃除することが可能です。また、汚れ具合を簡単にチェックできます。モーター音も一番静かですし。
 吸い込み口にP-1スポンジをつけるのは、その濾過能力、稚エビの吸い込み防止はもちろんですが、掃除をし易くするためです。底床の一部を手で扇いで汚れを舞い上がらせ、このP-1スポンジに吸いつかせたところでスポンジをはずしてすすぎます。こうすれば、メインの上部濾過器にいる濾過細菌に掃除でダメージを与えることがありません。

 濾過器の「サイズ」や「数」は、上部濾過1基のみで足りるはずです。ディスカスの成魚2匹を飼うのに、上部フィルター1基で足りるのに、その体重差からいって、CRS100匹や200匹のために、それ以上の濾過器が必要だとは、どうしても思えないからです。

 

3.濾材

 使い込んで硬度を上げなくなった「シポラックス」か、「エーハイサブストラット」がメインです。シポラックスは、かさばらないように割って鞍型にして使います。
 また、有機酸の供給、流木から出る色素の吸着、そして底床の大磯砂から溶け出てくる硬度物質の吸着のために、若干量の「アクアソイル」も加えます。

洗濯ネットに入れたシポとソイルの上にウールを敷きます。
左から、シポ、シポ、ソイル(アマゾニア)、ソイル、シポです。

4.底床

 酸処理をしてカルシウム分を取り除いた大磯砂(南国砂、フィリピン砂)を、ごく薄く敷き詰めます。粒の大きさは、掃除のし易さを考えて1分です。

ちょっと手で扇いだだけですぐに底のガラスが見えるぐらい薄く敷きます。

5.照明

 蛍光灯で、20W×2本です。
 NISSOのPG-2などの、赤い光が強い蛍光管をつけると赤ビーが綺麗に見えます。しかし、水草の育成を考えれば光量が多い方が良いので、見映えよりも実質を重視して「パルック」などが良いと思います。

 

6.二酸化炭素

 添加しません。添加しなくてもよい水草ばかりにしていますし、エビは二酸化炭素中毒になり易いからです。

 

7.レイアウト

 底床が薄くて水草を植えられませんが、水草は水質の安定と浄化に欠かせません。できるだけたくさん入れたいです。
 そこで、エビの隠れ家になる草と、底床に植えなくても育ち、且つ、浄化能力に優れたものを選抜しました。
 後景にはマツモを数本ずつ釣り用の板おもりで束ねたものを配置します。中景にはミクロソルム、ボルビティス ヘウデロティ、アヌビアス ナナをそれぞれADAの「リシアストーン」にビニタイでくくりつけたものと、小さな流木にドリルでたくさん穴を空けてウィローモスをくくりつけたものを数個置きます。前景はリシアを自作の金網ケースに入れて並べ、アマゾンチドメグサも板おもりで束ねて沈めます。また、水面には、アマゾンフロッグピットを数固まり浮かせます。

 マツモは、ご存知の通りたいへん生長が速く、環境の悪化にも強い草で水の浄化能力に優れています。
 流木に穴を空けたものは脱皮直後の個体や稚エビの隠れ家になります。シュリンプ栽培センターの「シュリンプハウス」のマネです。
 金網ケースに入れたリシアは稚エビの隠れ場所になるだけでなく、最下面の枯れていくリシアが孵化直後の稚エビの餌床にもなります。このリシアの床を作ると、稚エビの生存率がグンとアップします。これは黒ビーやミナミの飼育から得た経験です。

 ちなみに、マツモ、アマゾンチドメグサ、アマゾンフロッグピットの3つを、私は勝手に「浄化3兄弟」と名付けています。もちろん、他では通じません。
 この「浄化3兄弟」は、二酸化炭素の強制添加の必要も無く、低光量下でも盛んに生長します。まさにこの水槽の浄化にピッタリです。

 

水槽の前面に餌を落とすと、とたにワラワラと集まってきますが、普段はほとんどの個体が、後景やリシアの下に隠れています。シェルターが多いと、稚エビの生存率は高くなるのですが、反面、いつも見えないと「観賞の為に飼っているのに・・・」と、ちょっと複雑な心境になります(-_-;)まあ、餌の時間だけは観賞できるので、「これで良し」としますか・・。
ヨメはんいわく、
「エアコン完備の部屋に住まわしてもろて、食事もちゃんと時間になったら天から降ってきて、ほんで何の文句があんの?ちょっとぐらい出てきて愛想ぐらい振り!」
・・・たしかに・・・・。反論できませんです・・・

 

 
<維持方法>

 クロマを1日に2回80〜100粒(1匹に1粒〜2粒)ずつ。あと補助的に他の乾燥餌料をやります。
 うちでは、以前は茹でたホウレンソウなどもやっていましたが、リシアの弱ったところや、ウィローモスの新芽などを食べているのを確認してからは、それで植物性の餌は足りていると判断して、乾燥餌のみにしました。これまで乾燥餌のみで何の問題も発生していません。

 

換水

 換水は不定期で大丈夫です。PHが6.8〜7.4の範囲を外れたときに行います。うちでは、この範囲を外れていなくても産卵を誘発させたいときに行っています。
 必要無ければ1ヶ月以上換えなくても大丈夫です。
 量は2/3〜1/3ぐらいを適当に換えます。
 方法は、うちではテキトーで、蛇口からホースでドボドボ入れていますが、根性のないエビにはやらない方が良いと思います。塩素中和剤は、注水し始めたら素早く入れていますが、私の住んでいるところは、浄水場のサービス精神が旺盛なのか、塩素がたっぷり入っているので、いつも多目に入れています。
 もちろん、脱皮直後のエビには水質の急変は致命的なので、丁寧にやる方が良いに決まっています。できれば、ちゃんと水質調整した水を別の容器に作っておき、それを少量ずつ入れましょう。

 

照明

 蛍光灯はうちでは午後2時〜11時の9時間点灯させています。
 管は、切れるまで使い続けても大丈夫です。

 

掃除

 底床を手の平で扇ぐと汚れが舞い上がるので、その汚れがP-1スポンジに吸い込まれるのを待ちます。濁りがおさまったら、上部モーターを止めて、P-1スポンジを飼育水で揉み洗いして戻します。
 上部濾過の中は、原則として掃除しません。しかし、PHを下げたいときに、「アクアソイル アフリカーナ」や「アマゾニア」を追加したり入れ替えたりはします(濾過が効いてない水槽にソイルを足すと、若干ながら亜硝酸量が上昇するので、要注意です)。

 

その他

 私が心掛けているのは、「水質を急変させない」ということです。といっても、乱暴な換水もするので、まあ、適当なところもあるのですが・・。
 あとは、ときどきマツモのトリミングをしたり、餌を抱えているところを針金で突ついて驚かせたりしています。毎朝の挨拶もかかしません。(ウソ)

 



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