■GOOD AQUA■

レッド チェリー シュリンプの繁殖
 


10.01.29


 

レッドチェリーシュリンプ

 

 レッドチェリーシュリンプの繁殖は、基本的にミナミヌマエビやヌカエビなどと同じ経緯をたどります。したがって殖やすときも同じようにしてやれば大丈夫です。
 ただし、水温には要注意。日本産のミナミやヌカエビのように冬場に加温なし、というのにはちょっと無理があります(程度問題)。 ヒーターとサーモは入れてやりましょう。同時に水温を均一にするため何かしらで水流を作ってやる必要もありますね。熱帯魚の水槽であれば条件が揃っているのでOKでしょう。

 

チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ  当然のことながら繁殖にはオスとメスが必要なわけです。しかし、生まれて一月ぐらいはオス・メスの区別がまずつきません。頭の後ろあたりに濁りの塊が見えはじめるのを待ちまましょう。
  濁りの塊の正体は卵です。卵が卵巣の中で育っているのが透けて見えるのです。
 産卵から孵化までを一度経験したメスは、腹節の下側が広くなり卵を包み込むような形に変化させます。いったんこうなれば、あとは卵巣に卵が無いときでも簡単にメスを見わけることができるようになります。

チェリーレッドシュリンプ

 
 繁殖用のオス・メスをショップの店頭で購入する際には、綺麗な赤い個体ばかり選ばないようにすることが大切です。上述の通り、概して年老いたメスほど濃い赤色をしています。ですから、赤色の目立つ個体を選り分けて購入すると、その中にオスがいなかったりみな寿命が短かったりするのです。繁殖のために買う場合は、色とサイズにバリエーションをもたせるように気をつけましょう。

  レッドチェリーシュリンプの産卵の光景を見ることは、あまり難しいことではありません。コツは、照明の点灯前にマメに覗くことです。暗いところで産卵するのを好むので、点灯してから見つけるのは難しいと思います。点灯後は滅多に産卵を見かけません。“点灯前”がポイントです。
  ただ、カメラにもその光景をおさめようとすると苦労します。薄暗い状況で行われるため光量がまったく足りないのです。だからと言って無理にライトをあてると産卵に失敗していまうことがあります。

チェリーレッドシュリンプ  (→左画像) ある休日の昼前、間接的に水槽に日光が入っている状況で、産卵を始めようとしている個体を発見。
  このとき、卵は頭部の後方の卵巣の中にあって、一部が後脚の後ろから“ひり出され”始めた段階にありました。卵は驚くほど柔軟で、ジェリービーンズのような形で産道を通り抜けます。
  ※無理に暗いところを撮影しているので状況が分かりにくいのはご勘弁を。
チェリーレッドシュリンプ  通常は、卵巣から卵が順に産み出され、順に脚で腹脚の後方へ送られるのですが、この個体はどうも産卵が下手な様子。十数秒ですべての卵が外に出され、後脚の後ろで塊になってしまいました。
チェリーレッドシュリンプ  腹を頻繁に折り曲げ、塊になってしまった卵をなんとか腹脚の間にまんべんなく挟み込もうと脚で広げているのですが、いったん塊になってしまったらなかなか難しいようです。
チェリーレッドシュリンプ  苦労の末、なんとか卵を広げてつけ終えました。
チェリーレッドシュリンプ  この間、時間にして1分半ほどしかかかっていません。きわめてスピーディーな産卵行動です。

 

 産まれたばかりの卵は、明るいところで見るととても綺麗なクリーム色をしています。 チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ  ← ただ、黄緑色の卵が産まれてくることもあります。こちらの個体は、珊瑚砂を敷いたpHの高い水槽で飼いって繁殖のスピードを確かめたときのメスです。珊瑚砂の水槽ではみな黄緑色の卵を抱えたので、もしかしたらの硬度やpHに関係しているのかもしれません。
 新米ママさんたちは、最初の産卵では身体や腹節の大きさが十分発達していないからか、あるいは卵が大き過ぎるのか、このように腹脚から卵をはみ出させてしまっている個体をときどき見かけます。 → チェリーレッドシュリンプ

 チェリーレッドシュリンプ

 ← こちらはベテランの奥様で、身体は大きいのですが、大量の卵をうまくおさめ切らず、卵が下側にぶら下がってしまっています。
  ぶら下がった卵は、行動の邪魔になるから嫌なのか、脚で蹴り落として捨ててしまう現場を目撃したこともあります。
 産まれたてはクリーム色だった卵(左の個体)は、日時が経つにつれ黒っぽくなってきます(右の個体)。 チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ

 孵化が近づくと、卵の一つ一つに黒い小さな点が2つずつ透けて見えるようになります。中で育っている稚エビの両眼です。

 

 孵化はけっこうバラバラとしたタイミングで行われます。出てきた地エビはできるだけ親から離れようとするのか、そのほとんどが水槽の壁面にあたって、そのガラス面にへばりつきます。(右画像中央)
  目を凝らして観察すると、尻尾の周りなどに細かい毛が生えていて虫のように見えます。おそらく身体の構造からして稚エビは壁面にひっつきやすくできているのでしょう。
チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ  数日経つと、壁面から離れて水草の上に乗っかっているはずです。
 目立っていたしっぽ周りのの毛が減り、飛び出ていた目も目立たなくなってきます。 チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ  アップにするとこんな風貌。

 さらに数日経つとボディーラインがすっきりしてきて、かたち的には、もはや大人のエビと同じです。

チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ  ただし、色素が少ないのか、色はまだまだ薄いままです。
 このぐらいの大きさになると動きが活発になり、餌もたくさん摂って成長スピードが増してきます。ベアタンク飼育ならば、この頃を境に積極的な給餌が必要になります。怠ると生き残る個体がガクッと減ってしまいます。一方、底床があって浮泥などの有機物が多い水槽ならば特別の配慮は要りません。稚エビは身の周りにあるものを適当に食って大きくなります。 チェリーレッドシュリンプ
チェリーレッドシュリンプ  さらに数日経つと、葉から下りて親と同じように底床の上で生活するようになります。

「 Hello ! everybody !! 」

和訳:「みなさま、はじめまして。こんにちは。
小生、不束者ではございますが、以後
どうぞよろしくお願い申し上げます」

チェリーレッドシュリンプ

 

  



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