飼育中「どこかにミナミヌマエビと決定的に違うところは無いか?」と思い、いろいろ確かめるのに時間はかかりました。が、結果は最初の印象と予想の通り、「ミナミとおなじ」でした。かかった手間と時間と費用は無駄だったかもしれませんが、ちょっと飼って「こんなエビだ」と判断するのよりは、語る言葉に重みのようなものが・・、・・まあ・・・やっぱりそんなことはないようで・・・ ・・・徒労でした。 (^_^;)
あえて、ミナミと違うところを挙げるとすれば、まずは“鑑賞性”。地味な色の個体が多いミナミに比べれば、ご覧の通り、赤い色が多いレッドチェリーは目立ちますし、緑の葉の上で映えます。
次は、「耐高温性(耐暑性)」。夏場、本州以西で水槽に何も対策を施さなければ水温が30度を超えてしまいます。このとき、ミナミヌマエビならば、調子を崩す個体が急増したり繁殖が止まって個体数が激減することがあります。しかし、レッドチェリーは高温への適応力に少し優れ、32から33度くらいなら十分に耐えられます。うちでは一時的に35度くらいまで上がっても平気で過ごしていました。
また、高めの水温を好むためか比較的寿命が短く、早いサイクルで世代交代が起きる点も特徴的です。
ただ、世代交代が早く高温に耐えると言っても、ミナミとの差はわずかしかなく、普通に飼う分には大きなメリットだとは思えません。しかし、私のように水槽内の生物全体が調和した水槽を作り出して楽しむ分には、これが大きなメリットになります。
調和水槽の役割の一端をミナミに任せると、前述の通り、夏場の高温時に個体数も活動量も低下しがちで少々頼りない部分があります。この点、レッドチェリーだとその心配はぐっと少なくなります。また、ライフサイクルが短いということは、一定期間の中で孵化のタイミングが増えるということであり、魚に対して良質で栄養バランスのとれた保存性の高い餌が頻繁に供給されるということです。また、水槽内の環境の変遷に個体数が敏感に随伴し、全体としての安定性が増すということにもなります。つまり、調和水槽に限定すれば、魚への給餌や換水、水草への栄養補給、トリミングのタイミングなど、水槽の維持の隅々まで波及していく大きなメリットだとお分かりいただけると思います。
したがって調和した水槽を作るならば、価格面なども加味すると、今まではミナミヌマエビも最も有力な候補でしたが、これからはレッドチェリーシュリンプを一番にお勧めしたいと考えています。値段も最近は下がってきていて、1匹100円ぐらいのものもしばしば見かけるようになりました。このぐらいの値段なら、エビをレッドチェリーだけで揃えても、20匹で2000円です。たとえば60センチ水槽の立ち上げなら、初期の頃は水草の量も少ないでしょうから20匹ぐらいでスタート。水草の量の増加とともにレッドチェリーも増殖し、20匹から50匹ぐらいの範囲で自然に安定するはずです(もちろん積極的に給餌する維持方法ならばもっと殖やせますが)。