■GOOD AQUA■

レッド チェリー シュリンプ
 


10.01.06


 

レッドチェリーシュリンプ1

 

 アクアリストの間では、一般に「レッド チェリーシュリンプ」、あるいは「チェリー レッドシュリンプ」と呼ばれている小型のエビです。入荷が始まったのが2002年、というアクアリウムの世界では比較的まだ歴史の浅いエビ。
 我が家でも2002年から飼い始めて7年ほどが経過。人に「どんなエビ?」と聞かれて「こんなエビ。」と、そろそろ答えられそうになったので、今回はこのエビを取り上げることにしました。
レッドチェリーシュリンプ2
レッドチェリーシュリンプ3

 このエビ、飼育方法は、

  ・・・・ ミナミヌマエビと同じ。

 以上。

 

レッドチェリーシュリンプ4

『 すばやく逃げるレッドチェリーシュリンプ 』
 

  飼育中「どこかにミナミヌマエビと決定的に違うところは無いか?」と思い、いろいろ確かめるのに時間はかかりました。が、結果は最初の印象と予想の通り、「ミナミとおなじ」でした。かかった手間と時間と費用は無駄だったかもしれませんが、ちょっと飼って「こんなエビだ」と判断するのよりは、語る言葉に重みのようなものが・・、・・まあ・・・やっぱりそんなことはないようで・・・  ・・・徒労でした。 (^_^;)

  あえて、ミナミと違うところを挙げるとすれば、まずは“鑑賞性”。地味な色の個体が多いミナミに比べれば、ご覧の通り、赤い色が多いレッドチェリーは目立ちますし、緑の葉の上で映えます。
  次は、「耐高温性(耐暑性)」。夏場、本州以西で水槽に何も対策を施さなければ水温が30度を超えてしまいます。このとき、ミナミヌマエビならば、調子を崩す個体が急増したり繁殖が止まって個体数が激減することがあります。しかし、レッドチェリーは高温への適応力に少し優れ、32から33度くらいなら十分に耐えられます。うちでは一時的に35度くらいまで上がっても平気で過ごしていました。
  また、高めの水温を好むためか比較的寿命が短く、早いサイクルで世代交代が起きる点も特徴的です。

  ただ、世代交代が早く高温に耐えると言っても、ミナミとの差はわずかしかなく、普通に飼う分には大きなメリットだとは思えません。しかし、私のように水槽内の生物全体が調和した水槽を作り出して楽しむ分には、これが大きなメリットになります。
  調和水槽の役割の一端をミナミに任せると、前述の通り、夏場の高温時に個体数も活動量も低下しがちで少々頼りない部分があります。この点、レッドチェリーだとその心配はぐっと少なくなります。また、ライフサイクルが短いということは、一定期間の中で孵化のタイミングが増えるということであり、魚に対して良質で栄養バランスのとれた保存性の高い餌が頻繁に供給されるということです。また、水槽内の環境の変遷に個体数が敏感に随伴し、全体としての安定性が増すということにもなります。つまり、調和水槽に限定すれば、魚への給餌や換水、水草への栄養補給、トリミングのタイミングなど、水槽の維持の隅々まで波及していく大きなメリットだとお分かりいただけると思います。

  したがって調和した水槽を作るならば、価格面なども加味すると、今まではミナミヌマエビも最も有力な候補でしたが、これからはレッドチェリーシュリンプを一番にお勧めしたいと考えています。値段も最近は下がってきていて、1匹100円ぐらいのものもしばしば見かけるようになりました。このぐらいの値段なら、エビをレッドチェリーだけで揃えても、20匹で2000円です。たとえば60センチ水槽の立ち上げなら、初期の頃は水草の量も少ないでしょうから20匹ぐらいでスタート。水草の量の増加とともにレッドチェリーも増殖し、20匹から50匹ぐらいの範囲で自然に安定するはずです(もちろん積極的に給餌する維持方法ならばもっと殖やせますが)。

レッドチェリーシュリンプ5  エビの種類としては、ミナミヌマエビの仲間から赤が濃い血統を分離したもの、とされていますが、いまひとつ来歴がわからないエビです。
  我が家では一部を日本産のミナミヌマエビと一緒に飼っていますが、これまで交雑は見られていません。
  ただ、ネット上の情報によれば、外国産のミナミおよびミナミの近縁種との交雑が報告されています。ですから、遺伝子的には近いけれど日本産のものとは何か物理的な要因で交尾できないだけなのかもしれません。そのうち交雑する可能性も残されていると思っています。
 

 

レッドチェリーシュリンプ6 レッドチェリーシュリンプ7
レッドチェリーシュリンプ8 レッドチェリーシュリンプ8
   
  レッドチェリーシュリンプの重要な特性=赤い色ですが、濃さに明確な傾向が見られます。
  まずは、「雌雄」の差です。メスは濃く、オスは薄い、という傾向にあります。次が「成熟度」です。成熟すると濃く、若いと薄い、と言えます。

  右の画像はオスの若い個体(生後1ヶ月半)。 →
  精巣が十分に発達して成熟していますが、赤いスポットは小さくまばらです。
レッドチェリーシュリンプ9
レッドチェリーシュリンプ10  ← 同時期に生まれた個体ですが、こちらはメス。成熟は十分ですが、まだ産卵を経験しておらず、やはり赤のスポットが小さくまばらな状態です。
 二度目の産卵が近くなったメスです。 →
  スポットの色はあまり変化していませんが、やや大きくなり、全体として赤い部分が増えたように見えます。
レッドチェリーシュリンプ11
レッドチェリーシュリンプ12  ← こちらのメスも同じ。
 背中の中央あたりが特によくわかります。 レッドチェリーシュリンプ13
レッドチェリーシュリンプ14  ← これは4度目の抱卵をしている個体。頭の先から尾の先まで赤の面積が広くなっています。
 メスは抱卵の繰り返しで色が濃くなっていきますが、いったん濃くなれば、しばらく抱卵していない時期があっても薄くはならないようです。(薄い個体は薄いまま) レッドチェリーシュリンプ15
レッドチェリーシュリンプ16  ← メスの老成個体(生後8ヶ月)。長寿のメスは1年を超えて生き、身体全体が濃い赤色になります。肉眼で観察するとメタリックな質感があり、赤い鎧を身に着けているように見えます。
 ただ、全部のメスがここまで濃くなるわけではなく、多くの個体はその前に一生を終えてしまいます。また、このような濃い赤に包まれた個体も、寿命が残り少なくなっています。したがって、新たに購入する際は「綺麗だから」という理由だけでこのようなメスばかり選ぶのは避けるべきでしょう。 レッドチェリーシュリンプ17
レッドチェリーシュリンプ18  

メスは、老成個体になると多くが色だけでなく模様にも変化があらわれます。背中の中心に太く白っぽい筋が頭から尾まで届くように一本入ります。これは単に成熟しただけではなくさらに齢を重ねた老成個体に多く見られる現象です。
  この背中の一本線ですが、たまにオスの若い個体にあったりしますし、脱皮で一時的になくなることもあります。また、強い光をあてると濃くなり弱くすると薄くなる傾向もあり、現れる原因には老化以外も絡んでいるようです。

レッドチェリーシュリンプ19  オスの場合、老成すると赤のスポットひとつひとつが若干大きくなりますが、大半の個体はメスとは比べものにならないぐらい薄い赤で一生を終えます。

 

レッドチェリーシュリンプ20

 

  



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