カリ補給用液肥の自作法


ホームセンターなどへ行くと園芸用の肥料として硫酸カリがふつうに売られています。ですから、これを水草育成に試したことがある方もいらっしゃることと思います。私も試したことがあります。しかし、その使用時の濃度については、ネット上にも情報が無いため、多くの方が「だいたい」でしておられるのではないでしょうか。もちろん私はいい加減ににやっております。
この点、今回kasimaruさんがその濃度の適切な値の求め方を、きちんと計算式で表わして下さいました。この計算式で得られる濃度を基準にすることで、よりデータを適切に集めることができるようになるはずです。私のようなてきと〜な人間にはたいへんありがたい情報です。kasimaruさん、どうもありがとうございます。
※ 以下は主旨を損ねない範囲で、読み易いように少し編集してあります。 02.09.30
※ ポン太郎さんから情報をいただいて一部修正しました。 02.10.05
※ かずさんから情報をいただいて一部修正しました。08.12.02

 
自作カリ補給液肥の濃度計算について

kasimaru 2002/04/29

私がカリ補給液肥を作る際に行なう計算方法を紹介します。
ただし、化学は専門外なので間違っていた場合どんどん指摘して下さい。
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<自作カリ補給液肥の濃度計算方法>

(前提条件)
水槽中のチッソ分(N)を硝酸性チッソ:NO3^−とする。
硝酸イオン:NO3^− →分子量62
(チッソ原子質量比率:22.6%)

原料とするカリウムの形態を次の二種類の場合を考える。
@炭酸カリウム:K2CO3 →分子量138
(カリウム原子質量比率:56.5%)
A硫酸カリウム:K2SO4 →分子量174
(カリウム原子質量比率:44.8%)

水槽中に等量のチッソ原子(N)とカリ原子(K)が必用である事を前提とし、水10(L)中に1(mL)ワンプッシュ添加した時、1(ppm)の硝酸性チッソ(NO3^−)の中に含まれるチッソ原子(N)と等量のカリ原子(K)を補給できるカリ分(K2CO3 or K2SO4)が添加できる濃度、原料溶解量を計算で求める。
また、作る液肥の量は1(L)とする。

(定数)
アボガドロ定数:6.0×10^23
(分子がアボガドロ数個集まると、その質量は分子量と等しくなる。)

(算出手順)
1ppmの硝酸イオンが存在する水10L中の硝酸イオンの総質量は次の通り。
1000(g)x10(L)x(1EXP^−6)=0.01(g)
次に、0.01(g)中に含まれる硝酸性チッソ(NO3^−)の分子数は、
(0.01(g)/62(g))×6.022EXP^23(アボガドロ数)=9.713EXP^19(個)
このチッソ分子(N)に存在するチッソ原子と同じ個数のカリ原子を含むカリ分原料の質量を算出すると次のようになる。

(炭酸カリウム(K2CO3)使用の場合)
{9.713EXP^19(個)/6.022EXP^23(アボガドロ数)}(mol)x(1/2)x138(g):K2CO3分子量
=1.113EXP^−2(g)
この量の炭酸カリウムを
ワンプッシュ1(mL)で供給できればよいことになる。
すると、水1(L)に溶解させる炭酸カリウムの質量は次の通り。
1.113EXP^−2(g)x1000=11.13g
約11gの炭酸カリウムを1(L)の水に溶かせば良い

(硫酸カリウム(K2SO4)使用の場合)
{9.713EXP^19(個)/6.022EXP^23(アボガドロ数)}(mol)x(1/2)x174(g):K2SO4分子量
=1.403EXP^−2(g)
この量の硫酸カリウムを
ワンプッシュ1(mL)で供給できればよいことになる。
すると、水1(L)に溶解させる硫酸カリウムの質量は次の通り。
1.403EXP^−2(g)x1000=14.03g
約14gの硫酸カリウムを1(L)の水に溶かせば良い。

作る液肥の量を半分の500(mL)にするなら、溶かす量を1/2にすれば良い。
ワンプッシュの量が2倍の2(mL)の容器なら濃度を1/2=溶かす量を1/2にすれば良い。
ワンプッシュで2(ppm)分を補いたいのなら濃度を2倍にすれば良い。
ワンプッシュで20(L)分の水に見合うだけ添加したければ濃度を2倍にすれば良い。

基本的な数値が明確になれば、すべて簡単な比例計算で算出できるのでとても便利な指標になると考えます。

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計算の誤りを発見された方いらっしゃいましたら教えて下さい。
宜しくお願いします。


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