「旧型『2213』(50Hz用)から
新型『2213』に買い替える際の注意点」


以前Fast Carさんのサイトに掲載されていた記事ですが、私(すいらく)がお願いしてこのサイトに保存させていただきました。エーハイムユーザーには、アクアリウムを長く楽しんでいる方が多いはずですから、これは重要な情報の一つでしょう

 
旧型『2213』(50Hz用)から新型『2213』に買い替える際の注意点と体験談

Fast Car 2006/01/29

アクアをやっている人にとって、エーハイムは非常に力強い存在だろう。
私も15年程前からエーハイムの製品を使っているが、他メーカーとは比べ物にならない数字には表れない性能や使いやすさが気に入っている。何よりも耐久性がピカイチである。

私は、外部フィルターのトップブランドとしての「エーハイム」に全幅の信頼を寄せていた。

だが…



■ 代替機として新型を購入

我が家で10年ほど前に購入した「エーハイム2213」外部パワーフィルターが2台あるのだが、この10年間、一切の部品交換をせずに数年に一度のメンテナンスのみで動き続けている。

その中の1台の異音がこのごろ大きくなって来たので、分解してみると案の定「インペラ」の軸部分が磨耗して楕円形に変形していた。セラミック製のスピンドルも結構な磨耗をしていた。
まぁ、10年も部品交換せずに動き続けているのだから、そろそろ寿命である。

何年使っても補修用の部品が無くならないのもエーハイム良い所で、この10年物の2213の補修部品も全て供給されているらしい。

そんな訳で、インペラの交換をしようと近所の専門店を見て歩いたのだが、どうにも専用のインペラの在庫が無い。
2213と言ったら60cm水槽用として最も売れている外部フィルターだと勝手に思っているのだが、この2213用のインペラセットだけがどういう訳かどの店にも在庫が無い。

部品を注文しても良かったのだが、ちょっと面倒になったので新型の2213を購入した。
以前は地区別で50Hz専用機と、60Hz専用機に分かれていたのだが、現行製品は統一された50/60Hz共通機である。
引越しの予定などは全くないのだが、「便利になったな」と軽く考えて、NEW2213を手に入れた。

これが新しく購入した現行モデル。
エーハイム外部フィルター2213(通称NEW2213)50/60Hz共通機)。


数年前にモデルチェンジで無くなった地域別の50Hz専用機、60Hz専用機とこのモデルの計3機種が、「2213」と呼ばれる。

私は旧型の50Hz専用機を他に2台所有している。



10年前の2213と外観は全く一緒だが、濾過槽に若干の変更がみられた。
濾過材のケースが入っていて、その中に濾過材を入れる仕組みになっている。
入る濾過材の量は旧型と比べ減ってしまうのだが、日ごろのメンテナンスを考えると「良い仕様になったな」と思った。



いざ、セッティングして呼び水を行い電源を入れた。
「ガリガリガリ…」

外部フィルター特有のエア噛みの症状である。私の水槽は2段式水槽台の下段に飼育水槽があり、そこから給水パイプで引き込んだ
飼育水を、上段の濾過槽に送る仕組みにしている。揚水高さは約1m。

普段なら、何度か電源コードを抜き差しする事で大人しくなるフィルターがいつまで経ってもうるさい。全くエアが抜けないのだ。
何度も呼び水を繰り返し、フィルター内に残るエアを極力少なくしても「ガリガリ音」は止まらない。

念のため断っておくが、私はエーハイムを15年間使っている。呼び水やエア抜きが出来ない初心者状態では無い。

何時間もエア抜きを繰り返したが、結局「ガリガリ音」は止まらなかった。

エア噛みしている事で、流量も異常に少ないし揚水高さも全く稼げていない。排水と給水の高さを同一にするとかろうじて「ガリガリ音」は止まるのだが、どう頑張ってもフィルター内のエアが抜けていないし、肝心の流量はインペラがイカレた旧型のヘッドの方がずっと多い。
結局一昼夜フィルターを回し続けたが、エアは全く抜けず。水槽の周囲は新品のエーハイムが放つ「ガリガリ」音が響き続けていた。

使い物にならない…






■ 原因究明

新品ではあるが、一応インペラの状態などを確認しようとヘッドを外してみた。当たり前だがちゃんとセットされている。

どうにも訳が分からないので、それまで使っていた旧型の2213のヘッドと並べて確認してみた。

特に変な所は無い様だ。全ての部品がちゃんと組まれている。

※左が新型。Oリングの素材変更と、ヘッド部分にOリング保持の溝が加工されていて、この点、非常に使いやすくなっている。




■ 疑問

色々調べていくうちに、インペラのサイズが違う事に気が付いた。

左側の新型のインペラは、見るからに小さい。

旧型:35mm
新型:30mm

なんだこりゃ?これじゃ流量落ちるの当たり前…わざとやってるのか?
しかしヘッド部のシリンダー径は全く一緒。

※ノギスを使用して計測したが、加工誤差程度の差しかなく、設計としてはシリンダーは同一のサイズである。

この構成ではポンプ効果が半減するのは、素人目に見ても明らかである。


この時点で、エアが抜き切れない事も流量が少ないことも理由は分かった。これ程小さなインペラで流量が稼げる訳が無い

どう見てもこれはおかしい。同メーカー、同一の品名の商品でありながら、10年前の製品に比べて能力が劣るというのは少なくとも天下のエーハイムらしくないし、あってはならない事である。




■ これは仕様なのか?

「購入した熱帯魚店が、在庫していたこの2213の部品を他に使って、あとから補充する際に間違えて別の部品を入れてしまったのだ」と直感的に思った。
即、購入したお店に出向き状況を説明。熱帯魚店では「そんな筈は無い」と言う。そこで現物を確認してもらった。

「これは変だ」

お互いの意見が一致したところで、熱帯魚店で在庫していた他の2213の中身をチェックして驚いた。他の在庫品も全て小さいのである。
どうやらこれは「仕様」らしい。何故旧型と同形状のシリンダーに対して、明らかに1サイズ小さいインペラが使用されているのか…?
製造段階での部品間違いも考えられたのだが、私が買った製品と店が在庫していた複数の製品のロットはそれぞれ離れており、更に「仕様」である事を匂わせる。

オイオイ…エーハイムどうなってんだ?

ここまで来るとちんぷんかんぷんである。
仕様書では新型も旧型も50Hz地域で使用すると毎時440リットルの流水量があるとされている。同じシリンダーで、これだけ小さなインペラを使っていたのでは2倍早くインペラを回転させないと同程度の流水量を確保するのは無理だろう。
それに羽とシリンダのクリアランスがこれ程広ければ、揚水圧があがらないのも見て分かる。

新品を買ったのに、10年間使って経たりまくった壊れかけの旧型より能力が劣るなんて、まるっきり納得できない。

一刻も早くエーハイムジャパンに連絡を取りたいのだが、「夜間・土日祝日はお休み」と来た。私がこれを買ったのが金曜の夜。
結局来週の月曜までフィルターは使えない状態に追い込まれた。



● 仕方が無いので、自分で情報収集

ネットで集まった情報をまとめると、地域別に50Hz・60Hz専用機があった時には全く問題が無かったが、共通機が出てから50Hz地域で出力低下の不具合が始まったらしい。どうやら「60Hz地域のモーター回転数・ポンプ吐出量に合わせてインペラのサイズを小さくしてあるらしい」言うのが、大方の意見であった。
新型
50/60Hz共通機
( )内は60Hz地区の数値
旧型
50Hz専用機
毎時流水量
440L(500L)
440L
最大揚程
1.1m(1.5m)
1.5m
消費電力
5W(6W)
8W
インペラ径
30mm
35mm
ん゛〜。流量は変わらないが、最大揚程が1.5mから1.1mに変更されてるらしい。この点は明らかにインペラサイズが小さくなった事によるものと考えられる。確かに60Hz地域に合わせて揚程を調節したとしか思えない設定だ。これでは製品改良でも仕様変更ではなく改悪だと思えてしまう。

使い続けて来た2213(旧型50Hz専用機)の代替用として、新品のフィルターを買う場合1.5mの揚水力を50Hz地区で得るためには1クラス上の2215(1.2m)ですら足りず、2クラス上の2217(1.5m)を使わなくてはならない事になる。これは馬鹿げた話だ。


つまり…

旧型に比べ新型は揚水力が極端に劣るので、私の使用環境のように1mを少し超える揚程では排水の圧が上がらず、流量が全く確保出来ないため、エアが抜けない状態になり、異音がいつまでも止まらない不具合が発生していた、ということのようだ。








■ 商品名

少なくとも私の感覚では、製品名が同じという事は、最低限旧製品と同等の性能を持っている製品である事の提示であると理解している。また世間でもそうだろう。大きく性能が変わる場合は、どんなかたちであれそれが告知・広告されているのがふつうだ。

その点、商品改良がされたり仕様が変わるのは仕方がないことだが、仮に50/60Hz共通仕様になった事で、このような能力の低下をまねていているのだとしたら、私のようなユーザーには「改悪」となる。旧2213の後継機としては絶対に認められない。同程度の能力すら無いのだから。もしこれが仕様ならば2213ではなく2212とでも製品名を変えるべきだと思う。あるいは何らかのかたちでしっかり告知するか。


一般的な常識からして、消費者は同じ商品名ならば最低限同程度の性能を期待して当然だと思う。またメーカーはそれを裏切るべきではないだろう。50Hz地域に住んでいるユーザーが60Hz地域に住んでいるユーザーと同等の条件で製品を使えないのはおかしい。

特にフィルターと言う工業製品において出力「流量・揚水力」は大事な「性能」のひとつなのに、その部分が大きく変わってしまうのでは地域ごとに製品の評価が変わる事にも繋がる。


そもそも、以前は50・60Hz別々に製品を出してたのに、わざわざそれらを統合して50/60Hz共通機にした意味が分からない。メーカーとしてはアイテム数を減らせば保持部品も少なくなるだろうが、それ程大きな問題なのだろうか?。そんなにアイテム数を減らしたいのならば新型を次々と追加発売している現状は変だと思うし。




■ エーハイムの対応

納得がいかないので、エーハイムにメールを出したら、即日返信があった。
(基本的にエーハイムはメールでの質問に即日回答してくれる)

とりあえず現物を確認したいので2213を送ってくれ、との事。その間代替機を提供してくれると言う返答であった。
さすがはエーハイム。こういうところは素晴らしい。


しかし、やはりユーザーとしてはこの改悪ともとれる仕様変更に対して断固として抗議したい。私にすればこんな物は「2213」では無い。以前の2213の素晴らしさと比べれば2213の冠を付けることすら勿体無いと思える程貧弱な製品だ。

エーハイム社で「正常」と判断されたなら、自分でインペラ部分を旧50Hz専用機の羽と取り替えて使うつもりだった(おそらくこれだけで旧型と同等の性能になる)が、せっかく新型を新品で購入したのだから「なんとかして欲しい」とも思っていた。





■2005年10月28日追記

エーハイムから代品のフィルターが到着した。新型の2213の性能へのクレームに対し2215を送付するという対応。
助かった。
これなら我が家の環境でもちゃんと使える。


送ってもらった2215を水槽にセットしてみると30秒ほどでエア噛みも消え快調に排水される。流量も非常に多い。旧型の2213より若干多いと感じるレベルだ。

素直に、「やはり世界No.1のフィルターメーカーは懐の深さが違う。ユーザーの都合や状況をきちんと理解してくれる」と感心してしまった。





■2005年10月29日追記

メーカーと連絡を取り、不具合のあった新型2213のヘッドをエーハイムに着払いにて送った。
とりあえず回答待ちになる。






■2005年12月1日追記

メーカーにフィルターのヘッドを送付してから1ヶ月が経過した。
しかし今のところ何の返答も無い。

返答が遅い理由には2つ考えられる。一つは、私が「改良の余地があるならば期限を定めずにいつまでも待つ」とエーハイムに伝えた事だ。これはエーハイム側が代替品として2215を無償で貸し出ししてくれているから持てる余裕だ。

もう一つの理由は器具の構造上・設計上起こる先天的な不具合に関しては、日本のサービスセンターで対応せずドイツ本社の技術陣が当たるからであろう点だ。

いずれにしろ、私としてはエーハイムを信用して支払った価値に見合うだけの価値が手元に届いているので、今もエーハイムを選んだことに間違いは無かったと思っているし、今後もエーハイム製品を選ぶ気持ちではいる。
しかしそれでも、最終的には白黒つけたいと思っているのだが…。


別に急ぐ理由も無いので、気長に返事を待とうかと思う。





※2006年1月29日現在、連絡はまだ無し。


注意: 転載禁止。編集は私が行っていますが、著作権は各発言をされたご本人に帰属しています。 ご本人の承諾なしに転載することはできません。




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