密閉フィルター用静音ポンプの製作


竜鬼才さんから、汎用品として売られている電磁弁を入手するために必要な情報をご投稿いただきました。 竜鬼才さん どうもありがとうございます。 
02.12.28


密閉フィルター用静音ポンプの製作

dice-k 2002/12/13

 こんにちは、dice-kです。

 今回の自作は、「密閉フィルター用静音ポンプの製作」を紹介したいと思います。
 自作と言いましても、完全にゼロから作り上げるのではなく、市販品を改造して作ります。
 もとの製品の機構とは異なる物になりますので、タイトルには「改造」ではなく「製作」とさせて頂きました。
 ターゲットとなる商品は、テトラ ワンタッチフィルターです。似たような自作も見受けられますが、バリエーションが増えるのは良いことだと思いますので、発表させて頂きます。
製作なさる方は自己責任のもと行ってください。

 ワンタッチフィルターには、OT−30、OT−45、OT−60、OT−WがありますがW以外は使えます。Wは使えないと言うよりも、60と同じモーターのようなので改造するために高いWを買う意味が無いと言う事です。ですから解説は30〜60向けに書いています。


【製作】

(1) 本体の切断

 製作の中で一番しんどい部分です。

 まず、本体は大まかに言って2つの部屋に分かれていますが、それを分断するように切断します。

 この時力任せにやってると、一度切断した部分が摩擦熱で融着してしまい、刃が閉じ込められてしまいますので注意して下さい。

 次にポンプ室だけを切断するのですが、その位置はモーターをセットした状態で、モーターの端から1〜2センチ程上です。


 切断したポンプ室はやすり等で整えます。

(2) 吸水パイプの切断

 切断したポンプ室にモーターをセットし、吸水パイプをセットします。

 横から見て、ポンプ室の端から1〜2センチ程上を切断します。

 切断したパイプをやすり等で整えます。

(3) 天板の作製

 プラ板に、吸水パイプが入る大きさの穴を開けます。プラ板には上下左右、十分な余裕を持たせてください。
 セットするとこの図の様になります。

 ポンプ室に合わせてマジックで線を引き、はみ出した天板をはさみで切ります。 こうすることで吸水パイプを基軸に出来ます。
 これが歪むと失敗になりますので、きっちり吸水パイプをセットして、ずれないようにして下さい。

(4) パイプの加工

 ホースの継ぎ手となるパイプを切断します。 長さは3.5センチぐらいが適当でしょう。

 切断したらやすり等で整えます。

 三つ位作っておきます。

(5) ポンプ室の加工

 ポンプ室にモーターをセットしますと、空間の広い部分があります。そちら側の壁にパイプを入れる穴を開けます。
 穴の開け方は、最初パイプより小さい穴をドリルで開けておいて、リーマーで広げるのが良いと思います。
 パイプを差し込んで、接着しなくともグラつかない程度のキツ目がベストです。
 もちろん作業はモーターを外して行って下さい。
 次にパイプをはめてパテで固定するのですが、内に1センチ程度はめ込んで、内側、外側ともパテで固定します。ここはホースの継ぎ手となり相当力が加わりますので、取れてしまわないようしっかりと固定して下さい。
 ホースのはめ込み部分も1センチ程度は必要ですから、そこまでパテで埋めてしまわないようにして下さい。また、パテを使うとポンプ室がべたべた曇ってしまいますので、綺麗にしたい方はマスキングテープを貼るといいでしょう。

(6) 天板を付ける

 モーターをセットし、インペラーをセットし、吸水パイプをセットした状態で天板を被せます。

 吸水パイプがずれないように注意して、天板、吸水パイプをパテでポンプ室に取り付けます。

 しっかり固まったら、パイプを付けてパテで固定します。天板はおそらく柔らかくしなると思いますので、パテで固めておいてください。

 この作業過程でずれてしまいますと、モーターが外せない、もしくは再度取り付けられなくなってしまい失敗です。 また、それ程ずれなくとも、静音度合いに関って来ますので慎重に位置を決めてください。

(7) 補強

 パテの端はポンプ室等のプラスチックに馴染んでいない筈です。そこで念のためパテの端全てを瞬間接着剤で埋めてしまいます。

<裏技>
 いくら瞬間接着剤と言えども、直ぐには固まってくれません。そこでもぐさを用意し、台も適当にこしらえます。
 もぐさに火を点け、その煙を瞬間接着剤に当てると一瞬で凝固作用が起こります。
 ただ、あまりに急激なので沢山瞬間接着剤を付けていると、その表面だけが固まってしまい中は固まりません。ですのでその辺りは加減してください。また、もぐさは精製度の悪い安いもぐさでOKです。本来、水分に反応して固まりますので水でも良いのですが、こちらの方が作業性や固まり具合からみて良いようです。
 欠点としては、急速に固まらせると白くなってガサガサになります。



(8) 完成

 完成したら、図のようにぶら下げて使います。
 台は100円ショップで購入したワインラックなるものを使いましたが、何でもかまいません。
 ぶら下げるヒモはゴムを使用してください。一般にある輪ゴムでかまいませんが劣化が激しく、直ぐに伸びますのでその都度台に巻きつけて短くして使います。

【オプション】

 このポンプはシンプルな構造上、スターターが別途必要となります。
 スターターには灯油ポンプを使うと便利です。

 蛇腹から2〜3センチ直線部分を残して切断し、吸水側のパイプは根元から抜いてしまいます。

 このスターターの更にオプションとして、径変換ホースは作っておいたほうがいいでしょう。

 内径8.5ミリ、外径12.5ミリの耐圧ホース5センチ程に、一般のホース5センチ程を差し込み接着し、エアーポンプのホースを1メートル程接着します。

 一般ホースのサイズがちょっと不明なのですが、外径が8.5ミリ前後、内径が5ミリ前後の物を使います。

 使用するときに上記のスターターにねじ込みますと、耐圧ホースの径とスターター側の径がキツ目に合致し、色々な用途につかえます。
 例えば水合わせのとき等に、ホースに口で水を吸い込まなくても済みますし、CO2ストーンを漂白したときに、内部に水を通してすすぐ事も出来ます。少々の圧力では抜けないくらい強くはまりますが、脱着可能です。

 その他、このポンプを利用して密閉フィルターを自作した時に、水槽の吸水パイプが必要となりますが、このポンプの製作時に切断した吸水パイプが使えます。

 流量調節部に当たらないように、ホースの継ぎ手用パイプをパテで固定すれば出来上がりです。

 ホースを継ぎ手に繋ぐ時は、使い捨ての結束バンドを使用します。


【使用感】

 このポンプの一番のウリは、何と言っても静かさです。
 もともとワンタッチフィルターは静かなのですが、それをはるかに上回る静かさになります。

 私は寝っ転がって観賞する為にベッドに引っ付けて水槽を置いているので、頭からポンプの距離は50センチ強となります。しかしその距離でも動作音が聞き取れません。寝る頃になって、全てが静まり返って時計の秒針音が聞こえていても、ポンプの音はしません。慣れないうちは止まってるのかと心配になって、手で触って動いてるのを確認する程でした。

 ただし、この超静音タイプは30での話です。45でギリギリ、60では超静音タイプになりません(静音ですが)。
 どうしても音がする場合、モーターを捻って位置を変えると静かになる可能性があります。
その辺は、吸水パイプを取り付けるときの微妙なずれとか、製品の当たり外れによる所かと思います。



【注意】

 ただ静かなのは良いのですが、どうも流量が少ないように思います。
 吐出口によりますが私の場合、30では35センチ位の水槽でも弱い水流しか作れませんでした。
 45でも同様です。と言うよりも、30と45の差がよく分かりません。
 ポンプの消費電力を見ると、30のほうが45より増えていてちょっと謎です。効率が悪いのでしょうか。
 60になると水流は程々になってきて、45センチ水槽でも十分です。(60センチは未実験)

 完成したらバケツに水を張り、水漏れがないか循環させてチェックします。
 ポンプから水が漏れてくれば分かりやすいのですが、負圧になった場合空気を吸い込んで、
見た目漏れないので注意が必要です。



【材料】


テトラワンタッチフィルター
エーハイムパイプ
ワインラック
灯油用ポンプ
プラ板(下敷きで可。透明推奨)
耐圧ホース 外径12.5ミリ内径8.5ミリ 5センチ
一般ホース 5センチ
エアホース 1メートル程
結束バンド
エポキシパテ
瞬間接着剤

(もぐさ)



【工具】


糸鋸、コッピングソーなど
ドリル
リーマー
マスキングテープ
ニッパー
ラジオペンチ


【補足】

 解説図はあまり正確ではありません。ワンタッチフィルターの現物がないもので、なんとなくで描いてあります。 製作時には頭の中で補正してください(^^;

  


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