水槽の選択3(水槽総合)
  


02.06.30


 

■ 水槽の入手に関する問題

 どの水槽を買うかを決めたあと、実際に購入しようとすると、いきなり直面する問題があります。それは、「入手のしにくさ」です。

 水槽の購入方法は、大きくわけて2つあります。1つはショップの店頭で購入する方法、もう1つは通信販売で購入する方法です。あと、ネットオークションや掲示板上で行われる個人売買の方法もありますが、これは例外的と言ってよいほど少ないでしょう。

(1) ではまず、もっとも一般的だと思われるショップの店頭で水槽を購入する場合を検討してみましょう。

 たとえば、購入前に、市販の本やここのようなサイトで水槽に関する情報を仕入れ、「よし、これを買おう!」と決めてショップへ行ったとします。そうすると、きっとショップの水槽の品揃えの悪さに驚かされるはずです。ショップの店頭に、ポピュラーなはずの水槽があまり置かれていないのです。
 ショップには、「9点セット」とか「15点セット」といった、水槽にフィルターや蛍光灯などの飼育器具が付属した“セットもの”が置かれていて、“水槽だけ”というのは、意外に少ないのが現状です。そして、“水槽だけ”があっても、どう考えても他の器具よりも割高だったりします。小さなショップだと、「水槽だけというのは置いてないんです」と言われてしまうことさえあります。

 すなわち、大きなショップを除けば、ショップの店頭には「水槽」があまりないのです。

 店頭に水槽が単体で品揃えされていない理由については、「かさばる」、「儲けが少ない」といった理由の他に、「仕入れ値も安いセットものを売りたい」という理由やここでは書けないような理由など、様々あるようで、なかなか現状が変わる気配はありません。
 しかし、そこであきらめることはないと思います。“セットもの”しか置いてないのなら、セットものを買えば良いのです。と言っても、余分なものがたくさんついてくるセットものをそのまま買うのではありません。「セットものをバラして売ってもらう」のです。このリクエストには、多くのお店が応えてくれます。その理由をショップで聞いてみたことがあるのですが、仕入れ値の安いセットものはバラして売った方が儲けが大きい場合があるからだそうです。

 したがって、店頭で購入する場合、そこに水槽単体が置かれていなくても、あきらめずにセットものをバラして売ってくれるよう、交渉してみましょう。その際、「バラして、水槽だけを〜円で売ってもらえませんか」と、具体的に呈示すると、ショップの店員さんも損得の判断がし易いのできちんと対応してくれるはずです。ただし、常識的な値段を呈示しないとダメです。「100円で売ってくれ」などと言われれば、私なら殴ります。
 どうしてもバラすのがダメと言われた場合は、水で濡れた床に寝転んで手足をバタバタさせて駄々をこねてみましょう。そこまでやる人には売ってくれるはずです。子供にやらせず、自分でやるところがポイントです。

 ちなみに、ADAのキューブガーデン(旧ウイルドグラス)は、水槽単体でショップに置いてあることが多いと思います。

 

(2) 次に通信販売での購入の現状です。

 ネット上にサイトを開いているショップを見て回ると、すぐに気付くことがあります。それは、
1.そもそも水槽の通信販売をしていないお店がたくさんある
2.通販で売られている水槽のメーカーは限られている、あるいは偏っている
3.ショップによって値段がぜんぜん違う
という3つです。

 1の理由としては、輸送の問題があると思われます。引越しのときに水槽の輸送を断られた経験のある方もいらっしゃると思いますが、運送会社の中には輸送中の水槽の破損の責任を問われるのを避ける為に、水槽の輸送を一律に断る会社がけっこうあります。
 また、到着時に水槽が破損していた場合、それがどのような原因であろうと、実質上、ショップがその対応にあたらなければなりません。それを避けるため、というのも理由の1つとしてあるでしょう。
 他の理由も聞いたことがありますが、主にこの2つが原因で水槽の通販をしていないお店が多いようです。

 2の理由は、はっきりしません。ただ、メーカーによっては、安価で販売しているショップに対して「もうおまえのところへは品物を供給しない」といった違法なことを通告してくるひどいところもあるようです。また、ネット上のサイトという世界中から見ることができるところに価格を載せると、価格の引き下げ競争が激しくなって、「自分たちで自分たちの首をしめることになる」と考えているショップもあるようです。したがって、利幅の薄い商品が通販のリストから外されていることも多いようです。よって、リストに載っていなくてもTELで問い合わせると送ってくれることがあります。

 3の理由もよくわかりませんが、市場原理から単純に考えると、大量仕入―大量販売を行っている大型店ではマスメリットを活かして安く販売できているためだと思われます。

 

 ところで、実際に通信販売で入手しやすい水槽は、というと・・・

・ ADA社の水槽各種
・ ショップオリジナルのアクリル製水槽
・ アダージョ社とマーフィード社の海水用ガラス水槽
・ コトブキ社製ガラス水槽のごく一部

ぐらいで、ショップの店頭に置かれている種類よりもお粗末な品揃えなのが現状です。
 水草水槽用として適当なのは、ガラス製ならADA社の水槽ぐらいで、あとはほとんど見つけることができません(ただし、他のメーカーの水槽でも問い合わせをすると売ってもらえることがあります)。
 一方、アクリルは、希望に合ったものを見つけることが比較的簡単かもしれません。

 このような現状ゆえに、「定評があって、かつ、通販で買える水槽」を買おうとすると、自動的にADAの水槽を選ぶことになります。その他の水槽、たとえばニッソーのNEWスティングレーを買おうと思えば、通販ショップへ頼んで特別に売ってもらうか、ショップへ足を運ぶしかありません。

 

 

(3) 個人売買

 ネットオークションや、アクアサイトに設置されている掲示板を通じて水槽を購入する機会もあると思います。

 この場合に注意するべきことは、やはり接着部分の劣化の度合いです。既述のように、シリコンボンドで接着されている場合、そのシリコンボンドは時間とともに劣化しているはずです。
 個人売買の場合、ガラス板やアクリル板の傷と、水漏れがないかどうか、の2点にしか注意がいかないかもしれません。ですから、あえて接着部分に注意を向けましょう。ここが劣化していると、それまで水漏れが発生していなかったとしても、移動中にいったん乾燥させたことによって、買ってから水漏れが始まることもあります。

 


 

【水槽の選択についての私の意見(まとめ)】

 

 「どの水槽を買うか」を決めるにあたっては、まず、自分が目指しているスタイルをはっきりさせておくと後悔のない選択につながります。

 具体的には、
A: <水槽にフタをせず照明はメタルハライドランプを使うスタイル>、
B: <水槽にフタをして照明は蛍光灯を使うスタイル>  などです。
 他にもスタイルは色々考えられますが、最低でもこのどちらの方向でいくのかぐらいは決めておくことです。

 

 上の「A」のスタイルを目指すなら、私のお勧めは、ADAの「キューブガーデン(旧ウイルドグラス)」です。

 この水槽には長所が多いです。
・ ガラスの透明度が高い
・ 太い黒や白のフチが無い
・ 店頭に置いてあることが多いので入手しやすい
・ 通信販売されていることも多い
・ 他メーカーのものと比較して耐久性が高い
といったところが挙げられます。

 また、写真に撮って見るような、「その部分を切り取って観賞する場合」には、水景が狭く見えずにすみます(ただし、周りの家具などもそのイメージに合わせないと、部屋の中ではインテリアとして浮いた印象になりがちです)。

 この「キューブガーデン」シリーズには、さらに透明度が高い「キューブガーデン・クリア」がありますので、懐に余裕があれば、こちらの方がお勧めです。
 耐久性についてですが、発売から日数が経過して、そろそろ定評ができてきたように思います。60センチ以下についてはネット上でも水漏れのはなしはほとんど見ません。ただし、90センチ以上についてはときどきあるようです。
 「キューブガーデン」シリーズには、フタを載せるためのフックが付属しています(フタは別売)。

 

 「B」のスタイルを目指す場合、私のお勧めは、ニッソーの「NEWスティングレー NS-106」です。

 この水槽をお勧めする理由は次の通りです。
・ 発売から相当年数が経っていて品質に定評がある
・ もちろん耐久性も高い
・ 値段もこなれていて品質のわりに安くなっている
・ 店頭に置いてあることが多いので入手しやすい

 また、この水槽は、「部屋のインテリア1つとして観賞する場合」に、水槽だけが浮いたイメージにならなくて良いです。

 この水槽のように、黒いフチがついている水槽は、各社から色々発売されていますが、一番評判が良いのはこの水槽だと思います。
 フタは別売りです。フタは上部フィルターを使うとき用と外部密閉式フィルターを使うとき用の2種類が用意されています。

 

 ちなみに、私自身はというと、基本的にフチ有りの水槽に蛍光灯を載せて使っています。
 しかし、フチ無しのオールガラス水槽が嫌いなわけではなく、たまにオールガラス水槽&メタハラでオープンアクアリウムを楽しむこともあります。そして3年ほど使って水槽の寿命に不安がでてきたらその水槽を売り払い、フチ有りに変える、というようなことを繰り返しています。
 理由は、オールガラス水槽をオープン状態にしてメタハラや水銀灯で照らすのは綺麗でとても好きでも、そのスタイルの短所のために困ることが多いからです。魚が飛び出たり、子供が何かを放り込んだり、水草に合わせた照明の調整がほとんどできなかったり、部屋に湿気がこもったり、かと言ってフタはしにくいし・・・といった短所です。
 一方、フチ有り&蛍光灯だと、熱気がこもる、水槽に手を入れにくいなど、やはり短所があるのですが、それらはそれなりに手当てができる短所です。
 したがって、長い間水槽をいじっているうちに、自然にフチ有りの水槽を使うことが多くなっています。
 ただし、このあたりは、あくまでも「好み」の問題だと思います。

 



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