水草水槽のセッティング4・・・上部フィルター編
完成水景と各部
02.04.14
(5) 153日後
トニナやスターレンジなどを追加してから1ヶ月経ったところです。セット時からは5ヶ月経過したことになります。ここまでくれば、まあ、それなりに“観賞の対象”にはなるでしょう。
画像を見ただけではわかりにくいところを説明しますと、まず、左側の奥ですが、ここには実は草は植わっていません。上部フィルターだけでなくトニナや長く伸びたヘテランテラが光を塞いでいるので、ほとんど光があたっていないのです。
また、見えている石のいくつかは、この直前に追加してあります。最初からたくさんの石を水に触れるところに配置してしまうと、石から出る硬度物質が水草の生長に悪影響を与えることがあるからです。したがって、土を被せて水にあまり曝されないようにするとともに、飾りになる石はできるだけあとから徐々に追加するようにします。こうすれば石から一度に多量にいろいろなものが溶け出さず、水質の変化が緩やかになるので、悪影響も最低限に抑えられます。加えて、飾り石を最初から前景の明るいところに配置すると、もっともコケが多く発生時期に、石にべったりとコケの温床ができてしまうのです。よって最初のコケ多発時期が終わってから入れるのが良策なのです。
水槽右側奥の、上部濾過槽から水が落ちてくるところにも有茎草は植わっていません。小さな平石を置きその横に、シペルスと草体の硬いクリプトコリネ キリアータを植えてあります。
水草の配置の詳細については、画像をクリックすると見られます(「BACK」ボタンで戻って下さい)。画像でお気付きになると思いますが、新たに追加した水草はみな、光のよくあたる中景から前景に植えてあります。逆に、前景の両脇や中央部の谷間など光のあたりにくい部分には、元から生えているヘテランテラなどを一部移殖してあります。光量不足に強いですし、何より、もうこの環境に適応できている水草だからです。
<水景各部のアップ>
以下の画像は、この水槽の各部を拡大したところです。一瞥でおわかりいただけると思いますが、種類によってきれいに育つものとそうでないものがでてきます。同じようにセットしても同じ結果になることは少ないと思いますが、ご自分がセットされるときの参考になるかもしれません。
左
後景 水槽内の調子が整うと、トニナでも育つようになるはずです。この水槽でも元気に育っています。
中景 ピンネイトは残念ながらこの水槽では先が縮れてしまい回復しませんでした。しかし一般的にはこのような環境にも十分に適応できるはずの水草です。
中景 グリーンマクランドラは弱酸性を中心にわりと幅広い水質に適応できる水草です。この水槽でも綺麗に育っています。ただし、この水槽では葉をピンク色にするためにあえて肥料を削ってあります。葉のこのピンク色は、いわゆる「白化現象」によるピンクです。
中景 ヘテランテラは適応できる範囲が極めて広いため、光がよくあたる前景にもあたりにくい後景にも使える便利な水草だと思います。このような水槽にはお薦めの種類です。
前景 この水槽ではディディプリスもグリーンマクランドラ同様、貧栄養のために緑色が薄くなり赤味が強くなっています。個人的にはこの方が綺麗だと思います。
中央
中〜後景 リスノシッポ(ロターラ ワリッキー)は環境に極めてうるさいように言われることもありますが、実際は徐々に慣らせばこような環境にも適応できます。レイアウトに柔らかい印象を与えることができる便利な水草なのでぜひ使ってみて下さい。
前景 左半分はトロピカ社のモス、右半分は日本産のモスです。状態は「まあまあ」のレベルに留まっています。
右
後景 後景 ロターラ ナンセヤンも、このような環境に十分適応できる水草でしょう。 ロターラ マクランドラ(ナローリーフ)は今回うまく育っていません。本来なら十分に適応できるはずなのですが。
前〜中景 ハイグロフィラも丈夫な水草のはずなのですが、この水槽では光量不足の症状が強く出て綺麗に育ちませんでした。
<最後に>
このように上部フィルターの水槽セットでも、いくつかのポイントを確実に押さえればそれなりに鑑賞できる水草水槽を作り上げることができます。実践を伴っていない「上部フィルターじゃ無理」という否定的な意見に必ずしも従う必要はありません。
ただし、ここまでご覧いただいたように、一般に「水草水槽に向いている」とされる水槽セットと比べると、やはり難しい部分がいくつかあります。したがって、水草水槽をセットするのにあえて上部フィルターのセットを買って来る必要はないと思います。「せっかく買った上部フィルターのセットがもったいない」、「器具をあれこれ買い足すにはお小遣いが足りない」というときにのみこの例を参考にしてみて下さい。