すいらく流 水草水槽の奥義〜その2
「ほどほど」
  


魚や水草や微生物が共生する水草水槽を維持するのに「鍵」となる事柄についてのページです。
02.10.18


 

1.よくある失敗の原因

 水草水槽だけでなく魚だけを飼っている場合も含め、アクアリウムを維持していると、みな多かれ少なかれ失敗を経験しているはずだ。そして、その失敗の最も多い原因の1つは、「やり過ぎ」によるものであろう。
・魚をたくさん入れ過ぎた
・セット後、早く入れ過ぎた
・エサを毎日やり過ぎた
・急に温度を変え過ぎた
・一度に水をたくさん換え過ぎた
・pHを下げ過ぎた
・フィルター掃除をし過ぎた
・肥料を一度に入れ過ぎた
・二酸化炭素を溶かし過ぎた

・・・などなど、「やり過ぎ」が原因で起きる失敗には、みな心当りがあるはずだ。もちろん私も例外ではない。

 一方、同じように原因として多くを占めるのが、「不足」によるものだろう。。
・光量が足りない
・二酸化炭素が足りない
・肥料が足りない
・換水が足りない
・pHの下げ方が足りない
・エサの頻度が足りない

・・・などなど、「不足」が原因の失敗にも、みなやはり心当たりがあるはずだ。

 

2.維持に意欲的なときの原因=「やり過ぎ」

 水草水槽を始めたばかりの頃は、水草水槽の維持に必要なものがどんなものであるかさえまだ理解できていないのが普通だ。したがって、、水中の二酸化炭素量が足りなかったり、光量が足りなかったりしても、それに気付くことさえない場合がある。よって、スタートしたばかりの時には「不足」が原因の失敗が多い。
 また、水草水槽の維持に飽きて手入れが疎かになってきたときにも、「不足」による失敗が多くなるようだ。めんどうでサボったために換水不足になる、施肥をしなかったために栄養不足になる、など、様々な失敗が起きる。

 しかし、このような水草水槽維持の最初と最後を除いた真ん中の期間、すなわち、水草水槽の維持に励んでいる最も長い期間に、ついつい起こしてしまう失敗は、「やり過ぎ」だ。
 「水草の生長をもっと良くしたい」、「もっと魚が活発に動くようにしたい」、「もっとコケを減らしたい」、「もっときれいな水景を作りたい」という気持ちが、ついつい「やり過ぎ」を引き起こしてしまうのだ。


 私もよく無意識のうちに「やり過ぎ」で失敗してしまう。
 そこで私が水槽の手入れをするときにいつも自分に言い聞かせているのが、「中庸(ちゅうよう)」だ。分かり易い言葉で言えば、「ほどほど」ということだ。
 水を換えるときにも、塩素中和剤を入れるときにも、トリミングをするときにも、何かを自作するときにも、保温対策をするときにも、いつ「ほどほど」と心掛けている。こうすれば、失敗が減ることを経験から学んだからだ。

 誤解のないようにしていただきたいのは、「中庸」や「ほどほど」は、「真ん中を狙う」ということではない。何か幅のあるものを頭の中に思い描いてみて欲しい。ここで言う「ほどほど」とは、その真ん中の点を目指すのではなく、その幅の両端からはみ出さない、ということを意味しているのだ。
 自分で料理をする方なら、味付けの場面を考えていただければ分かり易いはずだ。料理本のレシピを見ながら作るのでもなければ、味付けをするときに、「塩は何ミリグラム、醤油は何ミリリットル」とはしないはずだ。「だいたいこのぐらい」とやってみて、足りなければ少しずつ足し、そして「まあ、このぐらいでOK!」としているはずだ。
 スキューバダイビングをする方なら、ボンベのバルブを開く場合を考えてみて欲しい。バルブを開くときに、ちょうど中間の開き具合にする人はいないはずだ。逆に最大にしたままにする人も少ないだろう。ふつうは最大に開けてから、バルブが食い込まないように少し戻すはずだ。
 そのような行為こそが、ここで言っている「ほどほど」の具体的な意味だ。

 

3.まとめ

 アクアリウムで起きる失敗の原因で、最も多いのが「やり過ぎ」と「不足」。その中で、維持に意欲的なときほどやってしまうのが、「やり過ぎ」による失敗。したがって、いつも「ほどほど」を心掛けると、失敗が減るはず。
 ただし、「ほどほど」は「過不足にならない」ということであって、「真ん中を狙う」ということではない。

 

 

 ふだんの生活で極端なことはしない方でも、「水草水槽のこととなるとついつい極端なことをしてしまう」、という方は、わりにいらっしゃいるのではないでしょうか。もしそんな心当たりがありましたら、ぜひこの「ほどほど」を心掛けてみて下さい。私はこれでずいぶん失敗を減ったように思います。

 



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