「使うかどうか」で迷ったら・・
  


01.12.19 02.05.31修正(「効果・効能」を「有効性」で統一)


 

1. 「これさえあれば飼育は完璧!」だとか、「これで水草はグングン育つ!」とかいった謳い文句の商品って、アクアリストにとっては魅力的ですよね。
 「今度は騙されないぞ!」って決意していたはずなにに、「もしかしたら、これは本当に効き目があるかも・・・」と、ついついまた買ってしまいます。
 そして、そのたびに
 「だぁ〜! また騙されたぁ〜〜!!」
 と叫んでいるのは私だけではないはずです。

 では、こんなバカバカしい買い物をしないためにはどうすればよいでしょうか。
 単純に「餌以外のものは買わない」というポリシーでいけば問題ないでしょうが、「本当に役に立つものなら欲しい」という気持ちが誰にでもあるはずです。
 では「他のアクアリストの情報に耳を傾ける」という方法はどうでしょうか。実際に使っておられる方の声は貴重ですし、ユーザー側の情報なら信用できそうな感じもします。
 しかし、実際にサイトや掲示板で交換されている情報を見て回ってみると、
・「この人、メーカーの回し者ちゃうか?」
・「おいおい、それ、カタログに載ってた情報、そのままやんけ。」
・「あっちゃ〜、その回答、あのサイトにあったレスのコピーやん。」
・「たしかに理屈ではそうなりそうやけど、それ、自分で確かめてみたんか?」
・「おいおい、それはたまたま、あんさんとこでそうなっただけでっしゃろ。」 というような感想をもつはずです。

 本当なら「正しい知識を持った人」による「繰り返し実験」できちんと確かめられた情報を得られればよいのでしょうけど、現実問題としてそれはなかなか難しいでしょう。


 そこで、今までに散々騙され続けてきた私が提案するのは、次の「3つの判断基準」を使って判断することです。

1.その商品が本当に必要なのかどうか? (必要性

2.購入や使用に支障はないか? (許容性

3.本当に効果があるのか? (有効性

 この3つの基準で判断してみるのです。



 もう少し詳しく説明します。

基準1: 「その商品が本当に必要なのかどうか」(必要性

 買いたい品物があれば、まずは「必要かどうか」を考えます。その品物が無いと目的が達成できないかどうかを考えるのです。どんなに効果が見込めるものであってもそもそも必要性の無いものをお金を出して買うのはバカげています。

基準2: 「購入と使用に支障はないか」(許容性

 次に検討すべきは「買って使っても支障は無いか」です。例えば、金銭的なこともこの基準で判断できます。あまりに高価なものならば、この基準でボツになります。あるいは、たとえ安価な品物であってもそれを維持するのにお金がかかるようならば、やはりこの基準でボツになります。
 また、許容性は機能の面からも検討しなければいけません。例えば、世間一般で有用だとされているものであっても、自分の水槽で使えるかどうかは別です。自分の水槽で使えるかどうかの検討が要るでしょう。
 にも、とても遠いお店でしか買えない、あるいは、使うのに手間がかかり過ぎる、複雑な操作が要求される、といった問題が無いかもこの基準の中で判断します。

基準3: 「本当に効果があるのか」(有効性

 買おうとしている品物に、メーカーや販売店が言っているような効果が本当にあるのか、それも念のために検討しなければいけません。一般にはあまり持ち出す必要のない基準ですが、悲しいかな、アクアの世界では必須の検討でしょう。


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 以上の3つの基準を、3つとも満たす時のみ、買う」という判断をすればよいのです。

 どうでしょう?これなら変な物をつかまされることが減ると思うのですが。

 

 

 

2. 次に、この3つの基準の“使い方”を、「ありそうな」ものを例にして説明してみたいと思います。

 <例1>

リンゴをウサギの耳つき型に簡単に剥くことのできる調理器具
『うさリンゴぴょん』 
定価500円 すいらく技研製

 こういう商品があって、買うかどうか迷っている場合に上の基準をあてはめてみましょう。

 まず、「有効性」です。この点、『うさリンゴぴょん』が店頭で実演販売で売られていたのなら、間違いなく効果を確認できますね。
 それから「許容性」はどうでしょうか。500円なら、そう高くはないでしょう。しかし、毎日のように使うのであれば別ですが、滅多に使わないのであれば周りに置いておくだけで「ジャマでしょうがない」という問題が起きえます。要するに、場所的な許容性がない場合があります。
 また「必要性」にも疑問があります。仮に毎日大量に「ウサギの耳つきリンゴ」を作る人ならば便利な器具のはずです。しかし、家庭ではそう頻繁に作ることは無いですよね。また不器用な人には必要性は認められるとしても、その必要性は小さいはずです。どうしても「ウサギ」にしないといけないようなことなんてほとんど考えられないからです。そして、もしこのような用途に必要性を認めるのであれば、「オレンジ剥き器」「トマト剥き器」「レモン切り器」「キュウリのヘタ取り器」「卵の殻剥き器」「豆腐切り器」「ネギ刻み器」・・・と、とめどなく買う必要が認められることになってしまいます。
 よって、3つの基準で、
有効性」 → OK
許容性」   → 場合による
必要性」   → 無し
結論  3つのうち1つは明らかに満たさないので「買う必要無し」  
という判断ができるはずです。

 ちなみに、この「有効性・許容性は認められるが、必要性が欠ける」というパターンは、アクア関係では、底床内ヒーターや、水質改善剤の類でよくありますね。

 

 では次に、2つ目の例です。

 <例2>

身に着けているだけで次々と「幸運」が訪れる不思議な指輪
『ウルトラ スーパー デラックス はっぴ〜リング』
定価19,800円 すいらく幸運研究所製

 この商品の購入について検討してみます。

 まずは「必要性」ですが、“幸せになりたい”と思わない人はいないでしょうから、幸運をもたらしてくれるものであれば手に入れたいと思うはずでしょうし、必要性も感じるはずです。
 次に、「許容性」はどうでしょうか。金額的にはちょっと高いような気もしますが、19,800円で幸運が次々とやってくるのであれば、安過ぎるぐらいですね。また、かさばるものではありませんから、場所的にも問題ありません。それから、これを身につけたからと言って大きな問題が発生するとは思えません。したがって、許容性も“あり”と言えるでしょう。
 しかし、問題は「有効性」です。この点、もしこの指輪に本当に幸運をもたらす効果があるのなら、この研究所はこんな指輪を1つずつチマチマ売ってないで、社長が宝くじを何枚か買ってくるだけで会社は十分にやっていけているはずです。社員も月給をもらうために働くのなんかバカらしくてやってられないはずです。指輪を買って、とっとと馬券を買いに行けば良いのですから。それが、こんな指輪を一所懸命に売っているということは、そのこと自体が、この指輪の「有効性」を疑わせるのに十分な根拠になります。
 よって、この商品は、
必要性」  →  あり
許容性」  →  OK
有効性」→  なし
結論 → 3つの基準のうち、1つを満たさないので、「買うべきではない」と、判断できますね。

 ちなみに、アクア用品には、このように「有効性」という基準にひっかかるものが色々あります。「水がたちまちピカピカに!」とか、「水道水がたちまち魚にぴったりに!」というような効果を謳っている商品には特に多いのは周知の事実でしょう。中には、副作用によって水槽にダメージを与えてしまうものもありますが、そういう商品は「許容性」も欠くことになります。

 

 

3. さて、ここまでは、買い物をするときを念頭においてお話ししてきましたが、上記の3つの基準は、買い物の場面以外でも有効です。

 例えば、「どうも水草の調子が悪いんだけれど、もう1つフィルターを足すべきなんだろうか?」という疑問をもった場合です。

 自分で判断するするために情報を、アクア関係の書籍やサイト、掲示板での質問などを通じて集めることになりますが、そのときに、3つの基準が使えます。

 具体的には、

「有効性」=フィルターの増設で、水草が復調する効果が得られるか?
「必要性」=そもそも今、手当てをする必要があるのかどうか、様子をみるべきではないのか?
「許容性」=フィルターの増設で別の問題は発生しないのか、金銭的、場所的にはどうか?

念頭におきながら本やサイトを読んだり、掲示板で質問することにより、妥当な結論を導くことができるはずです。

 

 余談ですが、色々な書籍・サイト・掲示板を見て回ると、これらをすべてきちんと検討しないままの情報がたくさん存在することに気付かれるはずです。CO2の添加装置1つをとってみてもそうですよね。
 たとえば、掲示板で、

 「水草の調子が悪いのですが、やはりCO2を添加すべきでしょうか?」
 という大きな質問がされていて、それに対して、

 「CO2は水草の生長に必須ですから、添加した方が良いですよ」
 という回答があり、さらに、

 「そうですか、どうもありがとうございます。早速、添加装置を使ってみようと思います
 なんていう返事で完結してしまっているスレッドです。こういうのを見かけたことがあるのは、私だけではないでしょう。

 この一連の会話は、よく考えてみれば、正しいとは言えないことに気付くはずです。
 まず、質問が抽象的過ぎます。これでは、的確なアドバイスを得るのは難しいです。やはり、「私の水槽では必要性があるのか、使って大丈夫なのか(許容性)、効果はあるのか」に分けて質問すべきです。
 そして、回答の方も、これでは、まったく足りていません。もし、この質問者の水草が肥料不足で調子をくずしていたのなら、CO2の添加は水草の不調に対してあまり効果がありません。また、質問者の植えている水草が、アンブリアやメキシカンバーレーンなどなら、CO2の強制添加の必要はありませんし、強制添加すればかえって草姿が悪くなってしまうので許容性すらありません。
 それなのに、「添加した方が良い」という結論を出してしまっています。・・・まずいですよね。

 

 

 

 というわけで、ここまで、大きく分けて、

 1.「使うべきかどうか」の判断基準の提案

 2.その基準の使い方

 3.その基準の有効性

 について書いてまいりました。

 

 以上について、何かご意見がございましたら、ぜひ掲示板などでお聞かせ下さい。

 



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