■GOOD AQUA■

水草水槽に関する書籍〜その3


-- 洋書類 --


02.02.02〜作成、03.03.23〜再編


 

■水草図鑑(ドイツ語)

「 AQUARIEN PFLANZEN 」

著:Dr. Hendrik C. D. de Wit/出版:Verlag Eugen Ulmer
1990.03/ドイツ語/3000〜3500円程度(税別)(DM49.80)
464p./上製本/241*170mm/ISBN 3-8001-7185-6

 
 
● 構成 :
 花の写真を中心としたカラーページが32ページありますが、それ以外はすべてモノクロのページで、水草1種ごとに特徴を記述してあります。

● GOOD : 
 精密な線画が随所に挿入されており、種類ごとの特徴がたいへん分かりやすくなっています。

● NO GOOD :
 カラー写真がほとんどないため、水草の色を目で確認できません。また、本文の方もドイツ語が得意でないと辞書を引き引き読まなくてはなりません。その上、専門用語が多いため普通の独和辞典には載っていない単語がいくつも出てきて難儀します。

● コメント
・ 端的に言えば、“水中植物図鑑”です。記述の仕方や線画の用い方など、学術的な植物図鑑と同じ形式になっています。したがって、“水草水槽の維持”についての情報は含まれていません。どこで、いつ、誰によって発見され、いつ記載されたか、どこに分布しているか、形態的な特徴はどこに見られるか、といったことを中心に書かれています。
・ 掲載されている種類が多いのですが、特に充実しているのがクリプトコリネのグループです。花序の状態やケトルの内部の様子などが線画も併用され詳細に記述されています。
・ クリプトファンなら持っておきたい1冊だと思います。アクアショップだと店頭ですぐに手にできることも多いと思いますが元値の2倍(6000〜8000円)ぐらいすることがあるようです。一方、ネット上のブックストアで購入すれば本体は3000円程度で済みますが、洋書であることに加えてマイナーな趣味の本なので探す手間と時間と送料がかかります(他の洋書でも同じことです)。購入にあたってはこのあたりのバランスを考慮して決定すべきでしょう。
   

 

■水草図鑑&水草の育方法の解説(ドイツ語)

「 Aquarienpflanzen 」
( 2, uberarb. & erw. Auflage)

著:Christel Kasselmann/出版:Verlag Eugen Ulmer(DATZ-Atlanten)
1
999.06/ドイツ語/5400〜6400円程度(税別)(EUR44.99/DM88.00)
504p./上製本/145*205mm/ISBN 3-8001-7454-5

 

新版


旧版
1995
472p./494Farbfotos/78DM
ISBN 3-8001-7298-4

 
● 構成 :
 ほぼ全ページにカラー写真が添付されているフルカラー印刷です。 最初の50ページ弱に水草の原生地についてのレポートがあり、次に、水草の生育に必要とされる温度・光・養分・水質についての説明、水草の花の形態、繁殖の方法、水草の選択方法についての解説などが数ページずつあります。そのあと、メインとなる水草1種ごとの解説が350ページほど続いています。

● GOOD :
・ この手の本によくある情報の寄せ集め的なものではなく、著者が実際に現地に出向いて集めて来られた独自のデータに基づき検討された内容の本です。したがって、この本でしか得られない情報がたくさん含まれています。
・ 日本の水草本を読んでいるとよくある、素人の私でさえも「そんなことないやろ〜」とツッコミを入れられるようなおかしな記述は見当たりません(全部を読み切ったわけではないですが)。読んでいると「そう、そう、この水草、そうやろ〜」という共感と、「へ〜、これはそうやったんかぁ〜」という新しい発見の連続になるはずです。

● NO GOOD :
・  仕方のないことですが、著者の地元(ドイツ)が基準になっているようで、蛍光灯ランプの種類や水質などが日本のものと異なり、結果、水草の生長の仕方などについて日本の環境で育成した場合とは異なった記述になっています。その点は自分で修正しながら読まねばなりません。
・ ドイツ語で書かれているのでドイツ語の辞書が必須となります。全部を読み終えるには相当の忍耐が必要とされるはずです(もちろん私にはムリ)。

● コメント : 
・ Ulmer出版からは、同じ「Aquarienpflanzen」という題名でDr.Wit版とkasselmann版が出ています。この本は後者で、95年に出版されたものの改訂・増補版です。
・ 学名に関する情報や現地の水質のデータ、育成に必要な条件、要求する栄養分など、kasselmann女史の丁寧な調査と実際に現地に出向いての記録が基礎になっていて、実に簡潔でいて正確な記述となっています。
・ 今は英語版が出版されているので、英語の方が読み解きやすそうならそちらを購入しましょう。
 

 

■水草図鑑&水草の育方法の解説(英語)

「 Aquarium Plants 」

著:Christel Kasselmann/出版:Krieger Pub. Co,
英語/英訳:Ulf Kotlenga and Andre S.J. van Proosdig/2002.10.01/518p.
11000円程度(税別)($84.50)/上製本/241*170mm/ISBN 3-8001-7185-6

 

 

 
● コメント : 
・ 「Aquarienpflanzen」のkasselmann(改訂・増補)版の英語版です。丁寧で正確な英訳なので、ドイツ語を1語ずつ読み解くのに比べると格段に労力が少なくて済むようになった、私にとってはたいへんありがたい本です(やはり英和辞典が必須ですが)。
・ 中はドイツ語版とほぼ同じです。同じ画像と同じ文章が載ってます。ただ、写真の何枚か(たとえば『エグレリア フルクトゥアンス』や『ハイグロ“コンパクト”』の画像など)が酷い色の印刷になってしまっています。ドイツ語版では綺麗な色の画像なので、英語版を作るときのミスだと思われます。これらの画像の水草については色がまったく参照できません。
・ Dr.Wit版が学術図鑑の視点で書かれているのに対し、このkasselmann版は「水草水槽」という趣味の視点から執筆されているので我々の参考になる情報がふんだんに含まれています。
・ この本は、海外のアクアサイトでもときどき“お勧め本”として名前が出ているようなので、しばらくの間はこの英語版が世界の定番になるのではないかと思います。中身の充実度、正確性、網羅性など、どれをとっても優れています。安くはないですが、それに見合う内容の本だと思います。お薦め。
 

 

■水草育成の基礎知識・水草図鑑と育成方法

「 Pflanzen im Suswasseraquarium 」

著:Bernd Greger/出版:Birgit Schmettkamp Verlag
1998.10/ドイツ語/4000〜8000円程度(税別)(EUR33.50)
312p./上製本/245*172mm/ISBN 3-9288-1916-X

  

 

 
 水草育成の入門書です。

● 構成 :
・ 全ページ、フルカラーです。
・ 最初の30ページ強に水草育成の総論があり水草の生理についてや器具についてなど、簡単に説明されています。
  その次に、水草が140種ほどアルファベット順に解説されています。

● GOOD :
・ 水草の種類ごとの解説には、美しい画像に加えて線画も添えられいて水草の特徴が分かりやすく示されています。また、1種ごとに最適な水温や向く底床の種類、CO2の添加の目安、レイアウトの中での用い方など、詳しく説明されています。

● NO GOOD :
・ 育てやすい種類の水草が載せられているのですが、その選び方は当然ドイツの事情に合わせられているので、日本で入門用とされている種類とはだいぶん違っています。

● コメント : 
・ ドイツ語文字を表記できないのでタイトルを「
Suswasser」と書いてありますが、正しくは、Sの次の文字はウーウムラオトで、3文字目はエスツェットです。
・ ドイツの月刊誌『das aquarium』の水草に関する記事の部分を再編集した本のようです。
・ 載っている画像や線画がどれも美しいのですが、装丁や表紙裏のデザインといった細かいところまでも美しく仕上げられていて、眺めているだけで楽しくなるような本だと思います。
・ 取り上げられている項目的には日本の水草本と大差ありません。むしろ、日本の事情に合わせて書かれている日本の本の方が役に立つように思います。
 

 

■水草水槽の維持方法の解説

「 Pflanzenaquarien gestalten 」

著:Christel Kasselmann/出版:Kosmos-Verlag
2001.03/ドイツ語/3000〜4000円程度(税別)(EUR24.90)
156p./上製本/250*175mm/ISBN 3-440-08518-X

 

 

 
● 構成 :
・ すべてフルカラー印刷のページで、1冊丸ごと「水草水槽についての説明」という構成です。

● コメント :
・ 水草の美しい画像が随所に挿入されていて、それらを眺めるだけでも楽しい本です。ただ、メインはやはり文章の方で、水草水槽の維持に必要な知識が詳しく説明されています。たとえば、水草育成に最適な条件、レイアウトの仕方、レイアウトに合わせた水草の選択の仕方、コケ発生への対策、水草の種類ごとの適応範囲といった項目から、買ってきた水草の処理の仕方やトリミングの仕方といった細かいところまでカバーされています。
・ 日本ではあまり見かけない新しい情報をいろいろ発見できて面白い本だと思います。
 

 

■ 水草育成の解説 & 水槽の設置・維持の解説 & 水草図鑑 & レイアウト作例集

「 System fur ein problemloses Aquarium 」

著:Ludwig Dennerle, Hans Lilge/写:Burkhard Kahl
DENNERLE/2000円程度/1990/128p./並製本/A5/ISBN(なし)

 

 
 有名なドイツの水草専門メーカー「デナリー」社が発行している水草入門書です。 (洋書)

● 構成 :
 全部カラーページです。前半はデナリー氏が提唱する水草育成(総論)と水槽の設置と維持法、およびレイアウトの作例集になっています。そして後半が水草図鑑と各種類の育成法の解説です。

● GOOD :
・ テトラ本に比べると画像もきれいですし、レイアウトも見易いです。
・ 水草専門メーカーであるデナリーの水草育成に対する考え方とその方法論を一通り学べます。

● NO GOOD :
・ 私の知る限り、ショップにはあまり置かれていないですし、置いてあってもドイツ語版なので、読むのに苦労します。
・ また、ページ数が少なくサイズも小さい本なのに色々な項目が詰め込まれているため、それぞれの項目の内容自体はそれほど充実しえいるとは思えませんでした。

● コメント :
 デナリー社からはドイツ語版、英語版、フランス語版が出されているようです。日本語版があるのかどうかはわかりません。私は見たことがないです。ドイツ語版は、以前はたまにショップに置いてありましたが、最近ではあまり見かけなくなってしまいました。
 ただ、ドイツ語で書かれてあっても、アクアの専門用語ばかりなので辞書を引けばだいたいの意味を把握できます。興味深い内容なので、ショップにあれば買ってみても良いと思います。
 内容的には、デナリー氏が提唱している水草の育成方法とレイアウト法を解説しているため、当然のことながら「デナリー製品をここでこう使うと良くなる」といったような記述が各所にあります。 

 ところで、ショップでは様々メーカーから発売されている色々なアクアリウム用品が並んでいますが、それらアクアリウム用品は、それぞれ、各メーカーの「アクアリウムの維持」に関する独自の考え方やノウハウに基づいて作られています。
 このことを逆から言えば、アクアリウム用品をうまく使いこなしたければ、「そのメーカーが、アクアリウムの維持についてどう考えていて、その製品は何の目的で作られているか」を理解していなければならない、ということです。
 そこで役に立つのが、この本のようなアクアメーカーが自ら編集して発行している本です。この種の本は、まともなメーカーはみな出ています。この種の本を読んで“内容を比較”すると、それぞれのメーカーの提唱する維持方法の差がはっきりわかるとともに、水草水槽への理解が格段に高まるはずです。
 

 

■水草(エキノドルス)についての情報

「 Echinodorus : Die beliebtesten Aquarienpflanzen

著:Christel Kasselmann/出版:Daehne Verlag
2001.9/ドイツ語/2800〜4000円程度(税別)(EUR23.50)
172p./上製本/241*176mm/ISBN3-921684-99-4

 

 

  
● 構成 :
・ 全ページフルカラー印刷です。
・ エキノドルスの「名前」「歴史」といった概論から始まり「育成の条件」や「原生地」の様子・データといった情報が本の前半に書かれています。そして後半に1種ごとの特徴や育て方のポイントなどが書かれています。また巻末には花粉の顕微鏡写真や種の比較画像などマニアックな情報も載っています。

● コメント : 
・ 著者のカッセルマン女史は数多くの現地調査をされてきた方だけあって、原生地ごとの貴重なデータがふんだんに掲載されています。
・ あまり厚くない本ですが、エキノドルスに関する情報が詰まっています。それも、他では見られないような珍しい情報が満載です。エキノドルス好きなら必携でしょう。エキノ好きのバイブル的存在になると思います。
 

 

 

 

 



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