<新版(2100種)>
2004年6月現在、国内でふつうに入手できる“熱帯魚&水草の図鑑”の中で最大掲載数をもつ本です(「2300ATLAS」は絶版なので)。
●構成
512ページのうち、416ページがカラーで残りが白黒ページとなっています。カラーページはほぼ全てが図鑑にあてられていて、飼育方法の概説などが白黒ページに収録されています。
● GOOD :
・前版と同じく魚の特徴をよく押さえたたいへん美しい写真が揃えられています。
・画像と解説が近くに配置されていて読みやすいのは前版と同じです。
・上製本ながら表紙がハードカバーではなくソフトカバーとなっているため、手にとってページがめくりやすいです。また本の背がきちんと布貼りで仕上げられているため、この手の本でよく発生するページの脱落や背表紙の折れなどが起きにくくなっています。この点、読み手の使いやすさにたいへんよく配慮されていると思います。
・前版は図鑑なのか入門書なのかよくわからない中途半端な構成の本でしたが、今回の版では“図鑑”としての面がしっかり押し出されているように感じました。
● NO GOOD :
・あまり欠点が見つけられない良いできの本だと思います。あえて欠点を挙げるとすると、掲載種数が一見すると600増えたようになっていますがよく見てみるとザリガニなどが掲載されていてこれらも数に含まれています。ザリガニを含めるぐらいなら、タイトルにある「水草」の掲載数をもっと増やべきだと感じました。
● コメント :
・最近の入荷種までカバーしていて掲載種数も多いですから、入門段階の図鑑として私の一押しです。水槽を持ったなら、とりあえず入門書としてマリン企画の「はじめての熱帯魚」と図鑑としてこの「2100種」の、合計2冊を揃えれば、初心者に必要な情報は一通り揃うと思います。
<旧版(1500種)>
熱帯魚図鑑と水草図鑑が合体したところへさらにアクアリウムの入門書を足したような本です。
● 構成 :
全体の8割ほどがカラー写真の図鑑部分で、残りの2割ほどの白黒ページ部分に、飼育方法の総論、水槽の設置・維持方法、繁殖のさせ方、熱帯魚の病気などについての解説が収録されています。
図鑑部分については、カラー写真が見開きの左ページ全面と右ページの周囲に配置され、右ページの中央に写真それぞれについての解説があります。
● GOOD :
・ 載っている写真が美しいです。上掲の「新熱帯魚入門」などと比べると写真1枚1枚の仕上がりが断然良いと思います。妥協の産物のような写りの悪い写真=「良い写真が調達できないから、まあ、これでも載せておくか・・」なんていう写真は1枚もありません。ところどころに挿入されている水槽のレイアウト作例の写真も美しいし、掲載されている公告の写真までみなきれいです。
・ 写真と解説が同じページに配置されているので読み易いです。
● NO GOOD :
本の構成には不満を感じました。この『1500種図鑑』が純粋な「図鑑」だとすると、掲載種がはるかに多いフェア・ウインド社の「2300ATLAS」が出ているので、改訂時にもっと掲載種数を増やすべきだったと思います。そうではなくて、この本が「入門書」であるならば、もっと解説部分を増やして欲しかったです。種ごとの解説部分は情報が少ないし、飼育法の総論部分も情報が足りないです。しかし、後にピーシーズ自体が「ピーシーズ版 アクアリウム入門」を出しているところを見ると、この本は入門書ではないのでしょうが・・・
● コメント :
「図鑑」という名前がついてはいますが、飼育方法や水槽の設置方法などの解説にも力が入った総合的な内容になっています。入門書と図鑑の合本、あるいは中間的な本といった感じです。
発行当時は“便利な一冊”でしたが、今となっては「中途半端な本」という印象を拭い切れません。「図鑑」としてなら掲載品種数の多いフェア・ウィンド社の「2300ATLAS」なりTFH社の「ATLAS」の方がお勧めですし、入門書ならば内容の充実している点で緑書房の「新熱帯魚入門」の方がお勧めです。
私は、他の図鑑に載っている魚や水草の写真でよく分からないことがあったときに、この「1500種」でひき直すような、そんな限定的な場合にしか使っていないです。
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