■GOOD AQUA■

水草水槽に関する書籍〜その2


-- 水草関係 / 水槽のバランス関係 --


02.02.02〜作成、03.03.23〜再編


 

■ 水草水槽(=魚 & 水草)についての知識

「 理想的な水槽 ―淡水水槽の設備と世話の入門― (第7版) 日本語版

著:Kaspar Horst、Horst E. Kipper 出版:AQUADOCUMENTA Verlag 第7版1992
2173円(別)初版1978 第5版1985 A4 208p 上製本 ISBN(なし)

 

第7版


旧版〔Tetra〕

 
 熱帯魚と水草の両方が入った水草水槽について、詳細かつ科学的に解説している本。ただし、Dupla社の社長が執筆者の一人なので、当然のことながらDupla社の提唱する維持方法に沿った内容となっています。

● 構成 :
 水草水槽の要素(底床、光、水槽、加温など)の1つ1つについての検討している部分と、管理方法を解説する部分の2つから成っています。

● GOOD :
・ 第7版まで続いている本だけあって非常に充実した内容になっています。 たとえば魚や水草の自生地で実際に行われた様々な測定のデータが載っていたり、水槽内の比較実験で仮説を裏付けていたりと、科学的なアプローチがしっかりとなされているのが印象的です。
・ また、日本のアクア本では一切触れられていない事実を知ることできたり、あるいは自分が「良い本だ」と思っていた本がこの本からネタをパクっていた、なんていうショッキングな事実を発見できたり、と、読めばいろいろと面白いはずです。ときどきある、想像や思いつきを平気で載せているアクア本とは明らかに一線を画した本だとおもいます。

● NO GOOD :
・ 残念ながら日本語訳がひどいです。文や単語の誤訳はもちろん、日本語として意味が通らないような訳がふんだんにあります。内容がすばらしいだけに残念です。

● コメント :
 著者の一人=Kipper氏は、Tetra社の系列会社であるHilena社の元経営者で、後にDupla社を興した方であるように記憶しています。Horst氏もDupla社の共同経営者だったと思います。・・・が、違っていたらすみません。

 第4版まではTetra社から出版され、その題名は「完全な水槽(Das Perfekte Aquarium)」でしたが、第5版以降はDupla系の出版社からこの「理想的な水槽(Das Optimale Aquarium)」の題名で出版されています。
 私の知っている限り、独語版・英語版・仏語版・中国語版・日本語版が存在します。
 最近は日本であまり売れていないようですが、昔はよくショップに置いてありました。初版以降「世界で最も売れているアクア本」と言われているベストセラーものです。

 この本は長年世界中の多くのアクアリストの目にさらされてきただけあって、上述のように、科学的な裏付けのある話しが中心となっていて、勉強になるのは間違いありません。苦労して読むことになっても、それだけの価値のある本だと思います。手に入ったら、途中でくじけずに最後まで読み通すことをお勧めします。
 

 

■ 熱帯魚図鑑 & 水草図鑑

「THE AQUARIUM 2300 ATLAS 熱帯魚2000種&水草300種大図鑑

フェア・ウインド 3800円(別) 1997.8.20
A4 433p 並製本 ISBN4-938954-85-0

 

 
 日本の熱帯魚図鑑の中では掲載されている種類数が最も多い本ですが、今は絶版となっていて中古品が入手できるぐらいだと思います。

● 構成 :
 ほぼ全編カラーページです。各ページの下段に種類ごとの解説が少しだけついています。

● GOOD :
・ この本の最大の長所は、何と言っても、掲載されている熱帯魚と水草の種類の多さだと思います。国内で出版されているこの手の本の中では、最多の収録数のはずです。
・ また、“図鑑”に徹した作りになっている点が読む側として嬉しいです。アクア本でたまにある中途半端な「飼育方法解説」でページ数をかせぐようなことがなされていません。1冊のほとんど全部が図鑑になっています。

● NO GOOD :
 版が重ねられていないため、記載の誤りが各所に見られます。初版の出版後に修正用のシールが配られましたが、それだけでは間に合わなかったらしく、さらに大きなA3サイズの修正一覧表が配布されたという経緯があったと記憶しています。
・ ナマズの仲間だけが他の種類と比して多数収録されていて掲載種のバランスは悪いと感じました。
・ 非常にポピュラーな種類であるのに載っていないないものもあるため網羅性という点で少し不満があります。

● コメント :
 日本で出版されている「図鑑」ではこの本がお勧め。次に挙げる「PLUS 1000」とセットで持っていれば重宝するはずです。
 

「 THE AQUARIUM 2300 ATLAS PLUS 1000 熱帯魚&水草1000種大図鑑(ATLAS2)

フェア・ウインド 2900円(別) 1998.7.29
A4 145p 並製本 ISBN4-938954-86-9

 

 
 上の「THE AQUARIUM 2300 ATLAS 熱帯魚2000種&水草300種大図鑑」の追補版として出版された本です。

● 構成 :
 正版と同じくほぼ全編がカラー写真のページです。

● GOOD :
・ 正版と同じく見易く調べ易いオーソドックスな図鑑形式です。
・ 現地の自生地で撮影された画像が多いので、その水草がどんな環境を好むのかを知ることのできる貴重な資料となりえます。

● NO GOOD :
・ こちらも正版と同じく記載に誤りが散見される点が残念です。
・ 水草に関しては、水上葉の画像だけしかない種類があり、参考にするときに困ることあります。

● コメント:
 上掲の正版で漏れていたポピュラーな種類や、新しく流通するようになった種類が収録されています。
 この本だけではあまり役に立たないですが、正版の「2300」と併せて持っていれば頼りがいのある図鑑となってくれるはずです。正版を買うときにはこちらも忘れずに購入しましょう。
 

 

■ 熱帯魚図鑑&水草図鑑

「 水熱帯魚・水草2100種図鑑 」

ピーシーズ 2004.6 3500円(込) 512p 上製本 A4 ISBN 4-938780-88-7

 

新版 2004


旧版 1999


旧々版 1993
 

<新版(2100種)>

 2004年6月現在、国内でふつうに入手できる“熱帯魚&水草の図鑑”の中で最大掲載数をもつ本です(「2300ATLAS」は絶版なので)。

●構成
 512ページのうち、416ページがカラーで残りが白黒ページとなっています。カラーページはほぼ全てが図鑑にあてられていて、飼育方法の概説などが白黒ページに収録されています。

● GOOD :
・前版と同じく魚の特徴をよく押さえたたいへん美しい写真が揃えられています。
・画像と解説が近くに配置されていて読みやすいのは前版と同じです。
・上製本ながら表紙がハードカバーではなくソフトカバーとなっているため、手にとってページがめくりやすいです。また本の背がきちんと布貼りで仕上げられているため、この手の本でよく発生するページの脱落や背表紙の折れなどが起きにくくなっています。この点、読み手の使いやすさにたいへんよく配慮されていると思います。
・前版は図鑑なのか入門書なのかよくわからない中途半端な構成の本でしたが、今回の版では“図鑑”としての面がしっかり押し出されているように感じました。

● NO GOOD :
・あまり欠点が見つけられない良いできの本だと思います。あえて欠点を挙げるとすると、掲載種数が一見すると600増えたようになっていますがよく見てみるとザリガニなどが掲載されていてこれらも数に含まれています。ザリガニを含めるぐらいなら、タイトルにある
「水草」の掲載数をもっと増やべきだと感じました。

● コメント :
・最近の入荷種までカバーしていて掲載種数も多いですから、入門段階の図鑑として私の一押しです。水槽を持ったなら、とりあえず入門書としてマリン企画の「はじめての熱帯魚」と図鑑としてこの「2100種」の、合計2冊を揃えれば、初心者に必要な情報は一通り揃うと思います。


<旧版(1500種)>
 
 熱帯魚図鑑と水草図鑑が合体したところへさらにアクアリウムの入門書を足したような本です。

● 構成 :
 全体の8割ほどがカラー写真の図鑑部分で、残りの2割ほどの白黒ページ部分に、飼育方法の総論、水槽の設置・維持方法、繁殖のさせ方、熱帯魚の病気などについての解説が収録されています。
 図鑑部分については、カラー写真が見開きの左ページ全面と右ページの周囲に配置され、右ページの中央に写真それぞれについての解説があります。

● GOOD :
・ 載っている写真が美しいです。上掲の「新熱帯魚入門」などと比べると写真1枚1枚の仕上がりが断然良いと思います。妥協の産物のような写りの悪い写真=「良い写真が調達できないから、まあ、これでも載せておくか・・」なんていう写真は1枚もありません。ところどころに挿入されている水槽のレイアウト作例の写真も美しいし、掲載されている公告の写真までみなきれいです。
・ 写真と解説が同じページに配置されているので読み易いです。

● NO GOOD :
 本の構成には不満を感じました。この『1500種図鑑』が純粋な「図鑑」だとすると、掲載種がはるかに多いフェア・ウインド社の「2300ATLAS」が出ているので、改訂時にもっと掲載種数を増やすべきだったと思います。そうではなくて、この本が「入門書」であるならば、もっと解説部分を増やして欲しかったです。種ごとの解説部分は情報が少ないし、飼育法の総論部分も情報が足りないです。しかし、後にピーシーズ自体が「ピーシーズ版 アクアリウム入門」を出しているところを見ると、この本は入門書ではないのでしょうが・・・

● コメント :
 「図鑑」という名前がついてはいますが、飼育方法や水槽の設置方法などの解説にも力が入った総合的な内容になっています。入門書と図鑑の合本、あるいは中間的な本といった感じです。

 発行当時は“便利な一冊”でしたが、今となっては「中途半端な本」という印象を拭い切れません。「図鑑」としてなら掲載品種数の多いフェア・ウィンド社の「2300ATLAS」なりTFH社の「ATLAS」の方がお勧めですし、入門書ならば内容の充実している点で緑書房の「新熱帯魚入門」の方がお勧めです。
 私は、他の図鑑に載っている魚や水草の写真でよく分からないことがあったときに、この「1500種」でひき直すような、そんな限定的な場合にしか使っていないです。
 

 

■ 水草図鑑

「 世界の水草 (全3巻)

ハロウ出版社(発売:星雲社) 山崎美津夫・山田洋 各2136円(別) 初版1994 並製本 カバー付 A5
1:180p ISBN4-7952-3012-9、2:168p ISBN4-7952-3013-7、3:180p ISBN4-7952-3014-5

 



 

 
 世界中の水生植物が集められている図鑑です。掲載数は540種類。

● 構成 :
 3冊ともほとんどがカラー写真と種ごとの解説で占められています。その他、第1巻には植物の形態図が、第2巻に茎の断面図が、第3巻には水生植物についての考察と用語集が、それぞれ収録されています。

● GOOD :
・ 本のタイトル通り、海外の水草はもちろん、同種の本にはあまり収録されていない日本産の水草も多数載っています。
・ 名称の記載部分が充実していて、現在の学名はもちろんのこと、旧学名なども併記されています。
・ 同定するのに迷うような外観のよく似た種類については、茎の断面図などが判断材料として提供されているのが特徴的です。
・ “アクアリウムで育てる”という視点だけでなく、植物学的なアプローチが色々な部分に表れていると感じました。水草の育成について一通りの知識と経験を積んだあとで改めてこの本を読むと水草についての理解が深まるのではないでしょうか。

● NO GOOD :
・ 出版が古いので、トニナやスターレンジといった最近の水草については収録されていません。その部分については他の本で補う必要があるでしょう。
・ 3分冊となっているので検索するのに不便です。
・ 刷が重ねられていないので、誤植がまったく直っていません。改訂版を出して欲しいです。

● コメント :
 水草の大家である山崎美津夫先生とアクアートを創造された山田洋先生の共著です。アクアリウム用として日本で一番信頼のおける水草図鑑だと思います。注意深く見ていくと、作成にあたって独自の調査を丁寧にされたことがうかがわれます。
 「信頼できる水草図鑑が欲しい」と思われている方にお勧めです。
 

 

■ 水草図鑑

「 アクアリウムで楽しむ水草図鑑 」

写真:小林道信 山崎浩二 文:富沢直人 (株)ピーシーズ 2001.10発行
2667円(別) B5 224p. 並製本 カバー付 ISBN 4-938780-61-5

 

 
 現在のところ、最近輸入されるようになった水草までカバーしている「唯一」であろう水草図鑑。掲載している種類数は502種。この種の図鑑本の中では最新の出版のものです。

● 構成 :
 巻末の10数ページの白黒ページに育成についての簡単な解説がある他は、すべて図鑑形式です。見開き全体にカラー写真が配置され、ページをめくった次の見開きに白黒で同じ写真の縮小版と解説が載せられています。

● GOOD :
・ 収録されている種類数が多いです。
・ 最近になってはじめて流通するようになった種類も多く掲載されているのが助かります。
・ 水草の画像が概して美しいです。

● NO GOOD :
・ 水草の種類によっては写真が水上葉のものだったりして、参考にしにくい部分があります。また、「図鑑」と銘打っていながら、画像が標準的な図鑑形式の画像(=1種ごとに無背景で撮られたもの)ではなく、単に水槽に植わっているのを撮影しただけのスナップ写真になっています。よって水草の細かな特徴はつかみ難いです。
・ 白黒ページにもカラーページと同じ写真が縮小されて載っていますが、これはスペースの無駄だと感じました。
・ 世界文化社から出ている「決定版 水草大図鑑」などに収録されていた写真とまったく同じ写真が多く載せられています。よって、新刊本を買ったのに内容的には半分しかなかった、というように感じました。先の本を買った者にとっては同じ本を表紙を替えて買わされたような気分です。
・ 間違った解説がついているものがいくつか見つかりました。また、ハロウ出版社から先に出ている「世界の水草」で誤植があった学名について、この本でも同じ文字に同じ誤植がある、という不思議な現象が見られました。

● コメント :
 近頃流通するようになった水草までカバーしている本は、今のところこの本しか存在しないはずです。出版の古い本を買っても、最近の水草を知るためにまた別の一冊を買い足したくなるはずですから、最初からこの本を買うのが正解だと思います。水草に興味をもつようになってまだ水草の図鑑をもっていない方、あるいは最新の水草についての写真をまとめて見たい方は、「最初の1冊」として購入されるのが良いのではないでしょうか。そして水草に対する興味が深まったところで他の本を買い足す、というのがお勧めです。
 

 

■ 水草図鑑

「 日本水草図鑑 」

角野康郎 初版1994 180p. (株)文一総合出版
15000円(別) 上製本 30.2*22.9cm ISBN 4-8299-3034-9

 

 
 日本産水草の種類を調べるのに役立つ、数少ない図鑑の中の一冊です。

● 構成 :
 ページを開くと両側に複数のカラー画像が配置されてあり、次のページを開けるとそれらの解説が載せられている形式です。巻末には検索表がついています。

● GOOD :
・ 種の同定の手掛かりになる情報が数多く載せられています。特に巻末に収められている検索表が特徴的で、水草の生育形から科や種を引くことができるように工夫されています。これは実際にフィールドに出たときにたいへん助かります。
・ 1種ごとに、日本のどこに分布しているかを地図上にドットで示した図がつけられているのですが、これもたいへんありがたい情報です。
・ カラーページの画像は、水槽の中を撮影したものではなく自生地での自然な姿をおさめたものとなっています。よって画像を見ればその水草がどのような環境下で生えているのか一目で分かるようになっています。

● NO GOOD :
・ 内容が濃く信頼性の非常に高い本ですが、その分、値段も高いです。
・ 本の性質上、育成の仕方についてはまったく触れられていないので、そのような情報を求めている場合にはあまり役立たないでしょう。
・ この本自体が他の図鑑と併用されることが前提となっているので、いくつかの科については載っていません。したがって網羅性という点には注意が必要です。

● コメント :
 ここで紹介している他の図鑑とは異なり、植物学上のアプローチから作られている水草図鑑で、種の同定に用いられることを主眼に作られています。したがって、水草水槽に用いる水草を野外に採取に出かけるとき、もっていると助かる一冊だと思います。
 

 

■ 水草図鑑 & 水草の育成方法の解説

テトラ熱帯魚飼育シリーズ(2) 美しい水草の育て方 水槽にふさわしく、扱いやすい水草の育て方

著:ゲルハルト=ブリュンナー、ペーター=ベック 発:ワーナー・ランバート(株)
初版1981 第3版1991 1000円(別) A5 128p. 並製本 ISBN(なし)

 

 
 いわゆる「テトラ本」の水草編です。テトラ社が提唱している水草の育成方法と水槽の維持方法を学ぶことができます。

● 構成 : 全体の約1/4に水草の原生地における生育環境についてが、また約1/4に水草の育成方法の総論が、そして残りの1/2に代表的な水草の図鑑兼育成方法の各論が収められています。

● GOOD :
・ 他のヨーロッパ発のメーカーの本と同様、思い込みや思いつきで書かれたような内容は無いと思います。どの記述も他の記述と矛盾することなく、理路整然としている印象です。
・ 水草育成に必要な要素(光や栄養分など)についての詳しい解説、藻や病気への対処法、人気のある水草の育成方法の解説、種類ごとの最適育成条件の表など、水槽のセット方法以外は、一通り全部、この本1冊で学べるようになっています。
・ 内容の非常に充実している本なので、むかしは「水草水槽を作りたいなら、まずはこの本を読むべし」と言われていたのを記憶しています。

● NO GOOD :
・ あくまでも「発刊当時にしてはすばらしい本」で、今見ると、水草の画像は妙に黄色がかっていてピントが合っていません。
・ また、取り上げられている水草の種類も現在の主流である南米産のものが少ないなど、やはり“一昔前の本”であることを感じさせられます。あたり前ですが、最新の情報といったようなものは載っていません。

● コメント : '84年に「水草百科」が出るまで、水草の育て方についてまとまっている日本語の本は、この本ぐらいしかなかったと思います。したがって、古くからの水草ファンなら一度はこの本に目を通したことがあるはずです。昔はハードカバーでした。
 初版は残念ながら私の手元にも残っていません。この画像は、あとになって買い直した平成3年に刷られたものです。
 また、この本は、テトラ社の製品を使用し、テトラ社の提唱する維持方法で水草水槽をキープするなら、必読の書と位置付けられると思います。
 「昔の水草育成ってどんなんだったんだろう?」という興味がある場合も、読んでみれば面白いはずです。
 

 

■ 水草の育成方法の解説

アクアティック グリーンインテリア 水草の育て方 」

ハロウ出版社(発売:星雲社) 宮本久士 1942円(別)
初版1991 104p. 並製本 カバー付 A5 ISBN4-7952-3010-2

 

 
 水草育成の基礎の基礎を解説している入門書です。

● 構成 : 水草レイアウトの具体的な作例画像をはさみながら、可愛いイラストと分かり易い文章で全編が構成されています。

● GOOD :
・ 入門段階の中でも、特に初歩的なことが取り上げられているので、まったくの初心者でも苦労なく理解することができるはずです。
・ 解説が、水草水槽に必要な器具の紹介から維持の仕方まで、一通り載っています。
・ あくまでも「入門書」で基本的な事柄に重点が置かれていますが、内容的に乱暴な記述はまったく見つからないと思います。極めて論理的で科学的な内容だと感じられました。しかも、その内容が実に平易かつ丁寧な文章で記述されています。この点が本書の最大の長所だと思います。

● NO GOOD :
・ ページ数が少ないため、通読しても最小限の知識しか身につかないはずです。もうちょっと実践的な知識も欲しいと思った場合は、他の入門書で情報を補わなくてはならないはずです。
・ 現時点では、本書の他にもこのコーナーで紹介している「初めての水中ガーデニング」のような入門書の良書が出版されているので、この本の出版当時にあった存在意義は、相対的に低くなったように思います。

● コメント : 
 私が勝手に、”日本で水草水槽を最も論理的かつ科学的に捉えておられる”と思っている宮本久士氏の著書です。以前は「アクア ガーデン」というショップを開いておられました。
 他の入門書を読んでいて、「いま一つ理解できないなぁ」というとき、この本を読むと理解の助けになってくれるはずです。
 一方、入門段階を終えてしまった人の場合、新しい情報はあまり見つけられないかもしれません。
 

 

■ 水草水槽の入門書
(水草育成方法の解説 & 水槽の設置・維持の解説 & 水草小図鑑 & レイアウト小作例集)

「 初めての水中ガーデニング 白夜ムックVol.37

(株)白夜書房 月刊「楽しい熱帯魚」編集部 1500円(別)
初版1999 146p. 並製本 カバー付 25.7*21.0cm ISBN4-89367-582-6

 

 

 '03年5月に「誰でもできる水中ガーデニング」が出版されるまでは、“水草水槽の入門書”として私のイチオシだった本です。

● 構成 :
 カラーページと白黒ページが半々ぐらいです。
 様々な水草レイアウトの作例、セッティングに必要な知識、器具についての知識、購入した水草の手入れの仕方、トリミングの仕方、トラブルへの対処法などの解説、アイデア集、それに水草のミニ図鑑などなど、内容は盛りだくさんになっています。

● GOOD :
・ きわめて実践的な内容が多いのがこの本の最大の特長だと思います。たとえば“トリミングの仕方”のページだと、「パールグラス」「グロッソ」「リシア」など、最近人気のある水草1つ1つにそれぞれ説明がつけられています。
・ また、水草の通信販売の利用の仕方、5000円分の水草でレイアウトした実際例、アクアリウムの世界で使われる特殊な用語の解説など、水草育成を始めたばかりときによく行き当たる疑問なのにどの本にも載っていない情報がこの本にはしっかり載っています。初心者の方にとってはこういう情報こそ欲しいはずなので(私もそうでした)、その点でもこの本は良いと思います。

● NO GOOD :
・ 市販されている器具の主要な製品が写真つきで載っているのですが、有力メーカーの1つであるADA社の製品が、なぜか載っていません。
・ また、解説の中には首を傾げてしまいたくなるような記述も複数見つかりました。

● コメント :
 この本は、それまで「月刊 楽しい熱帯魚」に毎月掲載されていた水草に関する記事を、寄せ集めて編集し直したもののようです。
 基本的な知識の充実度ではピカイチの本だと私は思います。この本だけで全ての情報が整うわけではありませんが、「この本を読んで、それからその情報を修正・補充する」というかたちで利用すれば、とても効率良く知識を身につけられるはずです。“まずはこの本を入手し、読みながら覚え、平行して他の情報をつけ足していく”というような方法がお勧めです。
 出版が古いので注文して手に入れるのは難しいかと思いますが、個人売買のオークションなどでも探してみて下さい。お薦めの1冊です。
※2003年5月現在、「誰でもできる水中ガーデニング」が新版として発売されています。購入されるなら新版が良いと思います。
 

 

■ 水草水槽の入門書
(水草育成方法の解説 & 水槽の設置・維持の解説 & 水草小図鑑 & レイアウト小作例集)

「 誰でもできる水中ガーデニング 白夜ムックVol.143

(株)白夜書房 月刊「楽しい熱帯魚」編集部 1800円(別)
初版2003 148p. 並製本 カバー付 257*210mm ISBN4-89367-852-3

 

 

 
 “水草水槽の入門書”として現在私が一番にお薦めする本です。

● 構成 : 
 全体の2/3ぐらいがカラーページ、1/3ぐらいが白黒ページです。
 水草レイアウトの作例に始まり、セッティング方法の詳解や器具の選択方法、購入した水草の処理の仕方、トリミング方法、メンテナンスの仕方、レイアウトの方法論、水草の育成に必要な基礎知識、ビオトープやアクアテラリウムの作り方、ミニ水草図鑑など、様々な情報が盛り込まれています。

● GOOD :
・ 水草と魚の両方を収容している水草水槽だからこそ必要になるような知識が、この1冊に詰め込まれています。熱帯魚飼育の入門書と併せてこの本を読めば、熱帯魚と水草の両方の育成に必要な知識が一通り仕入れられるはずです。
・ 本全体が“ユーザー側からの視点”で作られています。例えば器具の紹介のページでは、“スポンサー企業の製品最優先”ではなく“ユーザーの支持の高い製品”が前の方にくるように載せられています。前版で外されていたADAの人気製品などもきちんと載っています。

● NO GOOD :
・ フィルターのシャワーパイプを横に設置することを勧めていたり(レイアウトの制限が多くなる)、これだけCO2の添加装置が普及しているのにラインヒーターの設置を言っていたり、といった、少々疑問に感じる点が目につきました。
・ 水草の小図鑑に使われている画像が・・・というか水草自体があまり綺麗でないです。自分の水槽で育てた場合にどんな姿になるのか想像しにくような画像になっているのが残念です。また、掲載する種類の決定もちょっと変です。今最も人気のあるスターレンジの類いがまったく載っていなかったりします。

● コメント :
 前の「はじめての水中ガーデニング」の単なる小修正の改訂版かと思いきや、全面的に作り直された“充実の内容”の本になっています。取り上げられている項目や構成は基本的に前と同じですが、全部新たに作り直されています。アクア本にだけよくある「表紙を替えただけ」といった本とはまったく違っています。また、前の版に見られた欠点が大幅に改善されています。更に、新たな工夫も見られます。たとえば底床材は販売されている状態での色と実際に水の中に入れた時の色がまったく異なって見えるのですが、この本ではちゃんと水に入れた状態で撮影されています(水中で時間が経つとソイルは色が変わってくるので1ヶ月ほどした時点の画像だったらもっと良かったのですが・・)。本全体から誠実さを感じとることができるような作りになっています。
 「初心者が知りたいもっとも基本的で実際的な事柄と手順」が多くの画像で具体的に示されているという長所は、前版と変わっていません。あまり分厚い本ではありませんが、“水草の入門書”としては秀逸だと思います。他のこの手の本とは大きく水をあけた感のある1冊。
お薦め!

 

 

■ 水草育成の解説 & 水槽の設置・維持の解説 & 水草図鑑 & レイアウト作例集

決定版 水草大図鑑 」

著:小林道信 初版1995.12.10 (株)世界文化社 304p.
7573円(別) 上製本 A4 ISBN4-418-95409-0

 

 
 水草レイアウトに初めてチャレンジする人の参考になりそうな総合的な内容の本です。

● 構成 :
 ほとんどがカラーページです。そのうち約半分が水草レイアウトの作例集およびその設置と維持方法の解説となっています。残りの半分が水草図鑑と育成方法についての解説です。そして白黒の数ページに水草育成の総論が書かれています。

● GOOD :
・ 使われている紙が上等で分厚く、装丁もハードカバーのしっかりした作りの本です。
・ 掲載されているレイアウトの作例数が多いので、自分がレイアウトするときにある程度参考になると思います。

● NO GOOD :
・ 他の同種の本と比べると分かりますが、ページ数が少ないです。また、掲載されている写真の1枚1枚が大きいです。したがって、本一冊の情報量としては外観ほど立派では内容に思います。また、そのわりに値段が高いと思いました。
・ レイアウトの作例はたくさん載っているのですが、明らかにセットして間も無い水槽が多数含まれているので、長期間維持することになる実際の水槽の参考にするにはちょっと難しいところはあります。
・ また、「アクアライフ」や「新アクアリウム入門」、「AQUATIC SCENE」などで使われた写真が、この本にいくつも使い回されています。したがって、すでに本をある程度持っている人にとっては「またこの写真か・・」ということになると思います。
・ ちょっと前の本なので、最新の水草は載っていません。

● コメント :
 “作例集で自分の作りたいレイアウトのイメージを固め、それに使う水草を図鑑部分で探す”・・そんな使われ方を狙って編集された本だと想像しますが、ページ数が少ないのに作例集と図鑑と設置の方法論と維持の解説と・・・と、いろいろ詰め込まれ過ぎていてどの部分も中途半端な充実度になってしまっている気がします。
 

 

■ 水草育成方法の解説 & 水槽の設置・維持の解説 & 水草図鑑 & レイアウト作例集

「 レイアウト作製・水草育成図鑑 」

ピーシーズ 3301円(別) 1996.8.10 A4 368p.
並製本 ISBN 4-938780-16-X

 

 
 水草水槽の入門から少し踏み込んだ段階までをカバーした総合的な内容で、上の「決定版 水草大図鑑」の廉価版みたいな本です。

● 構成 :
 全体の半分が水草レイアウトの方法とその作例集で占められており、残りの半分のほとんどがミニ水草図鑑と水草育成の方法、そして巻末の白黒ページに水草水槽の設置・維持方法の解説、という構成になっています。

● GOOD :
・ 作例集には様々なスタイルのレイアウトが収められているので、「水草レイアウトにはどんなスタイルがあるのか」を知りたい場合にお勧めの本です。
・ ミニ水草図鑑のような部分については、水草の種類をこれから覚え始めようという人にはちょうど良い量の種類が載っています。また、水草ごとの解説が見易く理解し易くなっています。

● NO GOOD :
・ 載っている作例は多いですが、他の本にも載っているものが多数含まれています。中には、使われて使われて使い回されて、複数の出版社に渡る何冊もの本に載せられている作例もあります。したがって、すでに他の本を持っている場合は、同じ画像をまた見せられることになるのであまり参考にならないかもしれません。
・ 水草水槽のセッティングと維持を解説している部分については、基礎的な事柄が記載されていませんし、かと言って詳細な解説がされているわけでもありません。中途半端な印象です。入門書にしては不親切ですし、中級者・上級者にとっては物足りない内容のように私には思えました。
・ また、全体をよく見ていくと、この本は、それまでに発行された色々な本の寄せ集め的なものであることが分かるはずです。画像の使い回しだけでなく、本文の内容についても同様の傾向が見られます。水槽のセット方法が、カラーページにも白黒ページにも書かれているなど、意味があるとはあまり思えない部分も見られます。

● コメント :
 もし「熱帯魚の育成がメインだが、水草でちょっと彩りをつけるか・・」というぐらいのつもりであれば、役に立つ本かもしれませんが、残念ながら私のお薦め度は低いです。
 

 

■ レイアウト作例集 & 水槽の設置・維持方法の解説

レイアウト・マニュアル AQUATIC SCENE 」

初版1986 改訂3版1990 136p. 上製本 B5 (株)マリン企画
文:吉野敏 写:小林道信 2796円(別) ISBN 4-89512-312-X

 

 
 水草レイアウトの本の中では、一番よく見かける本だと思います。

● 構成 :
 全体の約2/3にあたるカラーページがレイアウトの作例集です。見開きでレイアウトの写真が載っており、次のページの見開きでその写真の解説がされています。そしてその両見開きが22セット載っています。
 また残りの約1/3の白黒ページに、レイアウト法と、水槽の設置方法、維持の方法などが載っています。

● GOOD :
 白黒ページ部分の出来は別にして、カラーページのレイアウト作例集は非常に見ごたえがあります。よくありがちなレイアウトではなく、「産地を揃えてみるとすれば・・」、「2種類の水草だけでレイアウトしてみるとすれば・・」、「この魚に一番合ったレイアウトを作るとすれば・・」といったテーマが設定されています。したがって、自分のレイアウトに対して「マンネリ気味になってきたなぁ」と感じたときにこの本を見ると色んなヒントを得ることができると思います。

● NO GOOD :
 ただし、これから初めてレイアウトを作る、といった段階でこの本を見ても、一般的なレイアウトが少数しか載っていないだけに、あまり参考にならないかもしれません。

● コメント :
 読む人の目的によって役に立つか立たないか、はっきり分かれる1冊だと思います。
 

 

■ レイアウト(アクアート)の作例集

アクアートアルバム ザ、グリーン 」

山田洋著 ハロウ出版社 5800円(別)
1983.6.1初版1刷 216*304mm 184p. 上製本 ISBN(なし)

 

初版第1刷

 
 日本で初めて制作された水草レイアウト写真集です。水草水槽のスタイルの1つである「アクアート」の作品が約100種収録されています。

● 構成 : 各作品の作者名などを一覧にした巻末の白黒ページと、途中に挿入されている水草の画像を除けば、ほぼ全編がカラーページの作例集となっています。

● GOOD :
・この本を見れば、日本の水草水槽の「本格的なスタート」がどんな風であったのかが一目瞭然です。
・また最近の水草レイアウトにどのような影響を及ぼしているかといったことも分かるので、読めばとても勉強になります。

● NO GOOD :
・載っている画像は、出版当時のカメラや写真の技術がそれほど進んでいなかったためか、今見るとお世辞にも美しいとは言い難いです。

● コメント : 水草レイアウトにおける「日本独自のスタイル」は、山田洋氏が提唱された「アクアート」が最初だと思いますが、この本にはその「アクアート」を実践されている方々の多くの作品がまとめられています。
 初版の発行のあと、84年に増刷があって、カバーのデザインは上半分が白色に変更になったような記憶がありますが、定かではありません。

 水草が水槽の中の「単なる添え物」から「主役の一人」へと脱皮しつつあった時期に出版されたため、当時この写真集は水草の育成に取り組んでいた者にとってたいへん大きな衝撃となりました。それまで本格的な水草レイアウト水槽の写真は、テトラ社の出版物に挿入される画像ぐらいでしか見ることができなかったからです。輸入されてくる洋書には載っていたようですが、洋書が一般のショップに並んでいることはごく稀でした。
 したがって、この本の出版によって日本のレイアウトスタイルが初めて本格的なスタートを切った、と言っても過言ではないと思います。

 この本の出版のあとしばらく、アクアリストの間で「アクアート」が大流行しました。水草を昔から育てている人はみな、多かれ少なかれ、この本の影響を受けたのではないでしょうか。

 今はなかなか手に入らない本だと思いますが、「CO2の添加やエーハイムが無いと水草水槽は無理」と思い込んでいる最近の水草キーパーには刺激的な本に違いありません。
 

 

■ 水草図鑑(アクアート用)

アクアリウム プランツ フォー アクアート 水草図鑑 」

ハロウ出版社(発売:星雲社) 山田洋 1980円(別) p136
並製本 カバーつき 初版1985 再版第2刷1989 A5 ISBN4-7952-3005-6

 

 
 水草水槽の一形式である「アクアート」に用いるのに向いた水草が図鑑形式で紹介されています。

● 構成 :
 見開きに原則4種の水草の画像があり、その画像の脇に水草の特徴に関する解説がついた形式で、ほぼ全編がカラーページになっています。巻末の数ページのみが白黒で、水草育成の簡単なポイントと水草の進化や葉形などについての考察が載っています。

● GOOD :
・ 掲載されている水草は216種で、他の水草図鑑のように植物学上からの分類されているのではなく水草の姿かたちが似ているものを集めたような分類の仕方になっています。したがって、「後景に縦方向の流れをつけられる水草はどんなのがあるかな・・?」 「中景にワンポイントになる赤い草が欲しいけれど、どんな種類があるだろうか・・?」といった側面から水草を選びたいときに、この本を開くと便利です。
・ 水草をピックアップしながらレイアウトを考える場合、その水草がどのくらいの大きさに育つのか、どのように伸びていくのかなどは、重要な情報になりますが、その点がずばりフォローされている点もありがたいです。
・  また、“図鑑”の名の通り、掲載されている水草の画像が水草1種1種を単色(黒)を背景に撮影されたものなので水草の形態が非常に分かり易くなっているのも特長です。

● NO GOOD :
 出版が古いため最近流通するようになった水草についてはまったく載っていません。したがって、残念ながら今はそれほど実践的な本とは言えなくなっていると思います。
 私の場合は他の水草図鑑と合わせて使っています。改訂版が出されるなら別ですが、現時点であえて購入しても役立つ場面は少ないと思います。

● コメント :
 この本は、山田洋氏の提唱する水草レイアウトの形式=「アクアート」を制作する際に役立つように編集された本です。「アクアート」については、作品例を集めた写真集「ザ、グリーン」と、実践面を解説した「水草百科(上・下)」、そして、レイアウトに用いる水草をピックアップするのに便利なこの「水草図鑑」の3つで、全体像をほぼ理解できるようになっています。
 

 

■ 「アクアート」の作例集 & 水草図鑑 & 水草育成の解説 & 水質管理の解説

アクアリウム プランツ オール ベスト テクニック 改訂版 水草百科(上・下巻)

ハロウ出版社(発売:星雲社) 山田洋 上2400円 下1800円(別)初版1984 改訂版1987
上192p 下160p 並製本 カバー付 A5 上ISBN4-7952-3007-2 下ISBN4-7952-3006-4

 

上巻


下巻

 
  『ザ、グリーン』の“実践編”のような位置付けになる本です。

● 構成 : 全体の2割ほどがアクアートの作例集になっています。また全体の約半分が水草の種類ごとの育成方法の詳しい解説になっていて、残りの部分は水草水槽の様々な要素(水質・光・栄養素など)の解説になっています。内容のほぼすべてが上下巻に分けて載せられているので両方併せて「1冊」といった感じの本です。

● GOOD :
・ 水草1種毎に写真・育成条件・育成方法、アクアートの作例・作成方法が載っていてたいへん充実した内容です。特に水草の種類ごとの解説が他の本に見られないぐらい詳しいです。
・ 上巻には水草水槽における水質の変化についての詳解が、下巻には水草水槽の管理方法の詳解が、それぞれ加えられています。

● NO GOOD :
・ 出版が古いため最近の水草が載っていません。
・ 現在の主流である「ソイル使用&CO2強制添加あり」という水槽についても載っていません。

● コメント : 先に出版された『ザ、グリーン』とともに、日本に水草レイアウトブームを作り出した本です。
 “アクアートの解説書”という位置付けにとどまらず、“水草水槽全般の解説書”として役立つ本だと思います。水草水槽に本格的に取り組むなら「必携」ではないでしょうか。アクアリウム関連書籍の金字塔とも言える名著です。
 取り上げている水草にこれほど詳しい解説がついているのは他の本にないですし、水槽内の水の変化などについてもこの本でしか検討されていないものがあるので、この本を読めば勉強になること間違いなしです。 

 この「水草百科」がアクアリウム界へ与えた影響はたいへん大きいと思われます。
 この本の出版後、日本の水草水槽はみなこの本の影響を受けていると言っても過言はないと思います。以降に現われる、日本で言うところの「ダッチ」や「ネイチャーアクアリウム」の中にも、この本およびアクアートの影響が色濃く見られます。
 

 

■ 水草レイアウト(ネイチャーアクアリウム)の写真集(作例集)

NATURE AQUARIUM WORLD 天野 尚 作品集 水---自然への回帰」

初版1994 300p.上製本 282*277mm
(株)マリン企画 7573円(別) ISBN4-89512-150-X

 

 
 「ガラスの中の大自然」に続く第2弾となる写真集です。「ガラスの中の大自然」と同様、他では見られない美しい水草レイアウトの写真を目にすることができます。

● 構成 :
 全編カラーページです。様々なレイアウトの写真が水槽のサイズごとに収録されています。巻末には顕微鏡を使って撮影された水草などの画像も収められています。

● GOOD :
・ 1辺が10センチしかない超小型水槽から幅が5メートルを超す大型水槽まで、前の写真集には無かった小さな水槽や大きな水槽のレイアウトが多数収録されていて、パラパラとページをめくりながらながめているだけで勉強になります。
・ 水草レイアウトの写真だけでなく、天野氏が撮影された海中の写真や、風景写真なども収録されています。(「ガラスの中の大自然」に入っていたエッセイのような部分はこの本にはないです)

● NO GOOD :
・ あえて難点を挙げるとすると、値段が高い、重い、背側の接着が悪くてページが取れてくる、といったぐらいでしょうか。

● コメント : 
 値段が高めですが、内容がその値段以上に素晴らしいので、「買って得した」と思っている本です。
 

 

■“ネイチャーアクアリウム”とADA社の紹介本

「 THE NATURE AQUARIUM ADA CONCEPT 」

初版1995 176p.上製本 283*217mm
(株)アクアデザインアマノ 2719円(別) ISBN(なし)

 

 
● 構成 :
 全編カラーページで、その半分ぐらいがADA製品の紹介となっています。あとは、ADAの器具に共通した特徴、天野氏撮影の風景写真、ADA社屋の写真、水草水槽の設置と維持方法の解説となっています。 

● コメント : 
 タイトルに「CONCEPT」とありながら、「ネイチャーアクアリウム」に関する明確な定義はなく、全部読んでも「ネイチャーアクアリウム」が“考え方”なのか“レイアウトスタイル”なのか、それとも“水槽そのもの”であるのかすら明らかにならない不思議な本です。もちろん、ADAという「会社の概念」を述べた本でもないでしょうし・・・。
 「ネイチャーアクアリウムについて詳しく知りたい」という思いから購入したのですが、この立派な装丁の本の中で、ネイチャーアクアリウムのコンセプトについては「大自然から学ぶ」という抽象的・一般的な概念が一行のみ示されているだけで、きちっとした説明はまったされていません。
 「大自然から学ぶ」というのは、水草水槽ならどの水槽でもあたりまえのことだと思うのですが、ネイチャーアクアリウムはそのどこに特徴があるのか、ということが本の隅から隅まで読んでも分かりません。ふつうの水草水槽一般に共通する説明しか見つからないです。
 私は、仕方がないのでADAに電話をして「ネイチャーアクアリウム」の基本概念の定義を尋ねてみたことがあります。しかし「それはみなさん次第です」という返事をいただいてしまいました。ちなみに、「じゃあ、この本は何なん?」という疑問が即座にわいてきたのは言うまでもありません。
 また、製品の紹介がデュプラ本やデナリー本のように科学的な裏づけをもった内容ではなく、論理的飛躍を含んだ強引な内容になっている点が興味深いです。また、主部と述部がつながらない文章が冒頭からたくさんでてくるところも特徴的です。
 美しい水槽の写真がたくさん載っていますし、ADAの社屋や初期の頃の社員の記念写真も見れるので、私のようにADAやネイチャーアクアリウムに興味がある人なら必携でしょう。

 

 

■ 水草レイアウト(ネイチャーアクアリウム)の写真集(作例集)

NATURE AQUARIUM WORLD ガラスの中の大自然 天野 尚 水草レイアウト作品集

初版1992 再版1993 192p. 上製本 286*237mm
(株)マリン企画 6602円(別) ISBN4-89512-126-7

 

 
● 構成 :
 巻末の30ページ強がモノクロページで、それ以外のページはカラーになっています。カラーページは水槽のレイアウト写真が中心で、ところどころに風景写真と天野氏のエッセイのような文章が挿入されています。また巻末のモノクロページには水草の育成のポイントのようなことが書かれています。

● GOOD :
 どのレイアウトにも、天野氏のオリジナリティーがあふれています。
 私は、初めてこの写真集を手に取ったとき、ページをめくるたびにその新しい世界に引き込まれてしまいました。
 日本だけでなく、世界中の水草レイアウトに衝撃的な影響を与えたすばらしい写真集なのではないでしょうか。美しいレイアウトと卓越した撮影技術で、それまでに存在しなかった新しいレイアウト集が生み出されています。
 この写真集のあと天野氏のレイアウトは徐々に変化していますが、この写真集に載せられているレイアウトがもっとも天野氏のオリジナリティを顕わしているように感じます。

● NO GOOD :
 中にエッセイのようなものがあるのですが、その部分は要らないように感じました。巻末にまとめて書いてあればもっと読み易かったと思います。た。

● コメント : 
 この写真集は、日本の水草レイアウトに最も影響を与えた1冊だと思います。水草レイアウトに本格的に取り組むならぜひ携えておくべきだと思います。私の場合、引越しのときにうっかり手放してしまい、あとからやはり必要になって買い直したため痛い出費になってしまいました。手放したら後悔するぐらい気に入っている本です。
 
 

 

■ 水草図鑑 & 水草の育成方法の解説

カラーガイドブック 水草の世界 」

山崎美津夫 初版1978 改訂第6版 158p. 緑書房
1262円(別) 並製本 カバー付 170*113mm ISBN4-89531-611-4

 

 

 
● 構成 :
  前半が水草のカラー写真集、後半が水草の総論と各種類の特徴と育て方、という構成です。

● コメント : 
 初版が出たのが1978年という、ずいぶん古い本です。
 熱帯魚の水槽で育てられる水草についての本は、それまで和泉克雄先生の「水草のすべて」(緑書房)ぐらいしかなかったため、この本が以降の熱帯性水草の普及に果たした役割はたいへん大きいと思います。
 アクア本は初版第1刷のみで終わってしまうことが多いですが、この本は何度も刷り直しがされています。。
 今は他にも良い本がたくさん出ているので、あえて見るべきところは少ないと思いますが、“日本の水草本の草分け的な本”として捉えれば、興味深く読める本だと思います。
 

 

■ 水草図鑑 & 水草の育成方法の解説

アクア・マガジン別冊 アクアリウム・プランツ 」

初版1990 (株)フェア・ウィンド 144p.
2427円(別) 並製本 A4 ISBN(なし)

 

 

 
● 構成 :
  巻末の数ページだけが白黒ですがそれ以外はすべてカラーページになっています。水草1種ごとの特徴と育て方についてが中心で、その間に水草の原生地の画像が挟まれています。巻末には水草水槽のセッティング方法や必要な器具、コケなどについて簡単に書かれています。

● GOOD :
 原生地の画像がとても勉強になります。美しい場面だけを切り取った写真ではなく、水草が生えているありのままの風景が写し撮られています。注意深く観察すれば、その水草がどのような場所・環境を好むのかを読み取ることができます。

● NO GOOD :
 取り上げられている水草の種類が多くありませんし、育成についての解説にも特色らしい特色を見つけることができません。バブルの全盛期に出された本だと言うことを差し引いても、「この値段は高過ぎる」と感じました。  

● コメント :
 原生地の写真が豊富に収録されている点を除けば、とりたてて特徴を見つけることができませんでした。水草の紹介写真とその特徴および育成のポイントが書かれているごく普通の解説書だと思います。
 

 

■ レイアウト作例集 & 水槽の設置・維持方法の解説

アクア・マガジン別冊 アクアリウム レイアウト 」

初版1992 (株)フェア・ウィンド 144p. 2815円(別)
写:小林道信 解説:富沢直人 並製本 A4 ISBN (なし)

 

 

 
 作例が多く収録されている水草レイアウトの本です。

● 構成 :
 全部がカラーページで、全体の90パーセント近くがレイアウトの作例集になっており、残りが水槽の設置と維持法の解説になっています。
 作例集の部分は、水槽のサイズごとに作例がまとめて載っており、それぞれに解説がつけられています。

● GOOD :
・レイアウトの作例それぞれに水草の配置図がつけられています。

● NO GOOD :
・この本以前に出版されている本と内容が重複している部分が多いです。

● コメント :
 発行年が逆になりますが、「レイアウト作製・水草育成図鑑」の作例集部分のダイジェスト版のような本です。
 作例として収録されている数はそこそこなのですが、「これは!」というものがほとんどなく、かつ写真もあまり美しいものではないため、おそらくこの本の主旨であろう「水草レイアウト集」としてはあまり良い仕上がりにはなっていない印象です。他の本ですでに掲載された水槽が、またこの本に収録されています。また解説部分については、新鮮味に乏しく、この本以前に出版されている本以上の情報をほとんど見つけられませんでした。私にとっては「値段と中身が合っていない」と強く感じた1冊です。
 

 

■ ヨーロッパ風(いわゆる“ダッチ”)水草水槽の解説&水草図鑑

All About Dutch Aquarium 水草の楽しみ方 」

著:吉野敏 初版1991 204p. 緑書房
3689円(別) 上製本 262*190mm ISBN4-89531-626-2

 

 

 
● 構成 :
  最初にヨーロッパの家具調レイアウト水槽が20例ほど紹介されていて、次に200種強の水草図鑑が約100ページに渡って続いています。ここまでがカラーページで、このあと白黒のページで水草の育て方や水槽のセット仕方などが50ページほど載っているという構成です。

● GOOD :
 この本の最大の功績は、それまで少しずつしか紹介されていなかったヨーロッパの水草水槽を、まとめて日本に紹介した点でしょう。この本の出版によって、日本ではヨーロッパ風の水草レイアウトが大流行しました。

● NO GOOD :
・ しかし、この本のために「オランダ式水草水槽」という確立された形式があるかのような誤解が広まってしまった、という面もあります。一部の同好者が提唱している一定の形式を、まるでオランダ人やその他のヨーロッパの人の標準的なレイアウト形式であるかのように理解した人がたくさん生まれてしまいました。
・ この本やその他の情報を慎重に読み合せれば、ヨーロッパには色々なレイアウトがあるし、「Dutch Aquarium」は「オランダ人の維持している水槽」という意味であって“確立された形式”でないことはわかるはずなのですが、この本にはそのように読まれても仕方ない書き方がされています。これは、例えば「ネイチャーアクアリウム」のレイアウト法を、他の国の人が「日本では、みなこのようにレイアウトしている。これが“日本式アクアリウム”だ」と紹介しているようなもので、はなはだ強引だと思われます。
 ちなみに、この本の中には有茎密植でないレイアウトも収録されていますし、著者の方も、他の本で「オランダには色々なレイアウトがある」という主旨の発言をされています。

● コメント :
・ 中身の情報量としてはそれほど多くないと思います。それまでに存在していた洋書の内容を薄めたような内容です。最初に紹介されているヨーロッパの水槽群はすでにAred van den Nieuwenhuizen氏が’80年代の初めに氏の本で紹介済みの水槽ばかりでしたし、水槽の設備の工夫やレイアウトの仕方、水草の育て方といった情報も、何倍も詳しい説明が氏の本などに載っています。ただ、水草水槽についてのまとまった情報が極端に少なかった日本に、ある程度まとまった情報を日本語で提供した点の功績は大きいに違いありません。
・ 「オランダには『ダッチアクアリウム』というものがあってそれはこうレイアウトするのが流儀だ」などという変な意識をもつことなく、「オランダにはこういうレイアウトの仕方もあるのか」というぐらいの意識で読めば、ある程度ためになる一冊だと思います。色んな意味で日本の水草レイアウトに大きな影響を与えた一冊なので、読んでみるべし。
 

 

■ “ネイチャーアクアリウム”水槽の作り方

NATURE AQUARIUM WORLD ネイチャーアクアリウム入門
テキスト.1/テキスト.2 ネイチャーアクアリウムを創ろう!Part.1/Part.2

1995/1996/リーフレット A4 16p. (株)アクアデザインアマノ 無料

 

テキスト.1


テキスト.2
 

 
 ADA社が“ネイチャーアクアリウム”の解説書として無料配布したリーフレット。

● 構成 :
・ 「テキスト.1」、「テキスト.2」ともフルカラーの16ページ。
・ “ネイチャーアクアリウム”のセッティング方法と、セット後4週間のメンテナンス方法が解説されています。「テキスト.1」では石組のレイアウトが例に、また「テキスト.2」では流木のレイアウトが例になっています。

● GOOD :
・ このリーフレットの特長は“詳細さ”です。セッティングの手順1つ1つについて丁寧に説明されています。
・ またユーザーが実際にセットする場面を具体的に想定した内容になっています。一般に、メーカーが作成したこのような冊子にはそのメーカーにとって好ましい事実しか書かれていないものです。しかし、このリーフレットの中には、実際のセッティングで見られる植栽初期のコケまみれの水槽の様子がきちんと画像つきで出てきます。そしてその駆除の方法も具体的に示されています。

● コメント : 
・ このリーフレットのシリーズは、残念なことにこの2冊以降は発行されていないようです(この2冊も絶版のようです)。水槽のセッティング方法についてはカタログやADAのサイトにも載っていますが、それらは「ふつうの」解説ですので、ぜひこちらのリーフレットを増刷・続刊して欲しいと思います。
・ 初心者の方はもしどこかに残っているのを見つけたら即入手しましょう。秀逸のリーフレットだと思います。
 

 

■ “ネイチャーアクアリウム”水槽の作り方

NATURE AQUARIUM WORLD ネイチャーアクアリウムテキスト<入門編>」

1996/リーフレット A4 16p. (株)アクアデザインアマノ 100円(込)

 

 

 
 ADA社が“ネイチャーアクアリウム”の解説書として無料配布したリーフレット。

● 構成 :
・ フルカラーの16ページ。
・ “ネイチャーアクアリウム”の設置に必要な道具・セッティング方法・立ち上げ方のコツなどの記事の他に、セット直後に発生しやすいトラブルの解決方法がQ&A形式で解説されています。

● GOOD :
・ “ネイチャーアクアリウム”に初めて取り組む人でもスムーズに買い物から立ち上げまでできるよう、色々な情報がコンパクトに収録されています。16ページしかありませんが、この1冊を読めば“ネイチャーアクアリム”について必要な知識が一通り仕入れられると思います。

● コメント : 
・ 前出の「NATURE AQUARIUM WORLD ネイチャーアクアリウム入門 Part.1/Part.2」とよく似ていますが、こちらの方はもっと幅広く色々な項目を載せています。ただしその分、1つ1つの項目については情報が少なくなっているように感じました。
・ 今は毎年配布されるカタログにも同じような内容が載っているため、あえてこのリーフレットを探す必要性は低いと思います。
 

 

■ “ネイチャーアクアリウム”水槽の作り方

「LET'S TRY AQUARIUM ! キレイなアクアリウムのつくりかた」

2000 リーフレット 8p. A4
(株)アクアデザインアマノ 無料

 

 

 
● コメント :
・  最近「ネイチャーアクアリウム」のセッティング方法はADAのカタログなどに掲載されていますが、一時期カタログに収録されていませんでした。このリーフレットは主にその時期に配布されていたものです。
・ 全4ページで、水草を植えることのメリット・器具の紹介・セッティング方法・日常管理の4つの記事から構成されています。
・ ただし、中身は決して充実しているとは言えないと思います。ページ数が少ないところにセッティングの解説だけでなくADA製品の紹介も詰め込んでいるため、通り一遍の説明しか載っていません。前出の「ネイチャー
アクアリウムを創ろう!Part.1/Part.2」の方が断然充実しています。
・ 現在はADAのサイトの「レッツトライ!」のコーナーにこのリーフレットの内容と同様のものがアップされているので、このリーフレットをあえて探して読む必要はなさそうです。
 
 

 

■ “ネイチャーアクアリウム”の器具と維持方法

「 Do!aqua 」

1999.7-2000.8 隔月刊→季刊 (株)アクアデザインアマノ
100円(込) 36p. リーフレット A5

 

vol.8
 

 
● コメント :
・ ADAが「AQUA JOURNAL」の発行を休止していた間に、「SUIKEI」と平行して発刊されていたリーフレットです。Vol.1から7まで発行され、その後また「AQUA JOURNAL」が代わりに発行されるようになりました。
・ 内容的には入門レベルから中級レベルを対象にしていると思われます。ネイチャーアクアリウムで使われる器具類を1つずつ取り上げて解説したり、テーマを決めてセッティング方法を解説したりしている内容です。
・ ADAから発売されている各種器具の使い方の例を豊富な写真で見ることができるので、初心者の方には役に立つ内容が多いと思います。ただ、7号で発刊が終わってしまったので、全体を網羅できていない点が残念です。
・ 各号いくつかのテーマを持って記事が書かれているので、ショップに在庫として残っているものがあればパラパラめくってみてその中に興味のあるテーマが見つかれば、買ってみて役に立つと思います。
● 追記 :
 2002年12月にシリーズの続きとしてvol.8が発売されました。以降、年に3〜4冊刊行の予定だそうです。

 

 

■ ADA主催のレイアウトコンテストの応募作品集

「THE INTERNATIONAL AQUATIC PLANTS LAYOUT CONTEST 2003」

2003 106p. (株)アクアデザインアマノ
1000円(込)並製本 296*224mm ISBN(なし)

 

2003年版
 

 
 ADA社が主催する「世界水草レイアウトコンテスト」への応募作品を紹介している冊子です。

● 構成 :
・ 全106のうち74ページがフルカラーで、そこにコンテスト結果の順位に沿った大きさで応募作品の画像が並んでいます(500位まで)。そのあとの白黒ページには審査の方法や評価の基準、審査員の採点結果などが収められています。

● GOOD :
・ このコンテスト自体は採点基準に[自然感]といった項目があり事実上ADAの“ネイチャーアクアリウム”のコンテストなのですが、その辺りがよく分かっていないのか外国からの応募作品には実に様々なレイアウトスタイルが含まれています。したがって、この1冊を見れば世界中の様々な作風に触れることができます。
・ 加えて、コンテストに応募するだけあってどの作品にも気合いが入っているので仕上がりのレベルが高い水景ばかりです。

● コメント : 
・ レイアウトのヒントがぎっしりと詰まったとても勉強になる本ではないかと思います。よくある、適当なレイアウトを適当に載せただけだったり同じレイアウトを何度も使い回していたり、といったいい加減な本と比較すれば断然この本の方が勉強になるはずです。
・ この2003年版の前に2002年版と2001年版が出ています。
  買って損のない1冊。お薦め。

※2004年版も販売されています。
 

 

■ ADA社の製品カタログ

「 ADA Design 」

2004.06(毎年発行) (株)アクアデザインアマノ
144p. 無料 314*315mm Wリング加工

 

 

 
 ADA社が毎年無料で配布している製品カタログです。昔は1色刷りでペラペラのリーフレットでしたが1995年にしっかりした本の形で配布されるようになってから、どんどん内容が充実してきています。

● 構成 :
 中身は、“ネイチャーアクアリウム”の作例・製品カタログ・使用法の解説、の3本立てになっています。

● GOOD :
 この冊子は、スケッチブックのように背がリングで留められていて非常にしっかりとした作りになっています。内容は単なる製品の紹介だけでなく、美しい作例の写真や底床や濾過についての説明など、様々な情報が盛り込まれています。

● コメント :
・ 毎年6月頃にアクアショップの店頭で配布が開始されます。したがってその頃にショップを訪れれば無料でもらえます。また、増刷があればその時期以外でも入手できるようです(送料を負担すればADAから送ってもうらうことも可能)。このカタログ、無料で配布されてはいますが、明らかにお金がかかっています。よって、カタログをもらうのなら商品も何かしら購入するのが礼儀だと思います。
・ ADAは最近自社が提唱する“ネイチャーアクアリウム”を定義しようと試みている様子で、このカタログにも定義らしきものが書かれていますが、過去の説明と比較すると、だんだんと水草水槽すべてに共通するような定義になってきていて残念ながらその独自性がどこにあるのかが不明確になっているように感じます。初期の頃の定義との整合性も無くなってきていますし・・・。
・ “ネイチャーアクアリウム”については、このカタログだけで基本的な知識がある程度仕入れられるはずです。“セットの仕方”だけは情報が足りないかもしれなのですが、それはADAのサイトで補足できます。

 単なる製品カタログではない充実の1冊。
 

 

 



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