■GOOD AQUA■

基本的な知識(道具)
  


02.04.22


 
 水草水槽をセットするにあって知っておかねばならないことはいくつかあります。ここでは、その中の「道具についての考え方」を書いてみたいと思います。

 
 水草水槽をセットしようとすると、水槽や照明器具といった主要な道具から、温度計や魚を掬うネットといった細かい道具まで、様々必要になります。今、実際に維持している方なら、この他にも、水換えのときに使う雑巾や、フィルターのホースの汚れを落とすためのワイヤーつきのブラシなどといった道具ももっているはずです。では、

「水草水槽を始めるには、どこまでの道具を揃えれば良いのか?」

 この命題に対する答えは単純です。

「必要なものはすべて最初から揃えるべし」  です。


 必要な道具の充実度と、維持の容易さは、正比例の関係にあると考えて良いです。すなわち、一般に必要とされている道具をきちんと全部揃えれば揃えるほどいわゆる「腕(うで)」は必要なくなります。逆に、道具をできるだけ減らしたシンプルなセットにしようとすればするほど「腕」が要求されるわけです。

 このことは、「アクアリウム」というものが歩んできた歴史を考えればすぐにわかります。アクアリウムのスタートが、ただの「容器」に水を入れてそこに水生生物を放しただけのシンプルなものだったことは容易に想像できるでしょう。
 そして、時を経るにつれ、魚の酸素不足を防止するエアーポンプ、熱帯の生物を飼育するためのヒーター、水草の育成を促進するためのCO2の強制添加装置、といった、<維持をラクにするための道具>が開発されて使用されてきたわけです。
 すなわち、今一般に使われている「道具」は、「飼育の失敗を予防し、維持をラクにする」という役目を果たすものなのです。必要があるから発明されてきた、とも言えるでしょう。
 例えるなら、「道具」は、自転車の乗り始めに用いる“補助輪”みたいなものです。最初からうまく走り始められれば問題はないのでしょうが、たいていはすぐに倒れてしまいます。それを、最初は倒れないように補助してくれるもの、それが「道具」なのです。

 もしあなたが初心者で、かつ「失敗したくない」と思うのならば、必要とされている道具はすべて揃えるべきです。まだ始めてもいないのですから、道具の不足をカバーする「腕」や「技術」は備えているわけがありません。失敗したくなのなら、失敗を回避するために発明されてきた「道具」を使うべきです。


 ところで、、これから始めようという方の中には、「失敗しても良いから腕を磨きたい」、「道具に頼るのは嫌だ」という方もいらっしゃると思います。そのような方は、最低限の道具、すなわち水槽と底砂だけを用意すれば足ります。
 そして、上で述べたように、その分、「腕」が必要になります。
 ただし、この「腕」にあたる部分=それは技術やコツといったものがそうだと思いますが、そういうものについてまとめてある本やサイトは残念ながら皆無に等しいのが現状です。市販の本や他のサイトの情報をすべて併せてみても、水槽を維持するにはまったく不充分な情報量だと思います。
 したがって、「失敗を覚悟で腕を磨きたい」となると、独力でするのに近いことになります。 
 
 よって現状では、初めて水草水槽をセットするなら、やはり「必要な道具は最初からすべて揃える」ことをお勧めせざるをえません。

 道具の数を減らしてスタートするのは、

(1)「失敗してもかまわないから挑戦したい」、かつ「情報が少ないのも覚悟している」場合
(2)「予算的に限界がある」、かつ「失敗は覚悟している」、かつ「情報が少ないのも覚悟している」

の2つの場合だけに限るべきだと思います。

 
 ちなみに、この(1)や(2)の場合に不足する情報を補うため、この■GOOD AQUA■では、道具を使わない方向性の水槽についての情報も積極的に載せるようにしています。「卓上アクアリウム」や「セッティング--上部フィルター編」などがそれにあたります。
 探求心の旺盛な方や、経済的に余裕のない学生さんなどには、これらの情報を活用していただきたいと思っています。

 

まとめ

・ 水槽の「道具」は、自転車の補助輪みたいなもの。
・ 倒れたくないなら、最初は、ケチらずに必要な補助輪をつけるべし
・ 「失敗してもかまわない」、「予算などに不可避な限界がある」場合だけ、道具の不足を「腕」で補うことを考えるべし。ただし、そのための情報は少ないことを覚悟しなくてはならない。



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