■GOOD AQUA■
ハサミに関する情報
水草を手入れする道具=“ピンセット”に続いて、このページでは“ハサミ”を検討してみたいと思います。1.総論
(1) ハサミの重要度
水草の手入れをする際、“ハサミ”も、ピンセットと同じく役に立つ道具です。しかし、ハサミを選ぶときに、ピンセットを選ぶときほど気を遣っている人は少ないと思われます。その理由は簡単です。それほど気を遣う必要がないからです。
ピンセットに関しては、底床、特に“ソイル系”と呼ばれる底床に水草を植えるのに必須の道具だと言えるでしょう。指や菜箸で植えたのでは底床に大きな穴が空いてしまいますし、底床から盛大に粉塵が舞い上がることにもなってしまいます。したがって、最初は指で植えていた人もやがて自然にピンセットで植えるようになるでしょう。
一方、ハサミに関しては、使わずに済ましている人が少なくないはずです。有茎草などは爪でカットできてしまうからです。そしてそれであまり不都合は感じないでしょう。指と爪で行う方がかえって細かい作業がしやすいぐらいです。不都合が出るのは、水草の茂みの頭を全体的にまとめて刈り込みたい場合や、特に硬い茎をもつ種類をカットしたい場合、エキノドルスの根をカットしたい場合などに限られます。そしてそういった場合でも、ふつうの事務用ハサミを使えばそれで事足りてしまったりします。
よって、ピンセットの選択にこだわりのある人は多くても、ハサミの選択にそこまでこだわる人は少ないでしょう。私もそのうちの一人です。ショップでの品揃えもあまり良くありません。ホコリを被ったまま放置されているのをよく見かけます。
(2) 検討のポイント
ハサミに求められる要素は様々です。水槽の大きさや水草の種類やレイアウトの仕方、トリミングの頻度、使い方など、各人それぞれで大きく違ってきます。ただ、次の3点だけは押さえておきたいところです。(A)水草の茂み全体の形を整えたい場面
(B)硬い茎や葉を切りたい場面
(C)密生している草むらの中の何本かを切りたい場面この3つの場面で自分が使うことを想定して選べば、まず間違い無く合格レベルのハサミが入手できるはずです。「Aの場面ならこのハサミは使いやすいだろうか?」「Bの場面だとどうだろうか?」というように検討します。
あとは各人ごとの要求を考慮に加えれば良いでしょう。
(3) 「ネイチャーアクアリウム」の特殊性
上述の3つのポイントのうち(A)と(C)については注意が必要です。自分の水槽の維持の方法が“ネイチャーアクアリウム”かどうかと大きく関わってくる点だからです。
“ネイチャーアクアリウム”では、水槽をセットする時に水草を一気に大量に植えるのが基本です。そして、以降は伸びてくる水草の茂みの頭部分をハサミで繰り返しカットして維持することになります。長く伸びた1本だけを選んでカットしたり、いったん底床から抜いてカットして戻すといったことは例外的な作業になります。
したがって、“ネイチャーアクアリウム”で維持している水槽では必然的に(A)が重要な検討ポイントになりますね。また逆に、(C)のようなポイントはあまり重要視しなくて良いことになります。
この点、一般的な水草水槽では、いろいろなカットの仕方が同じように要求されます。水草の茂み全体を整える場面も、また密植した中の1本だけを切り取る場面も、あるいは抜いてカットしてまた戻すといった場面も同じように発生します。したがって、(A)(B)(C)3つのいずれもが同じ重要度となります。ここがハサミを選ぶときに、“ネイチャーアクアリウム”かどうかで差が出るところです。
2.各論
(1) 水草専用のハサミ
水草専用として売られている柄の長いハサミを実際に使った場合、次のような感想をもつことが多いでしょう。
(A)水草の茂み全体の形を整えたい場面
→刃の長さが短いので全体を整えづらい
→柄が長いので作業中よく水槽の壁にあたってしまう
(B)硬い茎や葉を切りたい場面
→刃の切れ味が良く、茎を潰してしまうようなことが起きない
→先端がカーブしているタイプでも水槽の上から差し込んで切ると茎が斜めにカットされてしまう
→柄が長いので横からカットしようとすると柄が壁にあたってしまったり周りの水草をなぎ倒してしまう
(C)密生している草むらの中の何本かだけを切りたい場面
→茂みの中に先だけ突っ込んで切れるので周りの水草をなぎ倒さなくて済む=写真撮影の前の手直しがしやすい
→柄が長いので狙いをつけにくい・刃先の感覚が手に伝わりにくい
→刃がカーブしているタイプでも茎の断面が最小の面積になるように切るのが難しい
水草専用として売られているハサミには、手術用のハサミが流用されているものが多いようです。手術用のものは切れ味の良さが大きな特長です。また長さのわりに細かい作業がしやすいのも特長でしょう。
しかし、いくら「長さのわりに細かい作業がしやすい」とは言っても、柄は短い方が作業しやすいに決まっています。手術のように「どうしても柄が長くないと困る」という場面でもなければ短い方が圧倒的に有利です。それは、たとえば“盆の上の大豆をつかむのに短い箸と長い箸ではどちらがつかみやすいか”と考えてみればすぐに分かることです。わざわざ長い方を選ぶ人はいないでしょう。
よって、このタイプのハサミが特に必要とされる場面は限られてきます。たとえば写真撮影の前の手直しの場面です。周りの水草にできるだけ触れないように一部の水草だけをカットしようとすれば、この柄の長いタイプが使いやすいはずです。
逆にそのような場面でなければ、細かい作業をするのにあえて柄の長いハサミを使うこともないでしょう。細かい作業が多いトリミングに、わざわざ使いにくい道具を使う必要性はありません。実際「水草専用のハサミを買ってみたが、余り使っていない」という人はけっこういるようです。私もいろいろ買って使ってみましたが、結局うちではほとんど使われなくなって放置されています。
水草専用に売られているハサミの例:ADA社の「トリミング専用ハサミ(ストレートタイプ)」250mm、実勢8500円程度。切れ味は抜群。ただし、100円ショップのハサミなら85本買えてしまう値段がネック。使いやすさも85倍なら納得できる値段なのだが…。
(2) 事務用ハサミ・園芸用ハサミ
事務用や園芸用のハサミは形状も値段も実に様々あり、切れ味もピンからキリまであります。したがって全部を検討することはもちろん不可能です。したがって上で挙げたポイントなどを参考に各人で検討して下さい。その分、自分の用途にバッチリ合ったものを自由に選べるはずです。
選ぶときには “ダイソー”のような100円ショップを利用するのがオススメです。用途毎に10本用意したとしても1000円しかかかりません。10本も買えば、その中に自分にぴったり合うものが1本ぐらいあるはずです。
<いろいろなハサミの例>
※画像:パパまこさん
100円ショップのハサミ
※画像・コメント:ちゃまさん
「フライタイイング用のハサミを使っています(左側)。先端がかなり鋭くて切れ味もいいです。」これは私(すいらく)がメインで使っているハサミ。100円ショップで買った事務用のものです。大きさ・切れ味・重さのバランスなどは良いのですが、指が一本ずつしか入らないため長時間使っていると手が痛くなってくるのが難点。 こちらは全長21センチの100円ハサミ。全長が長く刃渡りは4.5センチと短いため、水草専用のハサミと同じような使い方もできます。指を複数入れられるため疲れにくいのが良いです。 これも100円。爪の手入れ用のものです。密植させた有茎草の茂みの中の1本だけをカットしたいときに便利なのですが、切れ味はイマイチでした。また指がしっかり入れられないので安定感も低し。 これは左のハサミの代りにしようと買ってきた、やはり100円のハサミ。全長12センチ・刃渡り3.3センチ。園芸用なので水草の剪定も非常にしやすいです。指もしっかり固定できるようになっています。現在、私のメインのハサミになってます。 小さいハサミだと水草の茂み全体を刈り込みたいときに使いにくいです。そんなときに重宝するのがこの裁ちバサミ。全長25センチ・刃渡り12センチと大型で、水草の茂みの頭を丸く整えるのも、散髪のようにラクラク行えます。ちなみにこれも100円。 こちらは中ぐらいの長さで指の安定も悪くないのですが、なんとなくあまり使っていないハサミ。100円也。 硬い茎をカットしやすいように刃の片側にカーブがつけられているタイプ(100円)。パンタナルヘミグラフィスのように茎が非常に硬い水草を切るときに便利です。ただしうちでは出動の機会があまりありません。 こちらは裏技的道具で、230円で買った小型のニッパー。バネがついていて刃先が自動的に開くので長時間細かい作業していても疲れにくいのがGOODです。刃渡りが短い点も細かい作業に有利。 水草専用のハサミに先端がカーブしているモデルがあるのを見て、同じように先端がカーブしているハサミを100円で買ってみました。→ →このように刃にカーブがついているのですが、実際に水草を切ってみた感じはイマイチ。何と言っても茎の断面をまっすぐにしにくいのに困りました。失敗・・。