■GOOD AQUA■

アクアリウムの不確実性3


03.12.08


  
5.水槽の立ち上がり方の違い その4 

 “その3”よりも条件を更にシンプルしてみた例がこれです。

<セット>

1.プラケース(3.5リットル)に「アクアプラントサンド」(ニッソー)を敷いた
2.ショートヘアーグラスを30株ずつ植栽
3.他の水槽の飼育水を同じ量だけ注水
4.ミナミヌマエビを2匹ずつ投入

<維持>

1.プラケースは南向きの窓際に置き、1日おきに両方の場所を入れ替えた
2.蒸発分だけ塩素中和した水道水を足した(だいたい1週間に1度)
3.その他のことは一切せずに28日間静置した

 

<結果>

ヘアーグラスとエビの様子に両者の違いは見られませんでした。しかし藍藻の発生状況に大きな差が出ました。

こちらのケースでは、藍藻は土の粒の間にわずかに見られるぐらいです。→

←対してこちらのケースでは藍藻が大発生しました。一時はこの撮影時の2倍ぐらい繁茂していました。

 

6.水草の生長速度の違い 

 上の例とは逆に、こちらはより実際の水草水槽に条件を近づけた例です。
 底床を敷き、肥料を入れ、しっかりと光も与えてみました。

<セット>

1.最下層に「イニシャルスティック」を敷き、その上に「クオーツサンド(ブラウン)」(デナリー)を敷いた
2.同じ大きさ、同じ生育状態にある水草を数種、同じ深さ配置になるように植栽
3.他の水槽の飼育水1リットル強を注水
4.ミナミヌマエビのオスのみを2匹ずつ投入
※水草=エキノドルス・ヒュミリス、ロターラsp.セイロン、パンタナル・ドワーフラガロシフォン、パールグラス

<維持>

1.ペットボトルは西向きの窓際に置き、毎日位置を一つずつずらすようにして入れ替えた
2.蒸発分だけ塩素中和した水道水を足した(10日に1度程度)
3.その他のことは一切せずに静置した


<結果>

= 25日後 =

ボトルの中の状態は、設置時からほとんど変化が見られません。ミナミヌマエビが2匹いるだけなので設置時にできた底床の窪みも均されていないほどです。しかし、水草の生長にだけは大きな差が出ているのが分かると思います。特にドワーフラガロシフォンは生長に著しい差が顕れています。


= 32日後 =

頂葉が水面に近づくと二酸化炭素を多く吸収できるためか、一気にドワーフラガロシフォンの生長が良くなってきました。しかし底床に近いところにあるテネルスの生長にはあまり大きな差が見られません。

 

近くで見てみるとこんな感じになっています。

= 35日後 =

中の状態が安定してきたようで、このあたりからどの水草も格段に生長が良くなりました。
水面に達したドワーフラガロシフォンは横に向かって伸び始めています。ドワーフラガロシフォンはやはり個体ごとの生長の差が大きいのが分かります。またパールグラスも差が大きくなってきました。一方、ロターラ・セイロンやテネルスに大きな差は見られません。


= 139日後 =

設置してから4ヶ月半が経過した時点での様子です。
追肥を絶っていたため、最も生長が速かった3番のボトルではドワーフラガロシフォンが栄養不足で枯れてしまいました。またパールグラスも生長が良かった1と3のボトルで枯れています。ロターラ・セイロンは、ゆっくりながらもすべてのボトルで生長を続けていて、その生長の差も小さいです。テネルスは底床肥料のある最下層まで根を伸ばせたようでみな順調で差の無い生長を見せています。

「不確実性からの帰結」へ続く

 



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