06.02.21


「水草水槽」とは・・・

 アクアリウムの趣味の世界では、水槽を、水槽の中に入れている生体の種類によって「熱帯魚水槽」と呼んだり「水草水槽」と呼んだりして区別することがあります。前者は、文字通り“熱帯魚を飼育している水槽”を指しますが、「水草水槽」はちょっと事情が違っています。“水草を育てている水槽”を指す場合と、“熱帯魚を育てているが水草も育てている水槽”を指す場合があるのです。
  これらは慣習的に使い分けられているものなので厳密に定義するのは難しいのですが、あえて分けると次のようになるでしょう。

 ○熱帯魚水槽=熱帯魚だけを飼っている水槽(水草は入っていてもごくわずか)(図のAとB)
 ○水草水槽=熱帯魚などと水草の両方をバランスよく飼っている水槽(C)と、水草だけを育てている水槽(D)


 そしてアクアリウムの趣味の世界で何ら断りなく「水草水槽」と言った場合、それはほとんどの場合、Cのような水槽を意味します。つまり、話し手(書き手)が「水草水槽では・・・」と、話し始めた場合は、頭にCのような水槽を描いて話しているわけです。このことが分かっていないと、たとえば熱帯魚水槽について書かれている情報があったとすると、それを水草水槽の情報として理解してしまうような失敗をしてしまいます(そういう例をけっこう目にします)。“どのような水槽の話しをしているのか”は、底床材やフィルターを選ぶ時などの最も基本的な前提条件になりますから、しっかり理解しておきましょう。「熱帯魚水槽」と「水草水槽」では、どんな機材が最適かというようなことも当然異なってきます。
 ちなみに、あまり一般的とは言えませんが、Dのように水草だけを育てる水槽も存在しています。園芸の趣味の世界から水草の方へ入ってこられた方や、「魚のヌルっとした感じが嫌」とか「魚の糞が水槽の中に舞うなんて許せない」といった方がDのような楽しみ方をされているようです。ですからこれからは、Dのような水槽も広い意味で「水草水槽」に入ってくるでしょう。


  さて、水槽の名称が上述のような使い分けになった理由ですが、調べてみても残念ながらあまりはっきりしません。しかし、どうもそれにはわが国のアクアリウムの趣味の歴史が関係していそうです。
  熱帯魚の趣味が始まった頃は熱帯魚だけを飼育するスタイルが主流であり、淡水魚の飼育と区別するため“熱帯魚水槽”と呼ばれていたようです。その後、水槽に水草を植えることが魚の飼育を容易にすることなどが分かってきたため、魚だけでなく脇役としての水草も同時に育てる飼育スタイルが広まりました。その際、従前の“熱帯魚だけの水槽”と区別するため、“主役の魚と脇役の水草の両方を入れる水槽”を“水草水槽”と呼ぶようになったようです。きっとその習慣が今も残っているのでしょうね。


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