06.01.21


 “一般的な水草水槽”とは・・・

 水槽で楽しむ趣味には様々なものがあります。水を入れて水生生物を飼う趣味に限っても、熱帯魚水槽をはじめ、水草水槽や日本産淡水魚水槽、両生類水槽、エビ水槽、水生昆虫水槽など様々です。そして その中の一つ、「水草水槽」を拾い出してみると、それは更に多くの種類・スタイルに分かれています。
 たとえば水草水槽の“主役”に着目してみましょう。すると、熱帯魚はもちろんのこと、日本産のメダカや、タナゴ・モツゴなどの日本産淡水魚、ゲンゴロウなどの水生昆虫、熱帯産・温帯産のエビ、亀など様々な生体が水草と組み合わせとして選ばれ、楽しまれています。
 “飼育設備”に着目すると、デザインや見た目にこだわって器具を揃えるスタイルもあれば、自分で1つ1つ製作することに力を入れるスタイルもあります。また高価な器具を一式買い揃えるスタイルがある一方で、できるけ安価に済ませるべく様々な工夫を凝らして楽しむスタイルもあります。
 また“維持方法”や“飼育方法”という視点で見ると、できるだけ手間をかけないで維持する方法を採るスタイルや定期的な手入れを行いながら維持する方法、水草の割合に比して少数しか魚を入れない飼育方法や大量の魚を収容する飼育方法など、これまた様々あります。
 したがって、“一般的な水草水槽”を端的に示すことは簡単ではないでしょう。

 しかし、最近は水草に関する本がたくさん入手できるようになってきました。インターネット上にも水草水槽に関する情報が豊富にあります。よってそれらをじっくり見て回ると“現在の主流”と言える水草水槽の像は見えてくるはずです。
 そこで、以下、そうすることで見えきた“現在の主流”の特徴を挙げてみたいと思います。“現在の一般的な水草水槽”の姿がおぼろげながらも浮かんでくるはずです。

●まずは水草と動物(魚やエビ)との量のバランスからです。そのバランスは、
 ○水草は水槽内の底面を覆い尽くすぐらい大量
 ○魚やエビは6cm以下のものが1リットルあたり1匹ぐらいの割合で入っている、
 このような水槽が“一般的な水草水槽”のようです。したがって、たとえば水草が底面の半分以下の面積にしか植わっていないような水草水槽は、“一般的な水草水槽”の範囲の外と言えそうです。逆に、水草ばかりで動物がほとんど入っていない水草水槽も“一般的な”とは言いにくいでしょう。

●次に設備の面です。最近は水草水槽専用に売られる器具も増えてきました。ですから様々な器具をつけている方もたくさんいらっしゃいます。逆にライトと保温設備とポンプ以外は一切着けないスタイルを守っているような方も大勢いらっしゃいます。しかし“一般的な”と考えると、やはり両者の中間程度の設備=すなわち、あまりゴテゴテと器具を使うのではなく、かと言ってまったく使わず飼育者の『腕』だけに頼る水槽でもないのが“一般的”でしょう。 
 では、器具は何と何を揃えれば“一般的”と言えるでしょうか。この点についても情報を集めると次の5つが基本として見えてきます。
 (1)水槽
 (2)フィルター(濾過器)
 (3)照明器具
 (4)底床材
 (5)CO2(二酸化炭素)添加器具類 
以上、5つの器具を備えた水槽です。

●レイアウトのスタイルや維持の方法についてはどうでしょうか。
 現在広く行われているレイアウトのスタイルや維持方法の中には、水草用器具のメーカーが主導する独特の方法論がいくつか存在します。代表例がADA社の提唱している『ネイチャーアクアリウム』という方法論です。レイアウトは流木や岩石を中心にそこに水草が加えられ魚が主役として泳いでいる水草水槽です。手法に特有の点としてはレイアウトに流木や岩石を用いるため、高い頻度で換水を行ったりイオン交換樹脂で硬度物質を吸着させたり、それに伴って頻繁に少量ずつ添加剤を滴下するといった特有の手当てが加えられる点があります。一方で、このようなメーカー主導の水草水槽論より、もっと以前からある水草水槽の方法論では、流木や岩石はあまり用いられません。維持を確実にするため「水槽の中はできるだけシンプルにしたい」という考えが根底にあるためです。流木や岩石を多用しないので換水や換水に伴う種々の添加剤の投入頻度は低くなります。また水槽に手をつける回数が少ない分、水槽の安定度が増します。つまりあまり手をかけずに維持できる水槽ができ上がります。『ネイチャーアクアリウム』の流行の部分を除いて考えれば、こういった維持方法の方が一般的だと言えるでしょう。

 以上が現在の主流=“一般的な水草水槽”のイメージに近いはずです。
 ただし、現在はADAが主導する『ネイチャーアクアリウム』が流行していますから、「現時点で実践しているアクアリストの人数」ということで考えると、ADA主導の手法が“主流”とも言えそうな状況です。そのような状況であることも知っておきましょう。


HOME INDEX   BACK