06.02.21


『調和水槽』 (ハモニアス アクアリウム)

 私は水草水槽を普段いろいろな手法で維持していますが、その中の一つに、自分で『調和水槽』(ハモニアス アクアリウム)と呼んでいる手法があります。これは、日本で発達してきた従来の水草水槽の手法に私の独自の考え方を加えた手法です。

  従来の一般的な手法と異なる点はいくつかありますが、特に異なるのは、2つ=『箱理論』と『循環の促進』という考え方で設置・維持する点です。

1. 『箱理論』
 『箱理論』とは、水槽の維持に関して私が勝手に名づけている私独自の発想・考え方の一つです。『調和水槽(ハモニアス)』の土台となっています。
  従来、水槽の中の物質の出し入れは、入れる方は“水草の栄養素として何がふさわしいか”、“何を入れればよく育つか”といった面からのみ検討されてきました。また、出す方も“換水はどのくらいの頻度で行うべきか”、“何が蓄積してきているか”といった面からのみ議論されてきました。つまり、入れる方と出す方とは別々に議論されてきました。
 一方、“入れる方”と“出す方”をセットで考えることが基本になるのが『箱理論』です。「箱の中に何かを入れたら、後で何かを出す必要がある」、あるいは逆に「箱から何かを出したら、後で何かを補う必要がある」と発想します。また、水槽の物質の出入りについては、多くの場面で、水槽の維持者(キーパー)による出し入れのみを考慮し、水面などを通して行われる自然な物質交換の部分はあえて無視して考えます。

2. 『循環の促進』

 『循環の促進』は、調和水槽の中で起きる様々なトラブルの予防と、起きたときの解決の場面で必要になる考え方です。
 一般に、「水槽の中は小さな生態系である」ということはよく言われますが、水槽の維持の場面ではそれが忘れ去られています。しかし『調和水槽』では、水槽の維持の面でも積極的に「水槽の中は小さな生態系である」という発想をします。
 たとえば“水の白濁”や“コケの急増”といったトラブルの場面です。現状、一般的な手法によれば、トラブルの原因となっている手入れを中止することと、すでに発生してしまった分は換水などで除去することの2つが対応の中心となります。一方、『調和水槽』では、まず『水槽内の循環を促進させることで解決できないか』と考えます。詳しくはまた具体的な場面で説明しますが、この考えに依れば、水槽に収められる魚も水草もエビもミジンコも水槽の中の生態系の一部を構成する以上、必然的にすべてが主役であり、基本的に同等の役割を果たすことになります。


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