06.02.21


3つの種類の知識と技術

 私は「水草水槽を維持するための知識と技術は3つに分かれる」と考えています。
  (A)魚の飼育に必要な知識と技術
  (B)水草の育成に必要な知識と技術
  (C)両者を同時に育成するのに必要な知識と技術、  の3つです。

 3つに分けて考えるメリットは、大きなところで3つあります。1つは、“学んだり理解しやすくなる点”です。色んなことをごちゃ混ぜに学ぶよりも分けて学ぶ方が分かりやすいのは皆さん経験があると思います。
 2つ目は“意思の疎通がスムーズになる点”です。情報をやり取りする際、「何の情報を伝えようとしているのか・受け取ろうとしているのか」について予め了解があれば誤解などが生じにくくなります。たとえば濾過器の適正なサイズを伝えようとする場合、(A)の話しをしているのか(C)の話しをしているのかで内容はまったく変わってきます。
 3つ目のメリットは、“将来の発展性”です。技術は、いろいろな場面を想定して考えるよりも、場面や条件を限定して考えた方がより適合的に発展させられることが多いものです。
 よって3つに分けて考えることを提唱しています。

 ちなみに、このような考え方はサイトに何度も書いてきたので、最近はご理解いただいている方も増えてきました。しかし、この内容をアップするにあたって主だったサイトと今までに出版された水草水槽関係の本をザーッとチェックしてみましたが、残念ながら同種の意見はいまだ見つかりませんでした(2006年1月現在)。よって、他ではまだ通じない話しだと思います。ご注意ください。

 ところで、水槽の知識が3つに分かれるということを実感していただくため、以下に例を挙げてみようと思います。たとえば次のような情報は、3つのうちのどれにあたるか、ちょっと想像してみてください。

 『水槽飼育に向いた小型の魚(その多くは雑食性)は、成魚になると、餌をまったく食わなくても数日ぐらい平気でいるものです。水槽を持ったばかりだと「2、3日の間、出張に出てしまうのだが魚は大丈夫か?」といった心配をしてしまいますが、そんな心配はいりません。しかし、稚魚の場合は別です。稚魚の間は1日に何度の餌を食わせないといけません。丈夫に育つかどうかは稚魚の間の給餌の回数と質で決まると言っても過言ではありません。それだけでなく、餌が十分に摂れない状態が続くと1日で死んでしまうことも珍しくありません。』といった情報です。

 このような情報は、(A)の範囲に属する知識と言えますね。

 『水草の“餌”にあたるのは二酸化炭素(CO2)と光と肥料です。水草を育てる場合、水草の生長段階のことは魚ほど重要ではありません。どの段階においてもCO2/光/肥料それぞれの多寡よりも、全体のバランスが重要になります。光だけが突出して多かったり、CO2だけが少なかったりすると、他の要素がいくらきちんと揃っていても水草はうまく育ってくれません。』

 このような情報は、(B)の知識と言えます。
 では、次のような知識はどうでしょうか。

 『水草を繁茂させている水槽で稚魚が孵った場合、やはり頻繁な給餌を続けることで丈夫に育てることができます。しかし、それを乾燥飼料で行った場合は水槽内でチッソとリンが過多になりがちです。したがって水草の活性を上げて水草にチッソとリンを多く吸収させるように心がけるなどの手当てが大切です。過多になった状態で放置するとコケが多量に発生することがよくあります。また、生餌としてブラインシュリンプを使うとヒドラの発生を招きかねません。』

 この情報は(A)の範囲でも(B)の範囲でもありません。(C)の範疇に入る知識ですね。
 そして、水草水槽の維持で一番重要になってくるのは・・・ もちろん(C)の知識の量です。

 しかし、(C)に属する情報は、インターネーット上のいくつかのサイトに集中して存在しているだけです。市販の本にはほとんど載っていません。残念ながらそれが現状です。「水草水槽の作り方」などと題打った水草水槽専門の本がたくさん出版されていますが、書店で手に取って見ていただけばすぐ分かるように、たいてい(B)が中心の内容になっていて、(C)については少ししか書かれていません。

 したがってそこを補えるようにこのサイト及びコーナーには、(C)の情報を重点的に載せるよう心がけています。本当ならば(A)と(B)も含めた3つの分野すべてをこのサイトに載せられれば良いのですが、本で何冊分にもなる情報量ですから、すべて載せることは物理的にも労力的にも無理です。よって、(A)と(B)の情報については市販の本を参考にしてください。ネット上にも情報はありますが本の方が内容的に信頼できますし、分かりやすく、かつ、詳しい解説がなされています。ですから、基本的に(A)と(B)は本で仕入れ、(C)はネットで仕入れる、という使い分けが私のお勧めです。

 ちなみに、(A)と(B)に関して私がネット上で推薦できるサイトが一つあります。『魚のきもち・・・』というサイトです。市販の本ほど網羅的で詳細ではありませんが(個人の方が無償で提供されているので自ずと限界があって当然)、参考になるはずです。→ こちら (別ウインドウが開きます)


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