上部フィルターでCO2を逃がさない工夫
  


02.03.16


  価格の低さ、掃除のし易さなど、長所の多い上部式フィルターですが、欠点もあります。その1つが、「CO2を逃がし易い構造」であることでしょう。

 CO2には、水に溶け込み易く・逃げ易い という性質があります。したがって、CO2を多く含んだ水を、空気に曝せば曝すほど、たくさんのCO2が空気中に逃げてしまいます。これは、CO2を必要とする水草にとっては損失です。

 上部フィルターでは、構造上、1.水がシャワートレイから落ちる地点 2.濾過槽から水面へ落ちる地点 の2ヶ所で水が空気に多く曝されます。
 よって、水に多く含まれたCO2を逃がさないようにするためには、この2ヶ所に重点的に対策を施すのが効果的だということになります。

 

1.シャワートレイの部分

 シャワートレイから濾材へ水が滴り落ちる方式は、水が空気に触れる面積が大きくなり、濾過細菌へ酸素をふんだんに補給できる点で有利です。しかし、水草水槽では、水草自体が優れた浄化作用をもっているので、フィルターにおいてそこまで厳格に濾過細菌の活動を捉える必要はありません。
 したがって、水が空気に触れる面積を小さくすることでCO2の放散を抑えても、濾過能力の問題は発生しないのが普通です。
 そこで、「濾材をシャワートレイにひっつくまで目一杯に入れる」ようにして、水が空気に触れる時間・面積を小さくします。こうすれば、CO2の放失量を減らせます。

 濾過用のウールを購入し(200〜500円程度)、そのウールをトレイがちょっと持ちあがるぐらいまでたっぷりと敷きます。ウールは使っているうちにヘタって薄くなってきますので、最初はちょっと厚めに敷くのがコツです。途中で足しても良いでしょう。
 フィルターに付属してくる濾材だけでは、このようにトレイに密着させることは難しいと思います。

 

2.水槽へ水が落下する部分

 濾材を透過した水は穴から水槽へまた戻るわけですが、穴の中へ落ちていくときに多量の空気が巻き込まれます。すなわち、水が空気と大きな面積で触れることになり、ここでもCO2が放散してしまいます。
 そこで、空気をできるだけ巻き込まないように、穴の真上にフロートを浮かします
 フロートには、むかしからピンポン玉などを使うのが一般的です。

 ニッソーの「スライドフィルター」には、画像のような既製品のフロートが付属しています。
 このフロートを落下口に浮かせると、空気の巻き込みが各段に少なくなるとともに、制音にも効果があります。

 ただし、ピンポン玉などで自作する場合、注意が必要です。何かのはずみでフロートが落下口に吸いつけられた場合、水の流れが止まってしまうので、即座にフィルターから水が大量に溢れ出してしまうのです。
 これを防ぐには、落下口を丸くしない、あるいは、落下口に突起物を取りつけておく、落下口にネットを張っておく、などの対策が一般的だと思います。

 

 さて、落下口には、もうひとつ工夫ができます。落下口の下側にエルボをつけて、水の落下の衝撃を弱める工夫です。

 ニッソーの「スライドフィルター」には、このような部品が付属しています。吹き出し口が扇形になっている点に加えて、画像ではちょっと分かりづらいですが落下点に小さな穴が空けられている点が特徴です。
 この部品をフィルターの水の落下口の下側からねじ込みます。
 私の場合、吹き出し口を、水流が水草をなぎ倒さないように水槽の後ろの角の方に向けて使っています。
 水槽を横から見ると、こんな感じです。

 自作する場合、落下の穴に縦に挿し込むパイプを作り、その下にエルボを取りつけるようなかたちにすれば、作り易くて良いです。縦に挿し込むパイプの上端を斜めにカットしておけば、フロートが張りついてしまうこともありません。ちなみに、ニッソーの古い型の「スライドフィルター」にはこのタイプのパイプが付属していました。

 

3.上部フィルターと溶存CO2の関係

 別の機会にも詳しく書くつもりですが、上部フィルターと溶存CO2の関係については、間違った認識をもっている方がけっこういらっしゃいます。

 最初に書いたように、CO2は、「水に溶け込み易く・逃げ易い」という性質があるのであって、「溶け込みにくい」わけではありません。つまり、水の中のCO2の量がたいへん少ないときには、上部フィルターを使用したりエアレーションをすることによって水を空気に曝した方が、水の中のCO2の量が増えることになるのです。

 「水を空気に曝すとCO2が逃げて減ってしまう」というのは、“水に溶けているCO2の量が多いときにだけ”あてはまるはなしです。水に溶けているCO2の量が、通常大気圧で水に押し込まれる量よりも少ない状態のときは、水を空気に曝す方が水中のCO2の量が増える結果となります。

 ふつう、水槽の中には熱帯魚などが泳がされていて、かつ、その排泄物などを分解するバクテリアがいます。そしてそれら生体から相当量のCO2が生産されてきます。
 したがって、一般的な水槽では、水槽の中で生産されたCO2を逃がさないように工夫する方が、大気圧からの溶け込みを期待するよりも結果として水中の溶存CO2を多く保つことになるのです。
 そういう現状があるからこそ、一般に「水を空気に曝さない方が良い」と言われているわけであって、決して、それが全ての水槽にあてはまるわけではありません。
 上部フィルターを用いて水をジャバジャバやった方が、水の溶存CO2量が増える場合もあるのです。

 よって、この稿で紹介している「CO2を逃がさない工夫」も、すべて、「魚やバクテリアから生産されるCO2が多い状態の水槽」が前提になっています。

 



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